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ゴミ213 達人、トボルに到着する

 10月7日、トボル。

 ザンドリフから、北西へ55㎞、徒歩11時間半。ゴミ馬車なら5時間半だ。今日の気温は25度ぐらい。そろそろ季節的にも秋めいてきたところで、同じ25度でも9月中の25度よりは体感的に涼しく、過ごしやすい。せっせと歩いて汗をかくのが嫌だった俺たちはゴミ馬車で移動したが、冷房魔道具は使わず、風を感じるだけで十分に快適である。


「到着っ! ……と、いっても、あんまり実感的なものがないな。」

「都市部が途切れずに続いているからな。関所とかもないし。

 で、まずは領主か?」

「そうだな、アポを取ろう。」


 トボルは海から首都を越えて内陸に進んだ場所にあり、従って海には面していない。だが山岳地帯ではなく、全体が平地で、しかも標高が低い。要するに歩きやすい土地だ。トボル南部と王都北部は隣接しており、距離的に近いためにトボルは首都北部のベッドタウンとしての側面があり、昼間よりも夜のほうが街がにぎわっていた。これは、首都西部のベッドタウンであるリモーラと同様だ。

 ならばリモーラ同様、排出されるのは家庭ゴミが多いのだろう。


 というわけで、領主にアポを取った。

 3日後に会う約束になった。

 つまり、8日と9日は暇だ。観光しよう。


 10月8日、まずは北部に向かってみる。

 トボル南部は首都北部のベッドタウン――住宅地なのだが、トボル北部へ向かうと、徐々に住宅地に農地が混じるようになり、やがて大規模な農地が広がる土地になった。きっと、ここで収穫された農作物が首都で消費されるのだろう。


「もしかすると王様の口に入るようなのも、このあたりにあるのかもしれないな。」

「いや、七味唐子さんが作る『原種』を王族に売ってるんじゃなかったか?」

「……あ、そんな事いってたな。」


 そういえば猫耳商会の会長エコさんが言っていたっけ。七味唐子さんが能力で作り出す「原種」の作物を、王族に売っていると。

 2000年前、七味唐子さんと当時の王国軍が倒した魔族「汚す者」がまき散らした呪いのような何かによって、農作物を含む植物全般の生長が阻害され、農作物は味がおかしくなる「変質」現象が起きるようになった。今でも、変質しない植物は七味唐子さんにしか作り出せないらしい。

 「汚す者」は「魔族」だと聞いている。魔族ならば存在進化は4回だ。俺たちが戦ってきた敵は、最高でも「魔人」――存在進化3回だ。4回の「魔族」というのは、どれほどの敵だろうか。全国を汚染するほどの能力があるという事は、「汚す者」の例を見れば分かる。そして敵の首魁は存在進化6回の「邪神」らしい。油断ならないどころか、戦闘用のスキルを持たない俺に、討伐できるのか不安になってくる。一応、全国規模で影響力を発揮するという点では、俺も今まさに20都市を巡っている最中なわけだが。


「そういえば、2000年前の『汚す者』は、どうやって全国に土壌汚染のような呪いを広げたんだろうな?」

「さあ……? でも、『達人』の七味唐子さんが今でもその影響を克服できないんだから、そういう方向に特化した能力という事じゃないか?」

「感情攻撃みたいに? ああいう、ステータス格差を無視した影響力がある能力という事か。それは、あり得るだろうな。」

「ああ。」

「……格差を無視した特化か……。」


 俺の場合は、ゴミ拾いに特化しているわけだが……。


「あ。」

「なんだ?」


 俺はふと思いついて、ゴミ箱をいくつも上空へ飛ばした。

 上空から四方八方へ放射状に飛ばし、待つことしばらく――


「探知した。

 ゴミの量が圧倒的に多い地点が4か所がある。これらがゴミ処理場だろう。」

「おお……! なるほど。そうやれば、領主に案内してもらうまでもないというわけだな。」


 うなずきつつ、俺は探知したゴミ処理場らしき場所にそれぞれゴミ箱を1つずつ配置して、残りのゴミ箱を回収する。そして、ゴミ処理場に配置したゴミ箱には、そのまま何もせずに待機させた。


「処理を開始するのは、領主に挨拶してからだな。」

「そうだな。手順が大事だ。」


 問題を解いてから答えを見るから、答え合わせになる。答えを見てから問題を解いたのでは、ただのカンニングだ。


「やるじゃないか、浩尉。

 ……でも、それって『自動操縦』と『ゴミ探知』のコンボだろ? 今じゃなくて、もっと前からできたんじゃないか?」

「それな。」


 使えるという事と、使いこなせるという事とは、まるで別のことだ。


「そういえば、アローの方はどうなんだ?

 ハイエルフになって増えたステータスや、新しくできるようになった事は?」

「全体的に強くなったのと、魔力をはっきり視認できるようになった事ぐらいだな。

 感情攻撃や洗脳みたいに、他人の中に潜むような魔力は、外から見ても分からないし……。」

「とはいえ、『食べる者』の見えない攻撃も、今なら見えるだろうな。」


 半径3mだったか? 不可視の攻撃で、球状の範囲をまるで「食べた」ようにえぐり取る能力だった。

 あのときは「強調表示」が「体から離れた攻撃はゴミ判定」という事で可視化してくれたが。

 「恐れる者」の感情攻撃が煙幕みたいに見えたぐらいだから、たぶん「食べる者」の攻撃も見えるだろう。


「人によって魔力の色が違って見えるとか、そういうのはないのか?」

「得意な属性によって多少は色が違っているような見え方がするが、同じ属性を得意とする人同士を見比べても、その違いは分からないな。」

「そうか。」


 やっぱり感情攻撃や洗脳みたいなのは、外から見ただけでは分からないのか。

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