固執し過ぎない事
「くっ……!」
剣先を左回転で避けながらのバックブローを簡単に距離で外され、剣の樋で頬を思い切り殴られる。
一瞬ぐらつくも、右のカーフキックをエイリスの左足向けて放つ。
瞬時にすねで受けられ、距離を取ると見せかけて素早く距離を詰める。
縦の斬撃を仕掛けようとするエイリスにハイキックのモーションからのタックルを仕掛ける。
左耳の裏に衝撃。
……え?
視界がグラグラする。
これはやばい。
距離を取らざるを得なかった。
今の攻撃は何だ……?
「斬撃を見切りやがり、体当たりを仕掛けようとしやがったのは良い判断でやがるわ! でも」
柄頭を見せるように、剣を振り上げた状態で構えるエイリス。
……柄頭で攻撃したのか。
「武器は全ての特性、動きを知りやがってこそ初めて意味を成しやがる」
切っ先だけにしか意識が行って無かった。
よくよく考えればこのパワーだったら剣の部位ならどこで攻撃してもあんまり変わらない。
使い方を知り尽くしてる。
「ヒールを使いやがらないのは認めてあげる。これは本番でやがらない。そんな状態でやがるからこそ、常に自分が殺されやがる覚悟を持ちやがりなさい」
息1つ切らさず、エイリスは真正面から俺を見てくる。
自分から攻撃しないと勝てない。
幸い、カーフキックは距離で外して来なかった。
意識は足にあるだろう。
距離を詰め、右のカーフキックのモーションから左の飛び膝を……。
エイリスの切っ先が俺の右カーフのモーションに入った状態の右足に正確に入れられる。
嘘だろ……?
右足を潰され、放った左の飛び膝は空を切る。
距離を取るエイリス。
右足が動かなくなる。
フェイントにさえ合わせられるのかよ……。
どんだけ強いのこの人!
「アユム! 回復しやがりなさい!」
すかさずアユムの魔法によって俺は回復される。
視界がやっと元に戻った。
エイリスは剣を鞘に納める。
「君の弱点は2つ。1つ目。慢心が過ぎやがる。2つ目。自分の分析力に固執しやがって、決闘中に見せやがってる適応力を鍛えやがってない」
……。
エイリスの言う通りだ。
多分、現実世界でトレーナーの人にやって貰ってたからかもしれない。
ミット打ちでそこは色んなバリエーションを指導して貰ってたけど。
ステラにも打撃が単調って言われたのを思い出す。
シャドーでも何でももっとバリエーションを増やさないとダメだ。
何より、エイリスのペースに完全に飲まれた。
「足を狙った蹴りをわざと受けてやったのは分かりやがってる?」
やっぱりそうだったんだな……。
「今になってからですけど。そこを基準に組み立てて来るのも分かってたんですね」
「相手の動きが分かりやがらないなら、こっちから指定してあげる。戦いの基本でやがるわ」
ぐうの音も出ない。
「君は相手をよく観察しやがり作戦をちゃんと立てやがってから決闘に立ちやがってる。馬の骨には到底出来やがらない。だからこそ、君はその先に行きやがる必要がありやがる。私に勝ちやがりたいんでしょ?」
「……それは嘘じゃないです。本当にいつか勝ちたいって。心から思ってます」
「良し。 ……いずれ本当に私に勝ちやがりなさい(# ゜Д゜)」
背中を思いっきり叩かれる。
「分かりました(# ゜Д゜)」
「何なんですかこの空気(;^ω^)」
話に入れないアユムは1人取り残された。




