表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
嫌な思い出

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/152

ウォンバットへの道

 それから二日が経過した。私達を追っているような人はおらず、安全な旅を続けられている。モンスターに襲われているのに安全というのもおかしな話だけど。

 因みにアリサは割と自重してくれている。そこら辺はしっかりとしてくれているみたい。若干飢えているような感じもするけどね。

 分かれ道はしっかりとグレイズさんが言っていた右側の道を選んだし、ちゃんと問題はない。

 この二日間で花畑が消えて草原になり、今日ようやく森の中へと入っていった。


「見通しが悪いね」

「そりゃあね。一応森の中にも休憩ポイントがあるみたいだから、そこまでは歩かないとね」

「先人の積み重ねって事?」

「そういう事。森の中にいる分、モンスターの数は多くなるから、【気配察知】を意識ね」

「うん」


 アリサに空を飛んで貰う選択もあるけど、空から休憩ポイントを発見出来るかは分からないので、こうして歩いて行く方が良い。


「森の中って何日くらい歩くの?」

「予定では一週間かな。森が長いというよりも、道がくねくねしてるんだよね」

「ああ、モンスターの縄張りを避けるためだっけ?」

「うん。定期的に倒しているみたいだけど、わざと縄張りの場所を開拓しないで残してるみたいだね。新しいモンスターが居付きやすい場所を作って、モンスターの生息域を管理してるって感じみたい」

「討伐する時の目安にもなる?」

「うん。そういう感じだと思うよ」


 森の中に既にある縄張りを壊さずに放置しておく事で他のモンスターが縄張りとして使用する。既に開拓されている場所なら住みやすいという事だ。これによって、モンスターの生息域をコントロールする事が出来るらしい。

 問題として、厄介なモンスターが棲み着いたら、本当に厄介になるみたいだけど、それの居場所が分からないよりも千倍マシという事みたいだ。


「休憩ポイントに着いたら、一度アリサが空から索敵するのが一番良いと思う。それで変なモンスターがいたら倒す形で」

「うん。分かった」


 アリサが空から索敵したとして、森の中を正確に索敵出来るとは限らない。でも、やらないよりもやった方が安心出来る。

 森の中に作られた道を進んでいき、時折現れるマッチョボアやファングボア、メディカルバード、ホーンラビットを狩っていく。道があるとはいえ、左右に森があるためモンスターの数は平原よりも多い。

 その分ご飯も多いと考えられるけど、野菜がない。野草とかはなるべく避ける。知識として薬草とかは分かるけど、薬草とよく似た毒草がありますとかだと苦しむ事になってしまうから。【不死】だから死なないけど。苦しみたいとは思わない。


「やっぱり森は旅に向かないね」

「でも、ここが一番安全でしょ?」

「うん。山は移動に向かないし、もう一つの道はここよりもモンスターが多いらしいから。まぁ、その分早く着けるらしいけどね。馬車で駆け抜ける前提らしいよ」


 ここからウォンバットまで向かう道は三つ。ここの森。

 ヌートリアからマンチカンに向かう山よりも険しい山道。ここは、山道の危険もあるけど、ロックコンドルが沢山棲み着いているらしい。定期的に狩りはしているらしいけど、普通に旅で行けば狭い崖に攻撃をしてくるから、本当に危ない。私とアリサなら対抗出来なくはないけど、安全とは言い難い。

 そして、もう一つの森ルート。こっちの森は短いけど、ここの比じゃないくらいにモンスターが多いらしい。それこそ寝ている暇はないほどに。出て来るのは、ゴブリンとのことだ。この前マンチカン近くに来たゴブリン達とは違う生息域のゴブリン達なので、オーガに追い出されていないとかはない。

 普通に馬車を走らせても襲われるので、馬の力が強い高速馬車でしか通り抜けられない。一応マンチカンから貸し出しがあったけど、普通の馬車ならまだしも高速馬車を操れるとは思えないので諦めた。


「普通の馬車なら、こっちの道でも使えるけどね。それだと大体二日から三日で抜けられるらしいかな。私達二人だと馬車を扱う利点は少ないから、こうして森歩きってわけ。旅に向かないのは、何も変わらないけどね」

「へえ~、よく調べたね」

「まぁね。それも含めてアリサにプレゼンしようとしたけど、アリサはここが一番安全ってだけで納得しちゃったから」

「私はヒナと安全に旅出来るなら、それで良いから。私がドラゴンに戻れると楽になると思うんだけどね」

「街が大騒ぎだよ……」


 確かにアリサがドラゴンの姿になって空を飛んで移動出来るのなら、旅は格段に楽になる。危険地帯を基本的に無視出来るっていう破格のメリットがあるからね。でも、ドラゴンは普通に危険視される生物だから、近くに来た瞬間に街が大騒ぎになる。これは確実だ。

 それから二時間ほど歩いていると、横の森が途切れて円状の大きな広場になっている場所を発見した。


「あった。これが休憩ポイントだよ。思ったよりも大きいかな。これなら空からでも発見出来そう」

「じゃあ、飛んでくるね」

「うん。気を付けて」


 アリサが羽ばたいて空へと向かった後、私はテントを張っていく。二人でやった方が早いけど、アリサは周辺の状況を確認しているので、これは私の仕事だ。


「モンスターも来ていないみたいだし、直近で誰かが使ったのかな。休憩ポイントなら焚き火をして良いって話だから、木も組んでおこう。後は、シャワー用に仕切りを立てて……そうだ。トイレ用の穴も掘っておかないと」


 そうして野営の準備をしていると、アリサが空から降りて来た。周辺の偵察から帰ってきたみたい。


「次の休憩ポイントも遠くからだけど確認出来たよ。それとモンスターの縄張りみたいなのも発見した。でも、何もいなかったよ」

「そっか。それなら良かった。基本的にいつも通りで良さそうだね。じゃあ、一緒にシャワー浴びよ」

「うん」


 アリサと一緒にシャワーを浴びて、ここまで歩いてきた汗と汚れを洗い流す。ミモザさんが『浄化』を付けてくれたおかげで、綺麗な状態で維持出来ている雷獅鷹の衣を着て、夕飯にする。

 私が夕飯を作っている間に、アリサは、私の下着と自分の服を洗濯してくれる。そうしていつも通りの分担作業をしてから、夕飯を食べる。基本的に野菜のスープと肉とパンという事が多い。米は炊くのが面倒くさいから、こうして野営中は全然食べない。街とかだと食べるのだけどね。

 夕飯が終わった後は、焚き火に当たりながらお茶を飲んで食後の休憩をする。その後にトイレを済ませてテントに入る。

 さすがに欲求不満になっていたからなのかアリサがその気になってしまっていたので、軽く満足するまで抱かれてから二人で眠りに就いた。【気配察知】で飛び起きる事が出来る私達だから出来る事だ。普通は見張りが必要になるからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ