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異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
異世界旅始め

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尻軽

 ぬいぐるみを買った後は昼食を食べに向かう。昼食のお店は、ミモザさんが予約していてくれたちょっと高級なお店だった。ドレスコードとかが大丈夫なのかと思ったけど、普通に私の服でも問題なかった。

 ここで出された料理は、ドラゴンの肉というどう考えても高級食材だった。そもそも討伐される事自体が稀なので、こうしてレストランで提供されるのもかなり珍しいらしい。運が良い事に、タイミングが噛み合って提供してくれる事になったらしい。ドラゴンというイメージからかなり硬そうだと思ったのだけど、調理の仕方が上手いのか、歯応えが凄いくらいで、ちゃんと噛みきれるようになっていた。ソースもかなり美味しい。もう二度と食べられないかもしれないので、しっかりと味わって食べた。因みにソースが口に付いていたからミモザさんに拭かれるという事もあった。

 代金に関しては、ミモザさんが奢ってくれた。デートする度に皆に奢られるから、本当に良いのかと思ってしまう。まぁ、ここの代金を見たら、私がギリギリ払えないくらいの額だった。それも割り勘しての計算だ。本当に高級店だった。

 お店の外に出て、少し歩いたところにある公園のベンチでミモザさんと座る。食後の休憩だ。


「美味しかったですか?」

「はい。初めて食べるものばかりでしたけど、本当に美味しかったです。特にドラゴンの肉とソースが美味しかったです!」

「パンに付けて食べていたくらいですしね」

「ドラゴンの肉は無理でも、ソースだけで販売して欲しいくらいです」

「ふふっ、本当に気に入られたのですね」


 ミモザさんが優しく頭を撫でながら微笑んでいた。ちょっと子供っぽかったかな。でも、そのくらいに美味しかったのは事実だ。


「そういえば、ヒナちゃんはいつ頃出立されるのですか?」


 ミモザさんは、私が旅立つ事を知っている。私の身体もちゃんと治って、しっかりと強くもなっているので、そろそろ旅に出ると考えたのだと思う。


「う~ん……後二週間くらいは、こっちにいると思います。お金を貯めたいのと、ランクを上げるという目的があるので。それが終わって、旅支度を調えたら出ます」

「そうですか……私達とは出立する日が違いますね。私達は一週間後に出る予定です」


 どうやらこっちで調査する期間は、そろそろ終わりらしい。勇者パーティーとしてこの街を出立する日が迫っているようだ。割と長い間足止めを食らっていたので、これでも遅いくらいだと思う。


「じゃあ、一緒にいられる時間も残り少ないですね」

「そうですね。出来る事なら、ヒナちゃんも一緒に来て欲しいですが、無理強いは出来ませんし、ヒナちゃんの旅の目的である観光とは違う事ばかりをしてしまうでしょうから」


 私の目的も知っているので、ミモザさんも強く誘いはしてこない。ハヤトさんもだけど、そういう距離感が有り難かった。


「はい。でも、行く街が被るかもしれないので、また会ったら仲良くしてくださいね」

「勿論です」


 ミモザさんはそう言って私を抱きしめる。その優しさと温かさで、本当に可愛がって貰えていると感じる。

 程よく満腹になったお腹。温かい陽光。軽い木陰。隣には良い香りのするミモザさんがいて、そんなミモザさんの身体に寄り掛かっている。そんな条件が重なった結果、一気に眠気がしてきてミモザさんに体重を預け始めてしまう。すると、ミモザさんが私の身体を調節して膝枕をしてくれた。

 ミモザさんの膝枕が加わった事で、私の意識が完全に途絶えた。


────────────────────


 目を覚ますと、大分日が傾いていた。


「起きましたか?」


 ミモザさんが頭を撫でながら訊いてくる。寝ぼけた頭では、その言葉を理解するのに時間が掛かる。

 優しい声に加えて、目の前に胸の大きな女性がいる。私に刷り込まれた認識により、ミモザさんをミナお姉さんと勘違いして、自分から抱きついてしまった。いつもと違う柔らかさと張りでようやく違う事に気付いて離れる。


「はっ! すみません!」

「いえ、構いませんよ。寧ろ嬉しいです」


 唐突に抱きついて胸に顔を押し付けてしまったのに、ミモザさんは優しく微笑みながら許してくれる。このままミモザさんの優しさに甘えて、もう一度抱きつきたいという欲求を抑えて横に座る。


「今日はこのまま私のところに泊まりますか?」

「え?」


 唐突な提案に困惑してしまう。でも、ミモザさんは最初から予定に含めていたみたいな感じで、ごく当たり前のように言っていた。魅力的な提案ではあるけど、即答出来ない理由があった。


「でも、メイリアさんに確認しないと……」


 そう。お泊まりをするのであれば、保護者であるメイリアさんに確認しないといけない。向こうの世界での常識でもあるので、そういう認識が刷り込まれていた。宿舎に帰ってきたメイリアさんが慌てるかもしれないし。


「はい。なので、許可は頂いています」


 ミモザさんが既に手を回した後だった。このデートを計画した時点で既にメイリアさんに話を通していたのだと思う。メイリアさんが許可を出してくれたのなら、お泊まりをしても大丈夫かな。


「既にヒナちゃんの服も預かっています」

「用意周到過ぎませんか!?」

「メイリアさんが用意してくださったので」


 まさかの着替えまで用意されていた。メイリアさんが用意したという事は、私が寝ている間とかに部屋から着替えを取っていったのかな。いや、普通に私のサイズを知っているから、新しい服を買ったのかもしれない。

 何かメイリアさんが親指を立てている姿が簡単に想像出来る。メイリアさんの事だから、私がミモザさんとお昼寝をしている姿を見られていて、そこから私が望むだろうとか考えたのかな。

 メイリアさんだけは、私が関係を持っている人を全員知っているわけだし、そういう意味でも許可を出したみたいなイメージまで持ってしまう。実際はそこまで考えてないだろうし、ミモザさんと関係を持つとは限らないけど。


「じゃ、じゃあ、お泊まりします」

「では、行きましょうか」


 ミモザさんが立ち上がって手を差し伸べてくれるので、その手を取って移動する。


「ミモザさんって、宿屋暮らしですよね?」

「はい。高級宿ですので、セキュリティも防音もしっかりとしています。なので、ご安心ください」


 メイリアさんとビビアンさんが話していた通りに安全性を優先する感じなのかな。ミモザさんみたいな美人さんなら、襲われる可能性があるし、そこら辺はしっかりと考えているのだと思う。私も美人という訳では無いけど、ちゃんと警戒しておかないといけないかな。参考までに、ミモザさんが泊まっているという宿の宿泊料を聞いてみる事にした。


「宿泊代はいくらくらいですか?」

「一泊七万です」

「うぇっ!?」


 想像以上に高かった。一泊七万となると、一日に稼ぐ額をもっと多くする必要がある。今の貯金では二週間くらいしか泊まれないし、食費を入れれば、もっと短くなる。やっぱりランクを上げて、稼ぐ金額を上げる必要がありそうだ。


「今の甘え状態から抜け出したら、色々とやりくりの力を身に付けないと……」

「そうですね。鍵付きの宿は確定で必要になりますので、食費をなるべく安く済ませるのが一番良いでしょう。そのための裏技として一つ良い方法を教えてあげます」

「何ですか?」


 これは気になる。ミモザさんがヤバい方法を取る訳もないので、これはしっかりと聞かないといけない。


「ギルドの受付嬢に訊くのが一番です。街の事をある程度知っており、節約して生活している事も多いので、おすすめを訊いてみると良いでしょう。宿に関しても同じ女性として相談に乗ってくれると思います。どの街でも危険が付きまとうのは同じですので」

「なるほど。そうしたら受付の人と仲良くなれて一石二鳥ですね」

「そうですね。ギルドの受付嬢と仲良くなるのは、ヒナちゃんが顔見知りだとギルドに広く知られるようになるので良い事だと思います」


 そんな話をしていると、滅茶苦茶でかい建物の前でミモザさんが止まった。


「ここが、私が泊まっている宿です。私達のパーティーも泊まっていますので、すれ違うかもしれませんが、あまり気にしないでください」

「は、はい」


 本当に高級宿という事で、ちょっと緊張してしまう。ミモザさんに付いていって、宿の階段を上がっていく。五階建ての五階に部屋があるみたいで、割と良い運動になる。

 ミモザさんが鍵を開けて私を中に促すので、そのまま中に入った。中の部屋は、結構広くスイートルームのような感じだった。


「ソファに座って待っていてください」

「はい」


 言われた通りにソファに座る。高級宿という事もあり、ソファも高級品だった。カーディガンは脱いで、インベントリに入れておく。すると、ラフな部屋着に着替えたミモザさんが戻って来た。裾の長いシャツを着ていて下を穿いているのかギリギリ分からない。


「ミモザさん、際どすぎる気がします……それで外に出ちゃ駄目ですよ?」

「そうでしょうか? 一応ショートパンツは穿いているのですが」


 ミモザさんはそう言ってシャツを捲る。軽くおへそも見えてしまっていて、より一層扇情的になっている。私が男じゃなくても強く惹かれてしまう光景だった。


「絶対出ちゃ駄目です。見る人が見たら、えっちに見えちゃいます」


 そう言うと、ミモザさんは楽しそうに笑った。


「ふふふふふ! そうですね。ヒナちゃんには、えっちに見えちゃうかもしれないですね」


 ミモザさんは私の前に膝を付いて座る。そして、私の膝に手を置いて、頬にもう片手を添える。


「私はこういう事も考えているのですが、ヒナちゃんはどうですか?」


 ミモザさんは、直接的な事を一つも言っていない。でも、私も馬鹿じゃないので、ミモザさんの言いたい事は分かる。これまでの経験がこれを遠回しなお誘いだと告げていた。


「えっと……私、レパやビビアンさんとも関係を持っているんですが……ミモザさんがそれでも良いと言ってくれるのなら……」


 ここは正直に言う事にした。割とクズな状態になっているけど、二人からは許可を得ているし、ミモザさんがそれでもと言ってくれるのなら、私はミモザさんを受け入れたいし、受け入れて欲しい。そのくらいにミモザさんの事も好きになっている。

 前の世界では、本当にクズな発言になるけど、この世界なら普通の事に入ると皆が行っている。それでもこれを受け入れるかいれないかは、ミモザさん次第だ。世界的には普通でも個人的に受け入れられるかは別だから。

 この答えは、私の口を塞いだミモザさんの唇で示された。私もそれを受け入れて長い夜が始まった。

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