169話
いや、違う。
私の相手は強い…………。
だけれど。
私も、強いんだから――――――――。
迎え撃つ事に決めた。
何、日和ってんの、私。
「ほほう。逃げないとは関心関心」
「強者が逃げる必要は無いからね!」
次は私からとばかりに手にしている紅蓮の鎌を横凪ぎに振った。
対するイトウさんは大きめのジャンプで躱す。
しかしこの紅蓮の鎌。振るった後に追いかけて真空刃が始点から鎌を追いかける様に続く。
この鎌を振ると言う事は私を中心として真空刃が一周描く動きもする。
攻撃と防御も成している武器。
そのまま真空刃に降り立つイトウさん。言うなれば高速回転の刃の集合体。
普通そんな所に着地するともうすぱぱぱぱーだよ。
普通なら。
しかし、このじじいは普通じゃない。
いま私が知る限りの一番強い人。
いや、もしかしたら人間止めてるかもしれん。
年齢も不詳。見た目は60代後半位の容姿のエロじじい。
真空刃の上に乗ったと思ったら直ぐに再びジャンプ。
二段ジャンプするように後方地面へと着地。
「ほほっ…………危ないのお」
「………………」
恐らくタイミングとか瞬発力的な技術にカン。
単純にそれだけで今の状況を掻い潜った。
戦闘のセンス。
数多の戦いの中で磨かれたセンスを垣間見た。
イトウさんは間違いなく技術よりの強さだ。
逆に力でのゴリ押しとかは無さそうだ。
あとあのスピード。瞬間的には今の私より早いかも知れない。
それでも、うーん。何故か私の方が強い気がする。
素早さで負けている相手に勝つのって結構厳しい気はするんだけど。
でも、そうだなぁ…………多分私の紅蓮の鎌の一振りが当たれば単純だけど勝てる。
この武器、紅蓮の鎌は言わば裏魔法の産物。
魔法の集合体の様な物。しかも性格はあのいやらしい動きをしていた鎌たち。
いや、性質とかかしら。
実際には私の手に武器として収まっているのも不思議な感覚なのだ。
この武器はある意味自動。勝手にも動くんだ。
感覚的には木から木の葉が舞い落ちる動きに似た動きをする。
つかみ所が無い動き、からの攻撃。
流石にイトウさんでもと思うんだよなぁ。
さっき初見の刃躱してたけどね。
でも絶対に負けたくないから最悪さっきのアレを使おう。
最大枚数で中二的台詞と共に。
にじり寄る両者。
私は左手に紅蓮の鎌。
イトウさんの獲物は無し。脇に刺している変なショートソード使っているのは結構よく見る。
私は鎌の間合いに入ると問答無しに鎌を振るった。
まず当たらないけど。
開いている右手では詠唱込みの上級4種のエアカッターとフリーズアローを適度に織り交ぜている。
イトウさんはあれから余り魔法を放ってこない。
上級4種の中でもエアカッターとフリーズアローは命中率の高い魔法だ。
私なら余り避けない。
食らう瞬間にマナでガードするぐらい。
同じくイトウさんもそうしていた。
しかし、この膠着状態は明らかに私に有利だった。
このまま様子を見つつ隙を狙う。
絶対に勝ちたいんだ。
意地でも。




