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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第一章:生首ドリブル ――
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【064】横たわる時間

 土曜日、ぼくはバスに乗った。

 見ればこの前も座っていたおばあさんが、今日も同じ席に座っていた。

 ぼくの家の近くに住んでいるのかもしれない。


 ぼくは教えてもらった水間さんの家の近くでおりた。

 来るのは初めてだけど、水間さんがそこまでむかえにきてくれた。


「よく来てくれたな」

「ううん。ぼくも会いたかった。水間さんにも步夢くんにも」


 水間さんは笑顔だ。優しい顔をしている。最初にあったころみたいな、怖くてマユとマユの間にシワをきざんでいるような表情とは違う。


「步夢くんは元気?」

「ああ。来年の春から、小学校の四年生になれることに決まった」

「そうなんだ、ぼくは卒業しちゃうけど、本当によかった」

「そうだな。これも瑛のおかげだ。ありがとう」


 歩きながら優しい声で言われて、ぼくはてれくさくなってしまった。


「あのね、薺もだいぶよくなって、来年の春からは学校に行けるかもしれないんだって。もしかしたら步夢くんと一緒になるかも」

「なれるといいんだが」

「水間さんと步夢くんも、もともとは三歳ちがいだったんでしょう?」

「そうだ。だから俺は、なんとなく瑛に自分を重ねているところもあった」

「そうなんだ」

「ただ、もう俺と步夢の間には、違う時が流れていた。それでも步夢は俺の弟だし、大切だよ。昔のままの步夢も、最近少しずつ、今のことを覚えはじめてる」


 懐かしそうに、少し苦笑するように、水間さんが言った。

 そうしていると、一軒家についた。


「あがってくれ」

「おじゃまします」


 中に入って居間にいくと、步夢くんがお絵かきをしていた。


「瑛おにいちゃん!」


 ぼくは步夢くんのお兄ちゃんじゃないけど、そう呼ばれるのがうれしい。


「何をかいてたの?」

「ゲームに出てきたドラゴン!」


 その言葉を聞いて、ぼくは自由研究のことを思い出した。

 ぼくは生き物を飼っていなかったし、バタバタしていて最終日に宿題をしたんだけど、『架空の生き物の観察日記』として、ドラゴンをカブトムシの観察日記みたいに、存在しているように書くというこころみをして提出した……。泰我先生は目を丸くしていたが、ぼくをおこることはなかった。


 水間さんがジュースをくれたので、お礼を言って受け取りながら、ぼくはふと思い出して、二人を見た。


「ねぇねぇ、二人は、小学校の七不思議、どんなのだった?」

「七不思議?」


 水間さんが不思議そうな顔をする。


「あのね、学習発表会で、都市伝説のお化けをまとめて発表することになったんだ。あ、よかったら二人も来てよ。チケットがあれば入れるんだ。ぼく今度チケットを持ってくるよ!」

「――步夢にも小学校をみせてやりたいし、それはありがたいな」

「ぼくも小学校に行きたい!」


 二人の言葉に、ぼくも笑顔になった。


「しかし俺達のころの七不思議か……そうだな、『トイレの花子さん』『ベートーベンの肖像画』『走る人体模型』『二宮金次郎像』『体育館の幽霊』『テケテケ』だな。七番目は知ると死ぬと言われていた」


 いずれも中身はお父さんやお兄ちゃんから聞いていたものだったり、ぼくも知っているお化けだったけど、時代によって変わるのは間違いないとあらためて思った。




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