表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
42/88

第39話

鏡の前に座らされて、ヘアメイクを施されている間に今回の撮影の趣旨を説明される。

ファッション雑誌の秋物特集と題された数ページに掲載する、クライアントから手渡された衣装の中から一枚を選んで、それを着て撮影された写真が必要らしい。

散々試着を繰り返し、最終的にスタイリストさんがこれだと決めた、胸元にレースの中にサテンリボンが入ったキャミソールのワンピースに着替える。

シルバー、と言うよりも、どちらかと言うと純白に近い色合いで、俺のブロンドの髪が映えると言われて満足気に手渡された。

そしてメイクも『素肌自体が綺麗だから最低限で。とりあえず後は照明で肌が傷まないようにだけしておきましょう』とだけ言われて、案外早く終わった。

そして―


「…………」


準備を終えて部屋から出てきた俺を、皆が呆然としながら出迎える。どういう訳か、準備をし終わって一段落ついていたスタッフすら声を発しようとしない。

「へ、変…かな…?」

その妙な沈黙が不安で、思わず口を開く。

女に変わってしまった自分の姿を、そう何度も真剣に鏡を通して見た事なんて無かった。

だが、キャラメイクの自由度が高いゲームで、出来るだけ理想的で美人なキャラとして“優”を作ったつもりである。変な言い方になるが、それなりに自信はあったつもりだ。

勿論、だからと言って『俺は綺麗なんだ』と誇るには、男としてかなりの抵抗を感じる。だからその容姿を利用した行動は、出来るだけ行ないたくないのが本音だ。

それに正直、未だに自分この姿を現実として捉えられてない所もある。

なぜなら、周りに綺麗だとはやし立てられたところで、俺にとってはやはり自分は神凪翔でしかないのだから。そう言われても、ピンとこないのが実情だ。

だから不安になる。俺には似合ってないのではないのかと。

だが―

「う、ううん!?凄く綺麗ですよ!?」

「うん。上玉だとは常々思っていたけど、今まで服装の着こなしが駄目だったからね。合ってる物を着れば、モデルで十分通用する綺麗さだね」

「ですよね!逆に優さんが変だって言われたら、私が落ち込むかも…」

綾奈と翼。それと藍璃が落ち込む俺に、慌ててフォローを入れてくれた。

「ありがと。少しは安心できたよ」

その言葉に、俺はほっと胸を撫で下ろす。

男だと主張したりもしたいが、女として引き受けた秋月さん達にとっては大事な仕事である。俺が駄目にする訳にはいかない。

「優ちゃん。落ち着いて。君ならきっと出来るさ」

「吉良…君。ありがとう」

紳士的な吉良の言葉に素直に感謝する。てっきり吉良が一番ぎゃーぎゃー五月蝿く騒ぎ立てるかと思ったのだが、いらぬ心配だったようだ。

だがまあファンクラブの件は許す気はないが。

しかも―

「会長として出来る限り協力はするよ。あ、すいません。今回撮影した写真を、校内新聞の一面で使用したいので焼き増してくださいませんか」

「とりあえずお前が一番落ち着け」

どうやら真面目にシャレにならない事を考えていたようだ。

とりあえずこいつは撮影が終わった後から殴るとしよう。藍璃と翼なら快く協力してくれるだろう。



それからが大変だった。

みんなは本来の目的通り宿題をしつつ、こちらを『目の保養』と称してちらちらと盗み見る。

その一方で俺は、秋月さんの指示の元、あれこれポーズを取りながら笑顔を振り撒く。

当初は俺は、写真撮影ぐらい簡単だろうとタカを括っていたのだが…。

その認識は甘かった。モデルとしての写真撮影は重労働だった。相手に望まれるがまま、カメラに向って笑いかけるのは予想以上に難しい事でもあるし、照明の光が、時間が経つにつれて己の体力を奪っていく。

「優、大丈夫?」

「ん、なんとか。意外に重労働だね」

どうやらある程度区切りがついたらしく、スタッフ全員が、今日撮った写真を選別するために部屋へと入っていった。

その様子を見ていた翼達が、俺へ飲み物を差し入れてくれたのだ。

「とりあえずこれで終了らしいですよ」

「らしいね。あー疲れた…」

綾奈の言葉に溜め息と共に背伸びする。

これも貴重な経験と言えば経験だろうが…。やはり出来れば二度と経験したくないと思ってしまった。

「協力に感謝します」

薫が無表情ながらも感謝の言葉を述べて、秋月さん達のいる部屋へと飲み物を運んでいく。

そういえば。写真を撮ったのはいいが、どのようなファッション雑誌に掲載されるのだろうか。

あの多種多様な衣装からして、掲載されるのは秋物特集の数ページの中の極一部分だけだろうが、それでも自分が女性ファッション誌に載るのは嫌だ。

当然の事ながら、俺の名前を伏せるなどして素性がバレないようにしてもらいたい。

そんな事を考えていると、その不安を感じ取ったのか。翼が俺の肩をポンポンと叩いてこう言った。

「心配しなくても、あの薫だって一度もバレてないんだから大丈夫だって」

「……は?」

その言葉に首を傾げる。

(薫が?バレてないって…モデル経験があって尚且つそれが雑誌で掲載されてるって事か…?)

鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしている俺に、綾奈は少し困ったような顔をして―


「秋月さんの専属モデルが、薫ちゃんのアルバイトですから」


と、そんなとんでもない驚愕の新事実を告げた。

今回やっと薫のアルバイトの謎が判明しました。綾奈の話でアルバイトが出てきた時に、ここまで想像出来た人はいないでしょう(笑)もしかしたら、話中に秋月が出てから、予想できた人は居るかも知れませんが…。

少しでも予想外で、しかしながら“なるほどな”と思ってもらえるように出来て入れば光栄です。出来てなかったら……生温かい目で見守ってやって下さい(笑)

お手紙、コメント、感想大歓迎です。文法的におかしな部分、読み難かった部分があればご指摘、もし宜しければお願いします。

それでは〜。如月コウでした(礼)

●ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)

●ネット小説ランキング>現代FTコミカル部門>「ぷらすマイナス*S。」に投票です


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://nnr.netnovel.org/rank08/ranklink.cgi?id=secrets
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ