表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 第六章:学校わらし ――
36/66

【036】連絡先を書いた紙

 翌日。

 目を覚ますと、亮にいちゃんが帰っているようで、おみそ汁のにおいがした。

 ぼくは顔を洗ってから、亮にいちゃんのところへ行った。


「おはよう、瑛」

「おはよう」


 やっぱり亮にいちゃんがいてくれるとほっとする。

 そう考えてから学校へ行った。実はぼくは、今日、なしとげたいことがある。

 哀名に、メッセージアプリの連絡先を聞きたい。


 勇気を出して、放課後声をかけてみようと思っている。

 だから朝からそわそわしながらすごして、放課後を待った。

 哀名はぼくが観察したかぎり、いつも教室を三番目に出る。目立たないように、空気のように、ひっそりと出て行く。


 すると本日も三番目に哀名が立ち上がったので、それとなくぼくも席を立つ。教室では、七海さんとか女子の話し声がする。


 哀名が廊下を少し歩いたところで、ぼくは声をかけた。


「哀名、ちょっといい?」


 小声で聞いた。人目があるからだ。


「なに?」

「その……連絡先を教えて欲しくて。ぼくのID、これだから、よかったら連絡して」


 ぼくは押しつけるようにして、自分のIDを書いた紙をわたした。

 受け取った哀名がおどろいたような顔をしていたから、恥ずかしくなってぼくは先に学校から出た。そして早足で歩いて行くと、神社の石段が目に入った。


「おはよ、瑛」

「透くん……」

「どうかしたの? なんだか急いでたみたいだけど」

「……透くんってモテる?」

「普通かな。なんで? ああ、この前のカノジョとケンカでもしちゃった?」

「カノジョじゃないよ……今日ね、連絡先を聞いたんだけど……連絡くるかなぁ……?」

「まだ交換してなかったのが以外だけどね。ちょっと話そうか? 聞いてあげるよ」


 そう言うと立ち上がって、透くんが石段をのぼりはじめた。ぼくもついていく。

 そしてぼくたちは、ベンチに座った。


「それで?」

「夏休みになるから、その間も話せたらなって思って……」

「嫌なら連絡してこないだろうし、あきらめなよ」

「う……こなかったら、もう立ちなおれないかも……」

「恋の一つや二つや三つで折れてたら、人生大変だよ?」

「そうなの?」

「そうなの。悩んでないで、連絡を待ってみればいいよ」

「そうだね。ありがとう、透くん」

「どういたしまして」


 話していたら、少し気が楽になった。


「そうえいば、もうすぐ夏休みだよね? 瑛は、どこかに行くの?」

「うん。亮にいちゃんとお父さんと、テーマパークに行くんだよ」

「へぇ、どこの?」

「となりの弥生市の、弥生ハイランドパーク!」

「ふぅん。いつ行くの? 夏休みに入って二日目から!」

「そうなんだ。楽しめるといいね。何ごともないことを祈るよ。まぁ、俺が――……ううん。なんでもない。そろそろ帰ったら?」

「う、うん? うん……帰るけど、なに?」

「なんでもないよ。じゃあ、またね」


 透くんに手を振られたので、ぼくは帰ることにした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ