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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第三章:放送室の幽霊 ――
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【073】放送室の幽霊

 月曜日、そうじの時間に、ぼくは西くんと道家くんと一緒にほうきではく係をしていた。


「なぁ、楠谷ってさ」

「うん?」

「な、七海のこと好きじゃないんだよな? 哀名が好きなんだろ?」

「七海さんのことは好きじゃないけど……えっ!? どうして!?」

「仲良いし」


 西くんが当然のようにいう。すると道家くんもうなずいた。


「見てるとわかるよね」

「だよな? 道家くんもわかるよな?」

「うん」


 ぼくは真っ赤になった。

 そのとき、キーンという放送が入った。

 それまで流れていたそうじのときの音楽がとまる。

 放送用の機械がこわれてしまったのだろうか? そう思っていたら、声がした。


『たすけて……たすけて……たすけて……』


 ゾクッとして、ぼくは両うでで体をだいた。放送室でだれかが困っているのかもしれないけど、人間の声に聞こえなかったからだ。すると泰我先生が教室から出てきて、走り出した。放送室に行ったんだろう。


 ぼくは道家くんを見た。


「今のは、放送室の幽霊だよ」

「放送室の幽霊?」

「うん。放送室で病気で死んじゃった子の幽霊だよ。放送室には、二人いるんだけどね」


 道家くんの説明に、西くんが目を丸くした。


「道家くんってくわしいんだな、すごい! もう一人は、どんな幽霊なんだ?」

「今の声のぬしのほかには、放送委員会だった児童の幽霊がいるよ。その子は、失恋して亡くなったんだ」


 失恋した気持ちはぼくもわかるから、かわいそうになってしまう。


「だから、放送室の全体放送で、学校中に聞こえるように告白すると、その子がとりもってくれて、恋が実るっていうよ」


 道家くんの言葉に、西くんが息をのんだ。


「本当か!?」

「うん。ボクはそう――……聞いてるよ」


 たぶん幽霊本人から聞いたんだろうと思ったけど、ぼくは何も言わなかった。

 そこへ泰我先生が戻ってきた。


「お前ら、安心しろ。ええと、もう大丈夫だ。心配はしなくていい」


 先生は廊下にいたぼく達に、まずそういった。そして教室の中に入っていく。

 くわしいことは教えてくれなかったけど、きっと、先生が幽霊をどうにかしたんだと思う。きっとまた、『破!!』ってしたのかもしれない。


 そのとき、西くんが、かべにほうきを立てかけた。


「俺、行ってくる」

「え? どこに?」

「全体放送で、告白してくる!」


 そのまま西くんは、走ってはダメな廊下を、先生のように走っていった。信じられない気持ちでぼくはそちらを見ていた。するとすぐに、全体放送がはじまるときの音がした。


『俺、六年三組西 (はじめ)は、七海 佳音(かのん)のことが好きだー!! 付き合ってくれ!!』


 響いてきた全体放送の声に、ぼくは目を丸くした。ぼくは哀名が好きだけど、さすがに全体放送をする勇気は出ない。すると教室から再び泰我先生が出てきた。片手で目をおおいながら、深くため息をついて、放送室のほうへと歩いて行った。


 それを見送り、そうじの時間が終わったので、ぼくと道家くんは教室の中に入った。

 七海さんが真っ赤になって、女子に囲まれていた。哀名もその中にいる。

 そちらを見ていると、西くんが帰ってきた。


 ハッとしたように、赤い顔のままで七海さんがかけよる。

 そしてポコポコと西くんのうでをたたいた。


「ば、ばか! あんなのはずかしいでしょ!」

「返事は?」

「か、考えてあげてもいいわ!」


 そんな二人に、みんなが拍手をした。ぼくも拍手した。両思いみたいだ。

 だけど……七海さんの好きな人が西くんだったとすると、こっくりさんによれば、七海さんの好きな人の好きな人は哀名だっただから、こっくりさんははずれたということになるようだ。ならば、ぼくの恋のライバルではなかったらしい。それに少しだけ、ほっとした。



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