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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 序章:学校の噂 ――
59/66

【059】七不思議と都市伝説の変遷

 だけどもう夏は終わったはずなのに、毎日暑い。

 汗をかきながら家に帰ると、お父さんの靴があった。今日は早く帰ってきたみたいだ。


「ただいま」


 ぼくが声をかけると、リビングにいたお父さんと亮にいちゃんが、笑顔でぼくを見た。立ち上がった亮にいちゃんが、ぼくに麦茶を出してくれた。そこでぼくは、七不思議や都市伝説について聞くのだったと思い出す。


「ねぇねぇ」


 座っている二人が、ぼくを見た。


「お父さんと亮にいちゃんが小学生のころ、学校の七不思議ってあった?」

「ああ、父さんの頃は、『トイレの花子さん』『むらさき鏡』『二宮金次郎像』『勝手に音がするピアノ』『十三階段』『体育館の幽霊』で、最後の七つ目を知ると死ぬという話だったな」


 七つ目はぼく達と同じだ。でも『むらさき鏡』と『勝手に音がするピアノ』と『体育館の幽霊』は、ぼくとは違う。全部ぼくは知らない。


「むらさき鏡ってどんなの?」

「ああ……ちょっと怖い話だから、瑛が二十歳になったら話してあげような」

「? うん。じゃあ、勝手に音がするピアノは?」

「誰もいない音楽室、鍵がかかっている音楽室から、ピアノの音がするそうだ」


 お父さんの言葉に、麦茶を飲みながら、ぼくは怖くなった。お化けが弾いているのだろうか? 道家くんなら、何かを知っているかもしれない。


「体育館の幽霊は?」

「これも、鍵がかかってる体育倉庫から、『出して』と声がするらしいんだ。でも、誰かが閉じ込められてるのかと思って、開けてみても、そこには誰もいないらしい」


 お化けも閉じ込められるのだろうか? なんだかかわいそうだ。


「お父さんのころは、こんなかんじだったな」

「ありがとう。亮にいちゃんの頃は?」

「んー、俺の時は、『トイレの花子さん』だろ、『テケテケ』に『体育館の幽霊』、あとは『ベートーベンの肖像画』と『二宮金次郎像』、それから『黒板じじい』で、最後はやっぱり知ると死ぬって話だったかなぁ」


 ぼくはうなずく。『テケテケ』がぼくとは違う。


「テケテケってどんなの?」

「床を腕で走ってくる女のお化け。そのときに、テケテケって笑いながら追いかけてくるらしい」


 なんだか怖そうだ。腕で走るって、なんだろう。普通は足で走ると思う。

 そういえばと思い立って、ぼくは二人に聞いてみることにした。


「生首ドリブルって知ってる?」

「父さんの頃には無かったな」

「七不思議ではないんだけど、学校に出るみたい」

「俺の頃も無かったよ。学校にも出るって聞いたことがない」


 二人の言葉に、〝マイナー〟なのかと考える。


「じゃあ、二人の頃は、どんな都市伝説があったの?」

「父さんの頃は、『口裂け女』とか『人面犬』だな」

「俺の頃は『メリーさん』とか。メリーさんは、高校になった今でも出るって言われる。スマホに電話が来るんだってさ」


 ぼくは三つとも聞いた事が無かった。

 こうしてちょっと話すだけでも、七不思議や都市伝説は、ねんねんすがたを変えるみたいだって分かった。


「ありがとう!」


 ぼくは部屋に戻って、聞いた話をタブレット端末のメモ帳アプリに打ち込んで、みんなに話すことにした。




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