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ゴミ245 達人、年の瀬を迎える

 12月30日、ビッドリー。

 「奪う者」を倒した俺たちは、とりあえず昼食にして、そのあと眠った。

 俺とアローは徹夜だったし、オーレさんは俺たちに気をつかって部屋を出ていたし、一味は……植物って眠るんだろうか? よく分からないが……とにかく、少なくとも俺たち3人は、ぐっすり眠っておきたいと思ったわけだ。


「「かんぱーい!」」

「お疲れ様でしたー!」

「ようやく20都市めぐりも終わりだな。」

「なんとか無事に終わってよかったですな。」


 夕方になって目を覚ました俺たちは、酒場へ繰り出して祝勝会と慰労会を兼ねて食事をした。

 といっても、いつものメンバーなのだから、いつもの食事とそう変わるわけではない。ただちょっと達成感があって、いつもより上等な酒を注文したぐらいだ。

 ちなみに一味は植物なので、水だけ与えればよく、食事は不可能だ。そもそも口がないし。


 だらだらと長く続けるようなこともなく、俺たちは1時間ほどで宿屋へ引き上げた。

 そこからは個別行動だ。

 アローはまだ眠り足りないらしく、さっさと眠ってしまった。いわく


「2日連続なんて腰が抜けるから駄目だ。」


 とのこと。ちょっと赤くなって言うのがかわいいので、1回抱きしめさせてもらった。

 オーレさんは、部屋に戻ってもちびちび飲んでいた。


「いや、今までなら武具の手入れでもしているところですが、七味殿にいただいた武具は水を与えるだけで自己修復してくれますからな。手入れの手間がなくて暇を持て余してしまいますぞ。」


 別に酒好きというわけではなく、やることがなくて困っているようだ。

 一味は置物みたいにピクリとも動かずじっとしている。時々思い出したようにピコピコ動くが、すぐにまた動かなくなる。まるで眠っているかのような……あるいは七味唐子さんとの回線が切れた状態なのかもしれない。特に用がなくてテーブルの上に放置しているときのスマホとか、こんな感じだったなーと懐かしく思う。通知とか来て急に動くやつだ。

 俺は、手紙を書いた。王様に向けての、いつもの報告だ。





 12月31日、ビッドリー。

 俺たちはまず、領主の館へ向かった。兵士がひっきりなしに出入りして、使用人たちもあわただしく動き回り、領主も大量の書類に囲まれながら指示を飛ばすという、大変に忙しそうな光景だったが、


「しばらくこの状態が続くので、申し訳ないがこのままお話を伺いたい。」


 とのことで、執務室にお邪魔している。


「こちらの要件は、陛下のご命令通り、ビッドリーのゴミの最終処分を請け負う事です。

 ゴミ処理場の管理者にその旨通達していただきたいのですが、大丈夫ですか?」

「ああ、何とかするしかない。

 手の空いた者……など居ないか。誰かゴミ処理場の近くを通る予定の者は?」


 領主が書類から目を放し、周囲に顔を向ける。


「はい。警備兵団の南部隊がまもなく報告に来るかと。その帰りの足ではどうでしょう?」


 ばたばたと動き回って書類を運んだり整理したりしている使用人らしき男が答えた。


「うむ。では、そのように。」

「かしこまりました。来ましたらお知らせします。」

「うむ。

 ……なにせ多くの住人が自制心を失って事件を起こしている。大使殿が討伐してくれて助かったが、まだまだ状況は落ち着かんよ。ろくに対応できずにすまない。」

「いえ。お役に立てたのなら幸いです。」


 と、まあ、そんな感じで最後のゴミ処理請負も終わり、俺たちはビッドリーを出発することにした。


「では、私とはここでお別れですな。

 五味殿とアロー殿は、このあとアイルへ行くのですかな?」


 Sランク冒険者のオーレさんは、ここまで俺に雇われて同行してくれただけだ。

 だいぶ無茶もさせたし、オーレさんが俺に感じてくれていた恩は、もう十分に返してもらった。

 これからのオーレさんの活躍を祈るばかりだ。


「いえ、その前に王都へ寄っていきます。

 昨日のうちに送った報告の返事で、王様に呼ばれまして。」

「何の用で?」


 アローが尋ねた。


「直接報告に来いというのが1つ。

 それと、アイルの領主として男爵に任命した件で、正式に任命式をやると。」

「おお。五味殿の晴れ舞台ですな。」

「それって私は同行できる感じなのか?」

「さあ……? 王城へ行ったら聞いてみるか。

 ていうか、晴れ舞台といえば、年明けに結婚すると言ってましたね、オーレさん?」

「そうですな。

 10日に挙式の予定ですぞ。場所は――」


 と、オーレさんから詳しいことを聞く。

 どうやら冒険者仲間とギルド職員を集めた内輪の祝いといった雰囲気でやるようだ。


「という事で、出席をお願いしますぞ。

 ああ、それから、お二人の式が決まりましたら、呼んでくだされ。」


 そう言われて、俺とアローは顔を見合わせた。

 アローとの結婚式か……。日本でよくある感じにするのがいいのか、エルフの文化に合わせたほうがいいのか……とか考えていると、アローがどんどん顔を真っ赤にしていった。


「楽しみにしておりますぞ。」


 では、と片手を挙げて軽く振りながら、オーレさんは立ち去った。


「わ、私たちも行くか。」

「そうだな。」


 王都までは1000㎞以上ある。まあ、明日の昼すぎか夕方ぐらいには到着するだろう。

 まず王城へ寄って報告と任命式をやって、チョーオーカーに行って一味を七味唐子さんに返して、アイルに戻ってから、またすぐオーレさんの結婚式に出て……割と忙しいな。けど、嫌いじゃない。


「……もう今年も終わりか。」


 明日はもう1月1日、新年だ。

 そういえば20都市巡りを始めたのも新年早々だった。

 新しい年が明けるとともに、この異世界での生活も新しいステージに進むようだ。

ビッドリー

 ビッグ:大きな

 ドライ:乾いた

 リバー:川

 語源から



完結です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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