表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
action!~売れない役者の異世界生活~  作者: とみ
第2場 家族生活の始まり
47/47

牧場の朝と海へ行こう!

さて、みんなと海水浴の約束をした朝、俺は陽も昇らぬ内からサカグチさんの牧場へ足を向けていた。


明日海に行こう、なんて言われても、こちらにも予定がある。

俺の合流は、サカグチさんの所での下働きが終わる午後からだ。


ちなみに、朝から海へ繰り出すのは、ルル、シェスカ、アイリの3人。

俺とユウキちゃんは午後から、引きこもりのレンとランはお留守番である。


サカグチ牧場は、ザムラに面した山の中腹くらいにある盆地状の場所にある。

中腹とはいえ、さして高い山でもなく、高原と言った方がよいくらいで、我がホームも山の下腹辺りにあるので、歩けば15分くらいで到着する。


牧場に到着した俺はサカグチ親子がいるはずの母屋には寄らず、真っ直ぐにモンブー舎へ向かう。

扉を大きく開け放ち、扉近くに備え付けられたベルを鳴らすと、中にいるモンブー達がわらわらと外へ出ていく。


ちなみに、このモンブー舎にはもーちゃんはいない。

専用のモンブー舎を与えられるエリートさんらしい。


モンブー舎の中は緩やかな斜面になっており、半分は水が溜められ、反対側には干し藁が地面から浮かせて釣られている。

朝一の仕事は、水を抜き、掃除をして、藁を足し、また水を溜める事だ。


実は1番厄介なのが水を溜める仕事で、すぐ近くにある井戸とモンブー舎を100往復はしなければならない。

終わった時には腕がパンパンになる仕事だ。





「ジルさん、おはようございます………!」

「あぁ、ユウキちゃんおはよう」


掃除が終わった頃にユウキちゃんが顔を出した。

ユウキちゃんは今からホームへ行き、朝食を用意した後、再び牧場で作業だ。

その前に挨拶に寄ってくれたらしい。


「今日はお昼、食べて行きますか?」

「うーん、ルル達が待ってるだろうし、海に行く途中の屋台で済ませようか」

「はい、わかりました。では、また後で」

「うん、いってらっしゃい」


控えめにニコリと笑った後で、とことこと歩いていく後ろ姿を眺めながら、大きく背伸びする。

次は藁の補充だ。





「はぁ………はぁ………やっと終わった………」


モンブー舎の水が再び満たされた時、辺りはすっかり明るくなっていた。

痛む腕をぷらんと垂らしながら、やっと母屋に向かう。


「あ、ジルさん。お疲れ様です」

「よう。朝から悪いな」

「おはようございます」


出迎えてくれたのは、サカグチさん親子だ。

2人はチーズ入りオートミールで朝食をとっていた。

これから俺もご相伴に預かるのだが、材料は100%サカグチ牧場で、ユウキちゃんの力作だ。

めちゃくちゃうまい。


お祈りをして、匙を動かす。


「次はどこへ?」


サカグチ牧場のお手伝いの時は、必ず朝一にモンブー舎の仕事をやって、その後の作業はサカグチさん指導の元で毎回違う作業だ。

だが、今日は様子が違った。


「ああ、今日はもういい」

「は?」


サカグチさんは腰に下げた小袋からチャリンと銀貨を2枚テーブルに乗せた。


「何でまた? しかも、多いです。いつもの倍じゃないですか!」

「今日は特別だ。水クセえぞ」

「え………」

「ファミリアの交流にリーダー不在じゃカッコつかねえだろ。飯食ったら2人共合流しろ」

「お父さん………!」


サカグチさんは少し気恥ずかしいのか、室内にも関わらず被っている帽子の隙間に指を突っ込み、ポリポリと頭を掻いた。

無口だが、気持ちのいい人だ。

ここはお言葉に甘えるべきだろう。


「ありがとうございます。助言も、助かります」

「フン………それよりだ。ファミリアで何やんのか、詳しい事は決まったのか?」

「まだ詳細を詰める必要はありますが………」

「構わねぇから、言ってみろ。手伝える事はあんのか?」


サカグチさんから切り出してくれるとはありがたい。

是非とも協力をお願いしたいところだったのだ。


「カフェをやろうと思ってました。ユウキちゃんの料理を出すつもりだったので、材料をお願いしたいと思ってました」

「娘の料理に材料提供すんのにお願いもクソもあるかよ。………しかし、あんな街の中心から外れたところでカフェだぁ?」

「客を待つのではなく、呼び込むカフェにする予定です」

「呼び込む………?」

「その時は招待しますので、来てくださいね」

「………フン、わかったよ。開店は?」

「雨季明けを予定してます」

「わかった。頑張れよ」


サカグチさんは空の皿をユウキちゃんに渡し、仕事へ出ていった。

農園の方は完全委託とはいえ、ほぼ1人で牧場を運営しているのだ。

朝の忙しい時間に、しっかり話を聞いてくれるのは、娘の参加するファミリアだからというだけではないだろう。


俺も残り少ないオートミールを掻き込むと、洗い物をするユウキちゃんを手伝った。


「いい人だよね………」

「はい、自慢の父です」


ユウキちゃんの笑顔は朝陽に輝くようだった。





「あー! ジル達きた!」

「おお、早かったッスね!」

「サカグチさんが気を効かせてくれてな」


小一時間程かけて海まで歩くと、ルルとシェスカが出迎えてくれた。

2人共ミックスで、しっぽが邪魔だからという理由はあるが、目に眩しいビキニ姿だ。


「早く2人共着替えて着替えて!」

「あっちにテント用意してるッスから!」


それだけ言うと、2人共波打ち際へ駆けていった。

気になる事を聞けなかった。

シェスカがいない。


テントは1つだけなので、先にユウキちゃんに着替えるよう言った。


「よろしいのですか?」

「もしかしたらシェスカがいるかもだしね」

「あぁ、そう言えば………では、お先に」


そういってユウキちゃんはテントの中に消えた。

海ではルルが奇声を上げて水面へダイブしている。


その光景を見て、今日初めて太陽の暑さを実感した気がした。

今は、夏なのだ。

大変申し訳ないお知らせがあります。

詳しくは活動報告をご覧ください。


それでは、

ここまで読んでいただきありがとうございました。

良かったら、最後まで読んでくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ