第22話 約束
いよいよ最終話です!
6年の時を経て『約束』の内容がついに…学は『約束』を思い出せるのか?
一体、友美と学はどんな『約束』をしたのか?
そして2人は…
6年前、小学校の卒業式があった次の日。友美はいきなり引っ越すことになった。僕は友美ともう一度だけでいいから会うために友美の家へ全力で走った。何とか間に合った僕は30分だけ友美と遊ぶ時間をもらった。30分という時間はあっという間で、すぐに別れの時が来てしまった。その時に友美は『私、大きくなったら学くんと…』という約束をした。それから僕と友美は6年間、一度も会うことはなかった。
「6年前の約束はね…私の一方的な約束なの。でもあの時、学くんは笑顔で『うん! 約束だね!』って言ってくれたんだ」
「そんな約束を僕は覚えてないのか…」
僕は改めて自分の情けなさを反省した。こんなにも大切な約束を何故、忘れてしまったのか…
「ううん。6年前だもん。忘れてても仕方ないよ」
「友美は…はっきりと覚えてるの?」
「うん。はっきりと覚えてるよ。私にとっては将来を決める約束だったから…」
将来を決める約束…? 僕は少し困惑した。僕がその約束に関わっているということは僕次第で…僕の気持ちや行動で友美の将来は変わってしまうかもしれないということになる。
「小学生の時に将来を決めてたの?」
「全部は決めてなかったけど…学くんとは将来、こうなればいいかなって」
僕は友美の話を聞きながら必死に記憶を呼び起こしていた。6年前の『約束』に関する単語が友美の話で何個かわかった。もう少し…もう少しで思い出しそうなのに…
「学くん、思い出せそう? 無理に思い出さなくてもいいんだよ?」
「もう少しで思い出せそうなんだけど…」
その時だった。僕の頭の中に1つの記憶が思い浮かんだ。
「あ…」
「どうしたの?」
「6年生の夏だったっけ? 僕と友美の家族みんなでキャンプに行ったよね」
「うん。行ったね」
僕が思い出した記憶…それは6年生の夏に行ったキャンプの記憶だった。友美が不登校になっていたということもあり、久しぶりに数日間、一緒に遊べると思って僕はキャンプをすごく楽しみにしていた。キャンプ当日。キャンプ場に着くとすぐに僕は友美を連れて遊びに行った。
「友美ちゃん、久しぶりにたくさん遊べるね!」
「うん! そうだね!」
学校があった時は週1回くらいしか会えなかった。夏休みに入っても多くて週2回くらいしか会えなかった。キャンプは3日間。友美と3日間、一緒に過ごせて遊べる…僕は後悔しないようにたくさん遊ぼうと決めていた。3日間、たくさん遊び、たくさん話をした。しかし、時間は無情にも過ぎていき、あっという間に3日目の夜になった。僕と友美は寝ることができず、みんなが寝静まった後に外で一緒に話をしていた。
「学くん、楽しかったね」
「うん! 久しぶりにたくさん遊べたね!」
僕と友美は時間を忘れ、たくさん話した。そのうち話は友美の不登校の話になった。
「友美ちゃん、もう学校に来ないの?」
今、思うと友美には残酷な質問をしたと思う。
「うん…行かないと思う」
「どうして?」
「学校…嫌いだもん」
「僕は友美ちゃんが来てくれないと寂しいよ」
友美はこの話にそれ以上は何も言わなかった。きっと怒っていたんだと思う。
「学くん、今日の月はきれいだね」
友美は話を変えてくれた。そう言われて空を見上げるときれいな満月が浮かんでいた。
「ほんとだ、きれいだね」
「学くん、私ね…」
友美は何か言おうとしていた。僕は友美の言葉を待った。
「私…学くんのお嫁さんになりたい」
僕は全てを思い出した気がした。キャンプでの話、引っ越しの日のこと、そして…あの日の約束。全ての記憶が僕の頭の中を駆け巡る。
「学くん…思い出した?」
友美が僕の顔を覗き込むように見た。僕はゆっくりと顔を上げる。
「思い出したよ。全て思い出した。友美…ありがとう」
全てを思い出した僕は涙を流していた。決して悲しくて流れた涙ではない。全てを思い出せた安堵感とここまでの苦しみが重なって僕の目から涙が流れた。
「どうして泣いてるの?」
「いや…嬉しくて…」
6年間、思い出せなかった。でも…ようやく今、思い出すことができた。
「友美、ごめん」
「ううん。ありがとう。私…すごく嬉しいよ」
「約束は絶対に果たそうな」
「うん!」
そう誓い合って、僕と友美は静かにキスをした。公園では小鳥たちが鳴いていた。まるで僕と友美のことをお祝いしてくれるかのように。
あの日から5年。僕と友美は結婚した。約束してから11年。僕と友美は約束を果たすことができた。
『私、大きくなったら学くんと結婚する。約束だよ!』
『うん! 約束だね!』
あの日の約束。小学生同士の小さいながらも大きな約束。もし、この約束をしていなかったら…この約束をお互いに忘れていたら…僕と友美はどうなっていたのだろうか。僕は未だに時々、そう考えて怖くなることがある。
「もう、学くん。また昔のこと考えてるでしょ…」
何故かわからないが、友美には必ずバレてしまう。
「過去の約束は果たしたんだから、気にしないでよ」
「うん。ありがとう。友美が側にいてくれると思うと心強いよ」
確かに昔のことを考えると不安になる。でも今の生活は幸せで友美と話すとその不安は一気に消えた。
「それに5年前に新しい約束、したでしょ?」
「何だっけ?」
僕は笑いながらそう言った。僕は冗談のつもりだったのだが…
「あ〜忘れないって約束したのに! もう学くんなんか知らないんだから!」
友美は僕の腕を叩きながら、そう言った。
「じょ…冗談だってば! 忘れるわけないだろ!」
そう言うと友美は叩くのは止めたが、まだ納得できない様子だった。
「友美が過去の事を気にしないような強い女の子になる。僕がそんな友美を支えれるように常に側にいて、何があっても守る」
約束の中身を僕が言うと友美はやっと笑顔になった。
「約束したんだから…学くんが過去を気にしちゃダメでしょ?」
「そうだね…こんなんじゃ友美を守れないな」
「だから…約束でしょ?」
友美が満面の笑みで僕に言う。この笑顔を見る度に僕は幸せだなと感じる。
「うん。『約束』だね」
僕と友美は新たな『約束』を胸に刻み、その『約束』をいつか果たせるように新たなスタートを切った。
読んでくださってありがとうございます!
『約束』無事に完結することができました!
途中で諦めようなんて思った時もありましたが、みなさんの応援のおかげもあって、最後まで書くことができました。
最後まで読んでくださったみなさま、途中だけでも読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます! 読んでくださったみなさまに感謝です!
この小説で『約束』の大切さを感じてもらえればな、なんて思ってます。
活動報告にも書いたとおり、新作を書いています。なるべく早く書いて投稿したいなと考えてます。
最後にもう一度だけ、本当にありがとうございました!




