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ゴミ220 達人、勘違いに気づく

 10月10日、トボル。

 イリマイオトグ遺跡からのアンデッド大量出現を受け、俺たちは遺跡に突入してアンデッドを召喚し続ける魔法陣を破壊して回った。そしてボス部屋っぽい場所で巨大アンデッドを倒した。


「……苦労して削っていた我々の立場というのがですな……。」

「1発で全部もっていかれるんだから、存在進化の回数が違うってことは圧倒的に違うよな。」


 オーレさんとアローは、そろってやれやれとため息をつく。

 ……解せぬ。


「……ん?」


 巨大アンデッドの死体――いや、元々死体だが――が光りだした。

 かと思ったら、骨のデザインを施した鎧を身に着けた男が現れた。頭の角を見るに、魔族勢力の1人だろう。


「なんだ……こいつは……?」

「……浩尉……こいつは、ヤバイぞ……!」


 オーレさんとアローがやたら警戒している。

 魔族勢力ならば今までも楽な戦いじゃなかったが、こんなに戦う前から恐れるような相手でもなかった。いったい2人ともどうしたというのだろうか?


「何がそんなにヤバイんだ?」


 俺から見れば、こいつの脅威度は「凶暴な猫」ぐらいだ。噛みつかれたり引っかかれたりしたら痛いし、怪我するだろうが、その程度だ。よほどの場所を負傷しなければ、致命的なダメージにはなりえない。

 それとも、戦闘の専門家たる2人にしか分からないようなヤバさがあるのだろうか?


「初めまして、大使殿。

 私は『置く者』と名乗っています。」


 怪訝に思っていると、魔族勢力の男が自己紹介を始めた。


「大使殿にとっては、はなはだ疑問なのでしょうが、そちらの2人には私の存在が圧倒的に感じるのですよ。」


 そうなのか? と尋ねるまでもなく、2人の脂汗だか冷や汗だか分からない尋常ならぬ汗の量が、答えを教えていた。


「なんでまた?

 たしかに『食べる者』や『笑う者』あたりと比べれば、いくらか強いように感じるが……『変わる者』や『染める者』とそう違わないだろう?」

「確かに、『悪人』や『極悪人』と比べれば、格上ですね。『魔人』と比べて『そう違わない』と言えるのは、さすがとしか言いようがありません。」


 面白そうにクックックッと笑って、それから「置く者」は急に何かに気づいた様子で思案し始めた。


「たしか、大使殿は『達人』でしたね?

 自分が『人間』と比べて、どのぐらい強いのか、把握していますか?」

「2000倍ぐらいだろう? それがどうした?」

「ほう……? まだその程度しかなじんでいないのですか。

 ならば、思っていたよりも勝ち目がありそうですね。」

「どういう意味だ?」


 まだその程度しかなじんでいない……?

 もっと上があるというのか?

 ……いや、そういえば、初めて鉄をむしり取ったときに比べて、今では割と簡単に鉄をむしれるようになっている。2000倍ぐらいというのは、初めて鉄をむしり取ったときの試算だ。ならば、今はもっとステータスが上がっているはず……。どのぐらいなのか計算するための物差しがないから分からないが。


「存在進化というのは、1回ごとにステータスが約4倍になるのですよ。

 つまり『悪人』なら『人間』の4倍、『極悪人』なら16倍、『魔人』なら64倍、そして私の種族『魔族』ならば256倍というわけです。

 同様に『ハイエルフ』や『素人』ならば『人間』の4倍。つまり、そちらの2人にとって、『極悪人』は自分より4倍強く、『魔人』は16倍強い。そこまでなら努力とか連携とかで何とかなるが、『魔族』である私は64倍強いので、もはやどうにもならない相手というわけです。」


 そうなのか。

 てっきり存在進化1回ごとに300倍ずつプラスされていくと思っていた。4倍なら、人間が歩くのが4㎞/hぐらい、走るのが20㎞/hぐらいだから、オーレさんやアローは16㎞/hぐらいで歩けて、80㎞/hぐらいで走れるわけだ。

 アローは魔力吸収体質で、魔法が使えない分、魔力がたまりまくって保有量だけは多く、それが身体強化の効果をもたしている怪力エルフだった。今はハイエルフだが、怪力なのは変わらない。それがステータスを何倍するのかは知らないが、80㎞/hよりは速く走れるのだろう。

 以前に100㎞/hぐらいで次の20都市を目指して走ったことがある。ステータスが300倍になったのなら、のんびり歩く程度の感覚だと思っていたが、もしかしてアローにとってはジョギングぐらいの感覚だったのだろうか? それとも、実はけっこう必死に走っていた……?

 それに、4倍ずつされていくという事は――


「じゃあ、『達人』の俺は、本当なら4000倍ぐらいになるわけか。」


 4の6乗で4096――存在進化6回の「達人」は、本当なら「人間」の4096倍ぐらいのステータスになる。そういう事か。

 日常から戦闘まで、様々なことに全力を出す機会がなくなって、すっかりステータスが種族になじんだと思っていたが、まだまだ途中だったという事だ。

 そりゃ「まだその程度しかなじんでいない」と言われるわけだな。


「でも、それって俺にとってお前は16分の1のステータスって事だろ?」

「その通りです。体重70㎏の人間が、4㎏ぐらいの小動物……たとえば猫なんかを相手にするようなものです。

 本当なら、勝てる・勝てない以前に、勝負にならないでしょう。」


 ですが、と「置く者」は俺以外の2人を見る。

 オーレさんとアローは、それだけでぐっと緊張感を高めていた。


「私からすると、そちらの2人は64分の1のステータスに過ぎないということ――体重70㎏の人間が1㎏の小動物――ミニウサギなんかを相手にするようなものです。」


 ……よく分からん。

 体重4㎏の猫と、1㎏のミニウサギって、どっちが強いんだ?

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