姑息なブレーン・ファイター
~試合4日前~
「やっと着きやがったわね!」
俺達は試合会場のオリフィスの町に来ていた。
今日はデュエロス・パートルのオープンセレモニーがあるから、俺とエイリス、アユムは前もってここ、モノマキアを訪れていた。
「どんな感じでやがるの? フェルマー」
「良い感じです」
「アユムがサポートしてやったんだから当然でやがるわね!」
「人を便利屋みたいに言うの止めませんかね(# ゜Д゜)」
緊張感の無い会話。
フィジカル的なコンディションは最高だ。
後は本番でやるだけ。
「お久し振りですね。フェルマー」
俺の名前を呼ぶ方へ振り替える。
「ステラ!」
「相変わらずのばばあでやがるわね」
「その呼び方は止めなさいエイリス(# ゜Д゜)」
ステラがわざわざ来てくれたのに驚かない訳が無い。
「まさかこんなに早くこの祭典に出て来るなんて予想していませんでしたよ」
心底嬉しそうな表情のステラ。
打撃と魔法を最初から教えてくれたお陰でしかない。
感謝感謝。
「またステラの作るクリームシチュー、食べたいです」
「誰がおばさんですか(#^ω^)」
「何も言ってません!」
「ふふ」
ステラが笑う。
「表情も明るくなりましたね。それに、丸くなってます」
「いや、頭のおかしい人が周りにいるせいで……」
「誰が頭おかしいや(# ゜Д゜)」
「誉め言葉でやがるわね!」
「……なるほど」
頭を振るステラ。
「茶番はこのくらいにして、中へ入りやがるわよ!」
頭おかしいよね。
うん……うん(;^ω^)
「これより、戦いの祭典、デュエロス・パートルのオープンセレモニーを開始します!」
司会に呼応するもの凄い歓声。
心が直に震えるような感覚。
普通にすげーな……。
この会場が満席らしい。
20万人の歓声の中で試合をするなんて経験は勿論無い。
参加者は20人。
この中から優勝者は決まる。
でも見渡す限り19人しかいないんだけど、何だろうな。
棄権?
いやそれは無いだろう。
まあいいや。
余計な事は考えないで……。
……いた。
俺が初戦で当たるルサルカ・ヴァダー。
ルサルカはただ眼を閉じ、自分の世界に入ってる模様。
「出場選手の入場です!」
対戦カード順に2人ずつ入場する辺り、格闘技のトーナメントっぽい。
次々に入場していく選手たち。
ルサルカが俺の横に来る。
俺達の入場の番。
「騙されてたんですね」
「あの時は出るかもって状態だったので……。 出ますって言うのもどうかと。嘘をついたみたいですみません」
「なるほど。あなたにも色々あるのですね。宜しくお願い致します」
右手を差し出して来るルサルカの手を握る。
相変わらずもの凄い殺気を向けて来るなぁ。
「どちらが覚悟を持ってるか、決めましょう」
「宜しくお願いします」
魔法使いと傭兵の戦いは、セオリーだと傭兵がゴリ押しするから傭兵に分があると言われてるらしい。
そんなセオリー、俺はどうでも良いけど対策は練って来た。
映像が見られれば一番良かったけど、出来ない中で出来る事をやって来た。
「最後はこちらも優勝候補の1人。新鋭の水神ルサルカ・ヴァダーと今大会最年少での参戦。なのに姑息なブレーン・ファイター。ノーザン・フェルマーの入場です!」
ブレーン・ファイターか。
あながち間違ってない。
現実世界の時は全てを知る者だったなそう言えば。
何かRPGじゃね?
って感じだったけど、エイリスがつけてくれたのかな?
でもさ。
姑息は止めれって(´・ω・`)
間違って無いけど!
間違って……無いけど(´・ω・`)
ゲートをくぐり、ひと際大きな歓声が上がる。
「ルサルカ―!」
「水神様―!」
魔法ギルドって他人に知られないようにしてるって言ってなかったっけ?
それなのにこの知名度ってやばない?
「頑張りやがりなさい!」
「孤児院の皆も応援してますよー!」
頑張りやがりなさいって文章目茶目茶やん……。
俺の声援が多少だけ聞こえる。
前評判通りみたいだなぁ(´・ω・`)
「御覧の通り20名の参加者ですが1名だけまだ決まっておりません! ですが残り1名は決闘日にご覧頂ければと思います! 当日参加の誰が来るか分からない恐怖と楽しみ! 皆さん予想してみてく下さいね!」
へーそんなエンタメみたいな部分もあるんだなぁ。
異世界のこういう大会ってガチなイメージ(そんな漫画とかアニメとかゲームってなかったよな?)だったけど、意外とそう言うお楽しみ要素も盛り込んでるのは中々凄いと感心する。
「開催は4日後となります。その間、このオリフィスの最大級のもてなしをご堪能下さい」
観客が湧いた。




