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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第一章:生首ドリブル ――
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【061】生首ドリブル

 火曜日の放課後、ぼくは生首ドリブルのことを調べるために、校庭にいくことにした。


「しょうがないなぁ」


 道家くんがぼくの隣を歩いている。一歩うしろを、きてくれた哀名も歩いている。

 ちなみに今日は、椿ちゃんは塾だと話していた。みんな、中学校にむけて、いろいろ準備をしているのがわかる。ぼくももっとがんばったほうがいいかもしれない。


「あ」


 ぼくは校庭でボールを持っている男子をみつけた。校庭にはサッカーボールをけっている子は何人かいるけど、七海さんが見たという場所に、ボールをかかえている男の子がぽつんと立っている。仲間に入りたいのかなと思ってなんとなくそちらを見たんだけど、頭がなかったから、すぐにわかった。おもわずぼくはビクっとした。


「っ」


 うしろで哀名が息をのんだ。ふり返ると、両うでで体をだいていた。

 平気そうなのは、道家くんだけだ。

 道家くんはうでを組むと、二歩まえに出た。


「おい」


 すると生首を持った男子が顔を向けた。


「一緒に遊ぼう!」


 明るい声がした。しかし道家くんは、つかれたような顔をし、大きく首をふる。


「お断りだよ。一緒に遊んだら、帰ってこられなくなるじゃん」


 それを聞くと、生首を地面において、男子が蹴って走りはじめた。少しの間ドリブルをしていたその子は、それからスッと消えてしまった。空気にとけるみたいに消えた。


「じ、じつざいしたね。ぼく達、三人も〝しょうにん〟がいる」

「ええ……生首でドリブルしていたのを見た、私も」


 ぼくと哀名が顔を見合わせていると、はあと大きく道家くんが息をついた。


「ぜったいに遊ぶと答えたらダメだからね。ボクが知ってるかぎり、そうすると連れて行かれるから」

「どこに?」


 ぼくがたずねると、道家くんが顔をそむけた。


「さぁ?」

「七海さんは逃げてよかったのね」


 哀名がつぶやくようにいった。


「うん。だけどアイツは、ただ遊びたいだけなんだよ。だからたちが悪いんだ。遊んだらダメだけどね。ここで一人で遊んで、みんなを見てるくらいは、別にいいと思うけど」


 道家くんの声が少し悲しそうに聞こえた。ひとりきりのお化けのさびしい気持ちをわかってるからだと思う。


 ぼくはうなずいてから、小さく首をひねる。


「じゃあ……だけど実在したって言ったらみんな怖がって、生首ドリブルがみんなにまぎれて自由に遊べなくなるから、だまっておこうか?」

「うん、私もそれがいいと思う」

「好きにすれば。ボクはなんでもいいよ」


 二人のへんじに、ぼくはそうすることに決めた。




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