第26話 (待ち望んだ光景)
どれだけ時間が経ったかわからない。
目を閉じ、このままどんどん暗闇に飲み込まれていくような感覚になる。
全て飲み込まれたらもう終わりだと思った。怖い
でも、その方が楽になれるかもしれない
ふと、頭に何かが触れた。
そして徐々に頭から足まで、温もりと落ち着くいい匂いに包まれた。
いつの間にか暗闇は消えていて少しずつ目を開けると、
薄くチェック柄の入ったスカートと、透き通るような白いシャツが見えた。というより目の前にあった。
どうやら、彼女が膝をついた状態で俺を抱きしめるかたちになってるみたいだ。
もう恥ずかしさなんて1ミリもなかった、なによりも、その彼女の存在が有難く、伝えたかった。
「ありがとう
また、助けられたんだね。笑美」
もう涙は出なかった。
枯れてしまったのかもしれない。
もう悲しみもなくなったのかもしれない。
「…ぐすっ...ぐすっ...」
っと耳元から鼻をすする音が聞こえる。
そこでやっと、彼女の名前を思い出していることに気がついた。
笑美、君らしい名前だ。
「もう大丈夫だから」
と言いながら顔を上げると、目の周りを赤くして、涙を浮かべながら笑っている君の顔が見えた。
泣いてる子を見ながら思う言葉ではないと思うけど、
本当に綺麗だった。
控えめに少しだけしている化粧、
ずっと見ていたくなるような綺麗な瞳
派手でもなく、地味でもない普通の女子高生。
この光景を俺はずっと見たかった。
君の顔を見たかった。
やっと見れた
「やっと見てくれた」
最後に見れた君の笑顔は、本当に綺麗だった。




