表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 序章:図書室のマスク男の噂 ――
1/66

【001】図書室のマスク男①

 ぼくは、大人だ。それは、当然のことだ。


 もう小学六年生。

 子どもじみた〝ウワサ〟なんか、僕は信じない。もう小学五年生なのに、信じるやつは、どうかしてる。


「ねぇねぇ、『図書室のマスク男』、また出たって! 二組の夏荻(なつおぎ)くんが見たんだって!」


 ガラガラと音を立てて、西(にし)くんが教室の黒板側のドアを開けて入ってきた。西くんの大きな声にみんなが顔をむける。


 ぼくたちの六年三組の教室の、みんなが西くんを見てる。ぼくも、そうした。

 教卓の前まで西くんが、早足で歩く。それから興奮したように話しはじめた。


「やっぱり土曜の4時44分44秒に出たらしいぞ! 緑のコートで白いマスクで!」


 それを聞いて、僕は、ばかばかしいと思った。

 4がならんだ時間は不吉だというけど、だって午後の4時は16時だ。

 16時44分44秒にするだけで、とたんに怖くなくなる。


「夏荻くんが見たんなら、本当じゃない?」

「だよね。児童会長で、あんなに頭もいいし」

「土曜日もたしかスポ少あったから、学校にいたんでしょう?」

「きっとそうだよ。体育倉庫のカギを職員室に返しに行ったんじゃない?」

「図書館は職員室がある向かいの校舎の二階だから、よく見えるもんね!」


 教室中が一気にさわがしくなった。

 くだらないと思っていても、ぼくは言わない。

 自分の考えをおしつけるのは、空気が読めない〝子ども〟がすることだ。


「じゃんけんで負けたやつが、たしかめに行くことにしないか? 三組の男子のコケンだ」


 お調子者の西くんが言うと、多くの男子が目をキラキラさせた。

 西くんの声に、男子のみんなが教卓の前へとあつまっていく。

 ぼくもそうした。そうしなかったら、〝へん〟に思われるから。


「最初はぐー。じゃんけんぽん」


 西くんがしきり、じゃんけんがはじまる。

 総当たりせんで、みんなとじゃんけんをした。

 大人数だったから時間がかかったけど、じゃんけんはぶじに、休み時間の内に終わった


「……土曜日だね。明日だ。たしかめてくる」


 負けたのは、ぼくだった。ぼくは、ただのウワサなのに、見にいくなんてばかみたいだと思ったけど、笑ってみせた。

 みんなが楽しそうにぼくを見ている。

 こうしてぼくは、図書室のマスク男のウワサをたしかめに行くことになった。

 どうせ、いるわけないのに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ