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第38話 影の訪問者

挿絵(By みてみん)


カシアは会議で使う資料の修正を進めていた。


「ふう、なんとか間に合ったわ……そろそろ会議の時間ね。」


「そういえば、レオンは大丈夫かしら。徹夜してるみたいだけど、体も大事にしてもらわないと……」


カシアはデスクのモニターから特殊部隊のチャンネルに接続した。


「ゼロ。レオンの様子を見に行ってほしいの。具合が悪そうなら、しばらく休暇を取るように伝えて。」


ゼロが短く答える。


「了解。出動します。」


挿絵(By みてみん)


薄暗い開発室。

レオンはキーボードを叩きつつ、背後に冷たい視線を感じて振り向いた。


挿絵(By みてみん)


そこには黒い戦闘服の女性が立っていた。ゼロだ。


「げっ! ゼロ! なんでお前がここにいるんだよ!」


ゼロが冷たい声で応える。


「お前がさぼっていないか、確認に来た。」


「さぼってねーよ!! ちゃんとやってるだろ!」


レオンは大げさに肩をすくめてみせたが、すぐに真顔に戻った。


「そういえば、聞きたいことがあるんだ。」


「なんだ。」


「なんで企業にお前みたいなのがいるんだ? 特殊部隊みたいじゃん。」


ゼロはわずかに眉を寄せた。


「クロノヴェクス・インダストリーズは急成長した。そのことを快く思わない者も多い。会社を潰そうとしたり、カシア様の命を狙おうとしたり……それらを防ぐためだ。」


レオンは静かに頷いた。


「なるほど……大変なんだな……」


そのまま彼は淡々と作業に戻った。


キーボードの音だけが部屋に響く。


ゼロは無言でその様子を眺めていたが、やがて小さくつぶやいた。


「……大丈夫そうだな……」


挿絵(By みてみん)


レオンが再び振り向いた。


「見られていると気が散るんだ。帰ってくれないか。」


しかし、そこにゼロの姿はもうなかった。まるで最初から誰もいなかったかのように……


レオンは目をぱちくりさせた。


「消えた!? 忍者かよ!」


挿絵(By みてみん)


レオンの頭の上に、一枚のメモがひらりと落ちてきた。


「……ん!? なんだこれ?」


メモには短いメッセージが書かれていた。


"Take care of yourself."(体に気をつけて)

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