都合の良い希望を持つ
~その夜~
決闘が延期になったから今日はとりあえず休もうと決め、夜のオリフィスに繰り出してる。
酒場はどこも大盛況な様子だ。
今日の決闘について語ってる人の声がちらほら聞こえて来る。
そりゃそうだ。
あの決闘は本当に凄かった。
正直自分の決闘の事も忘れ、もっと見てたかったって思ったくらい。
けど……。
「フェルマー」
声をかけられる。
振り向くとそこにはマイル。
「マイル……」
決勝トーナメントに進出できるかどうかは分からない。
勝って欲しかった。
勿論ルサルカだって目茶目茶強い。
どっちとも決勝トーナメントでもう1回戦いたかった。
「もうご飯食べた?」
「いや、まだ食べてないよ」
「じゃあ、一緒に食べよ?」
近くの店に入る。
酒場と違って人は少なかった。
俺達は酒を飲めないから、正直こう言うところの方が落ち着く。
殆んど無理矢理連れてかれるから仕方ないね(´・ω・`)
「元気無いねフェルマー」
余計な事を考えてると、マイルが心配そうに俺を見てた。
「あ、ごめん。でも、勝って欲しかったからさ……」
「うん。勝てなかった……」
「観客はもの凄く盛り上がってたよ。でもお互いに悔しいだろうなって。ルサルカがああやって泣くのも分かる気がする」
「僕も悔しかったんだけど、ルサルカが先にああなっちゃってさ。だから僕が冷静になれたってだけだよ」
「はは」
「決闘見ててどうだったかな?」
強い人ってやっぱり決闘が終わった直後から反省してるんだな……。
「アルテマを軸にした遠距離の魔法戦に固定したのって、銃弾がアクアで防がれるからだよね?」
「うん。フェルマーとの戦いは見てたから。それで師匠にアドバイスして貰ったり、自分で作戦は考えたんだ。だから今回は銃は持って来なかったよ」
「水中での戦いはどうだった?」
「今もあの攻撃が何だったのか分からないよ……。 見えない魔法があったなんて。あんな魔法を隠し持ってたんだって。だから奥の手を使わないとって……」
なるほど……。
俺はルサルカから聞いたからすぐに気付けたけど、情報が無い中、しかもあの水中。
対策なんて思いつく余裕なんて無い。
でもそれを今ここでマイルに話すのはルサルカに対して失礼だ。
「決勝戦で戦えなくなりそうでごめんね」
「まだ諦めちゃダメだよ」
「でも……」
「俺は絶対に諦めないよ。どんな状況でもね。もし今回がダメでも次があるじゃん」
マイルは俺を見て頷く。
「お待たせしましたー」
店の人が料理を持ってくる。
「ありがとう。フェルマー」




