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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 第九章:図書室ピエロ ――
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【047】待ち合わせ

 亮にいちゃんと手を繋いで帰ってきた夜、ぼくは寝たけど、お父さんと亮にいちゃんは遅くまで話をしていたみたいだった。朝起きたら、二人ともはればれとした顔をしていたから、なにかいい話をしていたんじゃないかと思う。今日は土曜日だ。


 そう考えていたら、亮にいちゃんがバイトに行ってから、お父さんがぼくを抱きしめた。もうそんな年じゃないから、恥ずかしい。


「な、なに?」

「昨日はよくやったな。話は聞いた」

「……別に。ぼくは、当然のことを言っただけだよ」

「大人になったな」


 その言葉に、ぼくは目を丸くした。ぼくは、あれほどこだわっていた頃は、全然〝子供〟だったけど、今は少しは、〝大人〟になったのだろうか? そうであれば嬉しい。それは自分のためでもあるけれど、みんなを助けられるという意味でもそうだ。


「瑛は自慢の息子だよ。これからも、亮と薺を頼んだぞ」

「うん」


 ぼくは大きく頷いた。

 さて、今日はぼくが一人で、薺のお見舞いに行くことになっている。着替えを持っていく。お父さんが用意してくれたカバンを持って、ぼくはお父さんより先に家を出た。お父さんは夜勤だ。


 ぼくが病院についたのは、午後の四時三十五分のことだった。うで時計でしっかりと確認するくせがぼくにはついている。


「薺! お見舞いにきたよ!」

「――うん、ナナちゃん。そっか、今日くるんだ。会ってくるよ」

「薺?」

「あ! 亮にいちゃん!」


 鏡に向かってブツブツと話していた薺が、やっとぼくに気がついた。変だなと思いながら、ぼくはベッドに歩み寄る。


「これ、着替えだよ。棚に入れておくね」

「うん! ありがとう」


 上半身を起こしている薺は、体調が良さそうだ。今日は点滴もしていない。

 それを確認してほっとしていると、薺がじっとぼくを見た。


「あのね、瑛にいちゃん」

「ん?」

「ナナちゃんに教えてもらったんだけどね」

「うん」

「今日、すごく楽しいお友達が来るんだって」

「お友達?」


 新しい入院患者だろうか? 病院には学校もあるから、そちらに来たのかもしれない。夏休みも学校はあるみたいだ。あんまりぼくにはよく分からないけど。


「内緒だけど、瑛にいちゃんにだけ教えてあげる。これからね、トイレで会うんだよ」

「トイレで?」

「うん! 瑛にいちゃんも一緒に遊ぶ?」

「……」


 トイレは遊ぶ場所ではないし、汚いと思う。ぼくはお兄ちゃんとして、注意した方がいい。どうせなら、薺の友達にも伝えた方がいいだろう。


「分かったよ、一緒に行く」

「じゃあ今から行こう! もうすぐ来るんだよ!」


 そう言うと、薺がベッドから降りた。そしてスリッパをはくと、病室の出口に向かう。ぼくも静かにその後にしたがった。



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