消しゴム作戦
あれからひと月がたって、親友の敦に相談することにした。
なぜ今更と思うかも知れないが、25歳の自分が(見た目は中一だが)、親友とは言えども中学生に相談するなんてと思って言えなかった。
変なプライドは捨て、相談した。
自分「敦、俺、篠田のことが好きなんだ。でも、全然声掛けれなくてさ」
敦「やっぱりそうだったんだ。なんとなくそうなのかなーとは感じてた」
自分「さすが、親友、気付いてたか。どうしたらいいと思う?」
敦「んー、授業中に机から消しゴム落として、拾ってもらったお礼に映画誘うとかは?」
自分「ぉお!それいいね!(やっぱ中学生か…)」
自分「でも、いきなり映画は…。敦は理想のデートとかある?」
敦「俺はバイクに乗せて、走りてぇな!」
自分「お前まだ中1だろ!免許ないじゃん!」
敦「お前も中1だろ(笑)あー早くバイクの免許取って、女子を後ろに乗せて走りてぇー!」
自分「バイクはやめとけ!危ないし!車でいいじゃん!」
敦「壮はわかってないなー!バイクだと、くっつけるじゃん!」
自分「いやでも、バイクだけは…」
敦「てか、俺の話はいいんだよ。今度お前が消しゴム落とす、それで声かけて、デート誘う!よしOK!」
自分「はいはい」
色々思うことはあったが、とりあえず実践してみることにした。
ある日の夜、塾で、消しゴムを落とした。
しかし、上手いこと篠田さゆの下に転がってくれず、自分の下に転がってきた…
何だろうか。この自分でわざと消しゴムを落として拾う感じ。
右斜め後ろの席にいる敦のプッと吹き出す声が聞こえた。
敦の方を睨み付けると、敦は「ごめんごめん」とジェスチャーした後に
「もう1回」とジェスチャーしてきた。
こいつは鬼なのか、中学生のくせに…
と思ったが、自分も中学生であり、もう一度試みた。
ドンっと落ち、見事篠田さゆの前に転がった。
心の中で、ガッツポーズをした。
だが、すぐ嫌な予感がした。
そう、近くを歩いていた先生が拾いに来たのだ。
先生「はい、消しゴム。さっきも落としてたでしょ。ちゃんと集中しなさい。」
自分「すいません。」
また敦が笑ってるのが、分かった。
先生「敦くんも笑ってないで、集中しなさい!」
敦「すいません。」
先生、グッジョブ!心の中で思った、そんな自分は立派な中学生だ。
25歳?いや、今は頭脳も中学生だ。
後日、鉛筆など色んな物を落としたが、一度も成功することはなかった。
むしろ、母ちゃんが呼び出されて、その後、親父に激怒されてから、二度とその作戦を試すことはなかった。




