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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 終章:転校生 ――
54/66

【054】新学期

 夏休みが終わった。終わってしまった……。

 ぼくはなんとか宿題を終えて、学校に向かった。久しぶりの学校は、少し小さく見えた。ぼくの背が、ちょっと伸びたからだと思う。始業式があって、その後、教室で席替えなどが行われる時間が来た。


 かねがなると、泰我先生が入ってきた。


「よーし、みんなそろってるか?」

「はーい!」


 西くんが元気に返事をすると、ぼくを含めたほかのみんなも返事をした。


「まずは、転校生を紹介する!」


 突然のことに、ぼくは扉に視線を向ける。


「入れ」


 泰我先生の言葉に、扉を開けて、少年が入ってきた。銀と金の間に見える紙の色をしていて、目の色は黒い。右のほほに黒いスペード、左のほほに赤いハートのペイントがしてある。ぼくの小学校は服装が自由だけど、ちょっと個性的だ。まるで哀名のカードの模様みたいだ。ただ、前髪が長くてあんまり顔が見えないけど、ちらっと見えたかぎり、とても整った顔をしていた。


道家紫(どうけゆかり)くんだ。みんなよろしくな。ほら、道家、挨拶!」

「……よろしくお願いします」


 ボソっと道家くんが言った。

 すると西くんが拍手を始めた。ぼくも真似した。


「よし、次に席替えをするぞ!」


 こうしてくじ引きが行われた。ぼくの左側は道家くん、前が哀名になった。

 哀名と前後というのは、幸先がいい。


「何か分からないことがあったら、聞いて」


 ぼくが道家くんに声をかけると、ボソっとした声が返ってきた。


「もとからそのつもりだよ。ボクは」

「え?」

「キミがボクに、外に出て来いって言ったんだからね? ちゃんと約束守ってよ」


 どこかで聞いたことがあるその声に、ぼくはすぐに悟った。


「図書室ピエロ……?」


 ぼくがぼく達だけにしか聞こえない声で尋ねると、楽しそうに道家くんがくちびるのりょうはじを持ち上げた。


「キミが学校で遊ぼうって行ったんじゃないか。来てあげたんだよ」

「うん、待ってたよ」


 ぼく達は、それから二人でひそひそと笑い合った。





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