タイトル未定2026/09/05 23:26
ご覧いただきありがとうございます、ポメロです。この作品は愛をテーマにした小説です。
暴力や性的な描写は一切ございません。
[フィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません]それでは、お楽しみいただければ幸いです
現在、未織は絶体絶命の危機に陥っていた。
――ヒュンっ――
「……っ!、、なんで俺ばかりこんな目に……っ!」
向かいには未織よりも遥かに巨大な男。未織と歳はそう変わらないはずなのに。背丈はおよそ、180センチといったところだろうか、いや、190センチはあるかも知れない。しかし、未織はそんなことを気にする余裕などなかった。骨骨しい骨格に鋭い目つき。いまにも皮膚を突き破りそうなほどに膨張した筋肉。暴力が人の形を取ったような容貌の持ち主は、高く飛び上がり攻撃の構えをとった。
「ふんっ……!」
銃弾のごとき勢いで迫る魔弾が未織のみぞおちを抉らんとする。
体を捻り、なんとか急所は避けようとする。が、
「っ………あ……っ」
刹那、未織は耐え難い苦痛に襲われ意識が朦朧とする。
そのまま未織はゴシャッと音を立て、地に沈んだ。
「まったく、歯ごたえがまるで無い。正直がっかりだぞ」
背丈はおよそ、180センチといったところだろうか。いや、190センチはあるかも知れない。といったところだろうか。歴戦の風格をまとう男が吐き捨てるように言った。しかし、その言葉は意識のない未織の耳に届くことはなかった。
午前10時、朝食を済ませた未織は居間でテレビを見ていた。特段見たい番組があるわけではなく、頻繁にリモコンをいじって、チャンネルを変える。要するに、手持ち無沙汰なのだ。
未織がここ、藤坂村へ越してきて二日目。村を探検したいと思うのが自然だが、燦々と地を照らす太陽がそれを阻んでいた。
いよいよリモコンいじりに飽きてきた時、不意に知った声が未織の名を呼んだ。
「っ、なんだ……?」
部屋のふすまを開け、縁側から外を見渡す。
「やっほ、おはよう、未織!」
幼なさを残す小さな口もと、愛嬌のあるつぶらな瞳を持ちながら、どこか凛然さを思わせる顔立ち。
太陽の明かりを浴び、蒼とも銀ともつかぬ髪が、夏の風になびいている。
そこには未織とそう歳は変わらないであろう少女がいた。
「眩華……なんだよ」
瞬道眩華。つい先日知り合ったばかりの少女だ。そんな彼女がなんの用事でここへ来たのだろうと訝しんだが、それは予想外の一言によって片付けられた。
「バレー、するわよっ!!!」
そして、今に至る。
はっと意識を取り戻す。数瞬の後、未織は事態を完全に把握した。
――そっか、僕、バレーで気を失って――
自身の貧弱さに目眩がする。いくら相手がバケモノじみていたからといっても、まさかビーチバレーで気絶するとは………。
まぶたの裏にも伝わる燦々とした太陽の光。目を開けるのも億劫になり、再び眠ろうと寝返りをうつ。
すると、
――ふにゃり――
頭の辺りに奇妙な感触が走った。この感触の正体を知るべく、瞬時に脳内の思考を加速させた。そして、刹那のうちに結論に至った。
すなわち、
「ひざ枕!?」
ドキドキして、まぶたを見開く。そこには、
「お、起きたようだな」
筋肉の化身がいた。
「~~っッ……!」
予想されていた人物とは異なる顔を見て、トラウマが蘇る。
「あ、やっと起きたのね。これだから都会っ子は……」
「こんなやつのスパイクをもろに受けたら、誰だってこうなるだろ……」
改めてその屈強な肉体の持ち主を見る。やはり、かなり強そうに見える。が、先程よりも一回りほど小さく見えた。
「さっきの力は一日3分が限度だ」
「思考を読まれた!?ていうか……きみ誰?」
――都会のもやしっ子を試してやるわ!!――
眩華が、そう言って連れてきた屈強な少年。
「こいつの弟だ」
「この子の姉です」
未織は二人の顔を見比べる。たしかに、気の強そうな雰囲気が似通っているなと、妙な納得感があった。
「で、名前を教えてくれよ」
「三郎だ。これから長い付き合いになるだろう。よろしく頼む」
なるほど名は体を表すというように渋い名前だと、おかしな感動を覚えた。
「あぁ、よろしく」
未織たちは波打ち際に沿って歩きながら、他愛のない話を繰り返した。というよりかは、村の外を知らない姉弟たちの質問攻めと言ったほうが適切だった。
「都会って、美味しいスイーツがありふれてるんでしょ!?」
「まあなぁ~…………ここじゃ食えないものも、たくさんだ」
「未織、都会で……なんだ、その……彼女……とか…いたのか?」
「べつに、あとなんで照れてんだよ」
「ねえ、あんた有名人にあったこと、、ある?」
「ああ、実はな僕、ハマタちゃんとダチなんだ。………これは口外禁止な」
「「「マジですか!!!!!!!!!!」」」
大嘘である。
そんなこんなでしばらくの時を過ごした。ふと、沈黙が場を支配する。カァカァという、山に響くカラスの鳴き声が否応なしに鼓膜を揺らす。。一瞬の間で、空気が張り詰めたかのような錯覚を起こした。
では、と突然
「未織、お前、オカルトって信じるタチか?」
「なんだよ、突然そんなこと。身構えて損したよ。……で、オカルト?ま、面白けりゃ何でもいいよ」
「そこ、見てみろ」
三郎が指さす先に、未織も視線をやる。大きさは未織の膝程度だろうか、複数の石が組み込まれ壁になり、三方向を囲っている。上部は、厚さ5センチ程度の木の板の上に、布状にまとめられた干し草が重ねられた屋根がついている。正面からその内部が覗けるようになっている。そこには、灰色の石を彫って作られた、地蔵があった。
要するに、祠だった。潮風や砂に襲われる場所にあるにしては、内部にも外部にも目立った汚れは見当たらなかった。村の人に大切にされているのだろう。
「この村には、その祠に関する伝説があるんだ。気になったら、調べてみるといい」
未織も冒険家の端くれだった。この場で教えろとせがむような真似は無粋だと思った。
「機会があれば、ね」
そう言って再び歩き出し、
「三郎、そろそろ夕飯の準備をしましょ、」
気がつけば太陽は海と同化し、蒼を黄昏色に染めていた。哀愁漂う波音が一日の終りを告げようとしている。先程よりも鳴くカラスの声は、一層寂しげに響いている。
「ん…、わかった」
そう言って二人は下ってきた坂道を今度は登り、姿を浅い闇の中に消した。
「三郎、あいつに…なんであんなこと言ったのよ」
「あいつだからだろ。それに俺らが言わずとも、いずれは……だろ?」
「ま、いいわ。それとさ、気、紛れたかしら?」
返事はなかった。が、足音が重なった。同じスピードで、坂道を後方へ押しやって一歩一歩踏みしめて歩く。
「姉ちゃん、袋、持ってよ」
姉弟は肩を並べてゆっくりと歩いていく。
「私たち、ずっと一緒にいようね」
未織はベッドの中で今日のことを思い出していた。ビーチバレーで気絶したこと、三郎と知り合ったこと、彼ら姉弟と仲良くなったこと。そして、三郎からのあの質問。その問いに一体どういった意図があったのか、思案する。そうしているうちに、次第に視界がぼやけ、意識が遠退いていく。
………はやくわたしをみつけてね、ぱぱ、まま………
こんにちは、はじめまして。ポメロです。なんとか1話書いて満足……というのは避けられました笑。
色々足りない部分も、イタいと思う部分もあると思います。そういった改善点やご意見などぜひお聞かせください。
では、また次のお話でお会いしましょう!




