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ゴミ212 閑話 魔族「置く者」

 およそ8か月前――1月28日、ディバイド。

 樽作り職人による樽作り選手権大会で、私は参加者の1人に接触し、爆発の魔法を罠として仕込んだ樽を与えた。それがウマく爆発し、競技場は全壊。観客たちが競技場の崩壊に巻き込まれ、ディバイドの警備兵団が救助活動のために出動した。

 同日、グレミット遺跡に仕掛けておいた魔法が、予定通りに発動し、アンデッドが多数出現。競技場での救助活動に忙しい警備兵団は、満足な人数をグレミット遺跡に回せず、ディバイドは壊滅的な被害を――出さなかった。

 廃棄物処理特務大使……あの忌々しい男1人の活躍で、競技場での救助活動は驚くほど早く終わり、警備兵団は満を持してグレミット遺跡からあふれるアンデッドへの対応に回った。結果、アンデッドはグレミット遺跡の敷地から出ることもできずに完封され、さらには遺跡に仕掛けた魔法陣をも、あの男に破壊されてしまった。

 五味浩尉……我らが盟主『奪う者』と同じく、6回の存在進化を遂げた種族に到達している、呪わしい男。アイルでの計画が潰されるまでは、こちらの存在には気づいていなかった様子だが……にもかかわらず、奴はどういうわけか、まるで最初からこちらの存在に気付いているかのごとく、次々と我らの計画を潰してくれた。


「業腹極まりないクソ野郎め。」


 しかも、よりによって最初に潰したのが「奪う者」が計画していたスタンピードだったのだから、偶然にしてもできすぎている。

 しかもあのクソ野郎は、ムカつくことに、その後も我らの手勢を討伐して回っている。

 存在進化1回「悪人」の「笑う者」「怒る者」「悲しむ者」「恐れる者」「信じる者」。

 存在進化2回「極悪人」の「食べる者」「遊ぶ者」。

 存在進化3回「魔人」の「変わる者」「染める者」。

 すでに9人が倒され、残るは我ら幹部4人のみとなった。

 じっくりと人間の戦力を弱め、気づかぬうちに弱体化させようという「奪う者」の計画は、すでに実行不可能なまでの被害を受けている。


「このままでは、我らはじり貧だ……!」


 ディバイドから撤退した私は、トボルで計画を練り直すことになった。

 「奪う者」の目的を遂げるには、このトボルに移るしかなかった。しかし、奴は20都市をしらみつぶしに巡っている。いずれ、このトボルにもやってくるだろう。ならば今度こそ、奴の介入を受けても計画に支障のないように、念入りに準備をしなくては。

 私はまず、前回の失敗から反省点を洗い出した。奴の介入による影響が予想外だったとはいえ、問題は大きく分ければ2つだ。

 1つは、攻撃箇所が競技場と遺跡の2か所だけだったこと。もっと増やすべきだった。

 もう1つは、どちらも簡単に処理されてしまったこと。こちらの問題は、さらに2つに大別できる。

 1つは、施設の破壊による瓦礫の量産と要救助者の量産で警備兵団を引き付ける……この作戦は、奴の能力との相性が悪い。別の手を考えるのがいいだろう。

 もう1つは、アンデッドを召喚したことについての問題点。これは3つある。1つは、個体戦力が弱すぎたこと。2つ目は、召喚ペースが遅すぎたこと。3つ目は、魔法陣の数が少なすぎたこと。


「対策は――」


 要するに数が少なかった。

 もっと多くアンデッドを召喚し、もっと早く召喚を繰り返し、アンデッドの数を増やさなくてはならない。そうすれば、奴といえども、そう簡単に処理できないだろう。なにせアンデッドは収納して終わりというわけにはいかないようだから、奴はステータスに任せて戦うしかない。しかも、奴はステータスが高いだけで、武術も魔術も使えない。ならば、数で押せば押し切れるはずだ。


「――よし、ダンジョンを作ろう。」


 競技場と遺跡の2か所だけでは少なかったという問題も、むしろ1か所にまとめる事で戦力を集中できる。

 爆発の魔法の罠は、通路に設置する。召喚の魔法陣は大量に用意する。意図的に魔物を溢れさせ、人間への積極攻撃を開始する。あふれるほどの魔物でダンジョンを満たし、防衛戦力にする。時間を稼ぎ、その間により強力な個体を召喚する。

 ダンジョンを作れば、奴への対策は十分にできるだろう。

 そして、10月7日――奴はもう、リモーラで「変わる者」を倒し、ザンドリフで「染める者」を倒した。次はここトボルへ来るはず。

 タイミングを同じくして、「奪う者」から連絡が来た。

 計画の一部変更――なるほど。これなら今まで進めていた計画を流用でき、減ってしまった我らの手勢を補える。さすがは「奪う者」だ。


「来るがいい……今度こそ、あのクソ野郎の妨害を乗り越え、我らの計画を成就させる。」


 それに、これだけ準備すれば、人間への攻撃も防衛も十分だろう。

 行政の機能停止まで追い込めれば、治安が悪化し、「悪人」に存在進化する者が増えるはず。我らの手勢を補充しつつ、ウマくいけば以前よりも増員できる。しかも同時に、この国への……人間へのダメージになる。

 うまい手だ。ほんのちょっと攻撃の勢いを弱めて、人間を殲滅する計画を「困窮させる計画」に修正するだけでいい。

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