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第59話 火が炎になって災いへ

 最近身に染みて感じることがある。

 どうしてこうも物事というものは、想定できうる最悪の予想の遥か斜め上をいくのだろうか、と。

 尤も。この事態を仮に偶発的かつ今世紀最大の閃きを得て想定出来たとしても、俺は何の対策も立てる事も出来ぬままその日を迎えたであろう事は明白なわけだが。

 非現実染みた世界であるなら、そのまま非現実的に物事を進めてくれてもいいように感じたりするのだが、そう都合よくは動かないらしい。

 非現実な立場であろうが、現実世界においては相応の在り方と在る場所が必要であって、また、それを確立しておかなければ生活がままならない。

 つまりは、非現実な存在であろうがなんだろうが、現実に生きるならば現実のルールに沿わなければいけないのだ。

“郷に入っては郷に従え”

 まったくもって奥が深い先人達の言葉である。

 


「ここが本日より優様のお部屋でございます」

 長く広い廊下を抜けて、何度目かの右左折を繰り返した後に辿り着いた一室を前に、汐が丁重にお辞儀をする。

 これだけ歩けば、なにやら隔離されるために、遠方の隅の部屋に追いやられた気がするのだが―

「機密保持のため、隣には私がいますのでご安心くださいね。尚、この廊下の一番奥には衣緒様のお部屋がありますので、御用の際はノック後返事があり次第進入を試みれば、生命に危険が及ぶ事はないように思います」

 どうやらその心配は杞憂となりそうだ。若干、最後の方に聞き捨てならない新たな不安要因は増えたが、精神的安息のため聞き流すとしよう。

「あと…」

「ん?まだ何かあるの?」

 部屋に入ろうとドアノブを回す俺を制するかのように、言葉を続けようとする汐に怪訝そうな表情で首を傾げる俺。


「その方の都合上、パートタイマーという形ではありますが、双方の利害が一致したので貴女様のお世話役として本日付にてメイドとして仕える事になった者のご紹介を」


 よく分からない説明を挟みつつ、一気に説明を終えた汐さんは淡々と事務的にお辞儀をした。メイドとして業務中の彼女は、どうも薫を連想させる物言いと雰囲気を感じさせた。

「やはり貴女をよく知っている人物にお世話を頼む方が楽でしょうし。特例ではありますけど、彼女は聡明だったので高校への飛び級入学、それと貴女様のクラスへの編入手続きは安易に済みました」

 嬉しそうに微笑む汐の姿に、ただならぬ悪寒が背筋を走る。

(彼女?)

 つまりは女性という事だろう。

(飛び級?)

 つまりは年下という事だろう。

(聡明?)

 つまりは頭の回転が良いという事だろう。

(俺をよく知っている人物?)

 当てはまる人物が一人。

 この時点で嫌な予感は、確信へと変わった。

 出来る事ならば、この扉の向こうで待つであろう人物には触れずにこのまま穏便に日々を過ごしていきたい気がしないでもないのだが、如何せん逃げ場がないというべきか…!!

「…ちなみに」

「はい?」

 まるで錆び付いた機械のように固まった首を、無理やり満面の笑みで佇む汐へと回す。

「俺の存在については話したのか?」

「……?つまりは貴女様が、元神凪翔だとお教えしたのかという事でしょうか??」

 さも不思議そうに首を傾げる汐。

 無言で頷く俺の姿を見て、汐は破顔すると――

「まさかそんな事〜」

「あ、あはは。そうだよね。話したところで信じられないだろうし。何言ってるんだろ」

 廊下に響き渡る不気味な笑い声。

「現在、神凪翔様は存在している以上、その説明には無理がありますし、元々の貴女様の説明との食い違いが生じます。よって、可能な限り現状を壊さぬように妥当な嘘を交えつつ、現状に至るまでの経緯を説明させて頂きました」

「多大なる面倒をおかけしたようで……」

「いえ。衣緒様の配慮があってこそ、ですよ」

 そして一通り笑い終えた後、汐はケロッとした表情で言い放った。

「想い人である神凪翔と添い遂げるため身分すらかなぐり捨てて家を出て、記憶喪失を装っていた、とご説明させて頂きました」

「この馬鹿娘ーーーー!?」

「無事、親の許しを得たので屋敷へとこの度戻る事となったと告げた時の神凪家の皆々様とご友人一同の笑顔を、是非優様にもお見せしたかった……。ですから安心して下さいませ」

「どこに!?どこに安心する要素があるの!?」

  配慮という言葉の意味を理解しているとは到底思えない汐の発言に、俺はその満面の笑みを浮かべる肩を掴み叫んだ。

 そしてその騒ぎを聞きつけたのか、独りでに開かれた扉の先。

 これまた見知った満面の笑み。


「あ、優お義姉様」


 ……お義姉様ときたか。この馬鹿妹よ。

新年早々体調崩してばかりだ……orz

体調が回復しました宣言した次の日辺りで、インフルエンザか高熱で死んでた如月コウです(吐血)

病院行って熱を測ると40度。あれ?死亡フラグですか?(ぁぁ)

皆さんもこの時期の体調管理はしっかりしておきましょうね。

何はともあれ、再び舞い戻って更新です。

自身で立てた更新速度に遥かに遅れている分、少々焦りを感じていますが、内容がこれ以上駄作にならぬように頑張ります。

激動な話の流れも四話目。そろそろ平穏な学園コメディに戻りたいところですが……まだまだ説明がしきれていません。

少しずつ説明していければな〜と考えております。

お手紙、コメント、感想大歓迎です。文法的におかしな部分、読み難かった部分があればご指摘、もし宜しければお願いします。

それでは〜。如月コウでした(礼)

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