猿が支配する王宮
「キャホオォッ!」
周囲を囲む猿の一匹が、大きな声で叫びながらサグへと襲いかかる。
猿たちが強いことは十分に知っていたので、サグは容赦なく剣で猿を切り殺した。
残酷だと思うが、少なくとも動けなくしなくては、ゾロゾロ起き上がってきて囲まれてしまうのだ。
一旦落ち着く暇もなく、右から左から、後ろから前から猿が襲いかかってくる。
切り、蹴り、捻り、感電させ、次から次に猿を攻撃するがキリがない。攻撃したとしても相手が現れるのだ。
(どうなってるんだ!?)
傷つき倒れた猿の山は積み上がっていくが攻撃する相手が終わらない。
見ると、倒すのと同等か、それ以上の速さで猿たちがワラワラと室内に侵入してきているのが見えた。
王は未だに猿を部屋に呼び込んで入れて生きているらしい。ポーズがそれらしいだけだが。
状況を整理すると、王を倒さないとこの忙しい状況は終わらないようだった。
「ほうぅ!」
「がっ!?」
よそ見をした隙に倒したと思っていた猿が忍び寄り、強烈なパンチを後頭部にくらってしまう。
よろめいた先に猿が飛び込み、サグの顔を狙う。
(間に合わない!?)
剣での防御を諦め、次の激痛に備えて目をキツく食いしばったところだった。
だがいつまで経ってもその激痛が来ず、恐る恐るサグは目を開ける。
そこには、猿を殴り飛ばした後であろうポーズをとったグリアが居た。
「大丈夫か!?」
「まあな、そっちは」
「それなり、動かないと死ぬから動けてるだけ」
サグの軽口に苦笑いで返すグリア。
よく見てみればグリアの表情は未だ冴えない。僅かに混乱している様子が残っている。
当然と言えば当然の混乱だが、そんなことを気にしているヒマは無い。
サグは立ち上がり、背後からグリアを襲おうとした猿を切り捨てた。
サグはちらりともう一人の混乱に立たされているであろう人物の方を見た。だがそちらはあまり心配しなくていいようだ。
王兵隊のリーダーは与えられた立場を全うするが如く、持っている剣と身につけた武術を存分に使い、体格が違い戦いにくい猿を次々に倒している。
「グリア、もう少し頑張るぞ」
「もちろん」
サグは剣に雷属性の魔力を纏わせた。電気効果を与え効率よく猿を倒すつもりだ。
グリアはその光景を少しだけ羨ましく思いながら、身体強化用の魔力を全身に張り巡らせた。
「王よ! この状況は何だ!?」
猿を殴り攻撃を停止させ、空中に浮かび上がる猿の腕を掴み、大きく勢いをつけて投石のように猿の体を投げる。
今までの忠誠に対する憤りが戦いに現れる。荒々しいその姿、王兵隊のリーダーに相応しい。
しかしそんな怒りを前に、王は少しだけ笑っていた。
「君はどこまでも愚かだな」
一言と共に王は地面を蹴る。
その素早さはサグの知る限界に近く、次の瞬間には、王兵隊のリーダーに拳を炸裂させていた。




