66.早速行こうデパートに
散々ルシファーに振り回されたハルはなぜか今、彼女の部屋の前にいた。ルシファーは現在着替え中であり、どうやら彼女が着替えてくるのを待たされているようだった。ハルは持ってきた本を読みながら彼女の行動にため息をついた。
「はぁ……」
『ハルサマ、ドウイタシマシタカ?』
「ルシファーっていつもあんな感じなの……?」
『ソウデゴザイマスネ。ナニセ、女王陛下ノ子供達ノ中デ最モ幼クソレニ唯一ノ娘デゴザイマシテ。マタ他ノゴ兄弟ト歳モ離レテオリマシテネ。ソレユエ兄上殿下モ陛下モルシファー殿下ニトテモ甘イノデスヨ』
「なるほどね……」
『マァ、教育係ガコレデハイカン、ト危惧シマシテ、ナントカアル程度ハ矯正シマシタガ……』
「苦労してんのね……」
『ハハハ……』
ハルと案内役がルシファーの自由さについて少し愚痴っていると、扉がキィと少し控えめに開き、そこからルシファーが出てきた。
「待たせたわね! ハル!」
「あら、けっこう早かったわね」
扉の開け方は控えめだったがルシファーは自信満々に出てきた。
彼女の格好は黒のキャップにそれとお揃いの色の肩だしのシャツ、ビビットピンクのインナーにグレーのホットパンツ、そしてラバートゥースニーカーといった、ハルが前生きていた世界の10代の一部の女子が好みそうなファッションだった。
ハルは(王女いえどもカジュアルだなぁー)と思いながらルシファーを凝視した。
ルシファーはそんなハルに気づいたのか少し睨みながらしかし照れも含みながら聞いた。
「どうしたのよ、さっきからジロジロ見て」
「いや、結構カジュアルだなって。可愛いし」
そういえば、湖で見たときも結構似たような格好してたな、とハルは思い出した。その言葉にルシファーは揶揄うように笑いながら言った。
「そりゃあ、いくら王女いえどもドレスばっかりじゃあ疲れるわよ。それに最近は夜会でもそれ専用のワンピースとかが多くなってるしね」
「へぇー……」
ハルは妙に感心しながら頷いた。すると、またルシファーは彼女の腕を引っ張った。
「さて、難しい話は後にして、早速出かけましょうか! ほら着いてきて!」
「ちょっと、ルシファー! 引っ張んないで! 痛い!」
ルシファーはハルの悲鳴を無視してデパートまで走り出した。案内用の悪魔も呆れながらそんな二人についていったのだ。
「着いたわよ、ここが魔界の一番のデパート『72ナイツ』よ」
「へぇー……ここが……ゼェ……ゼェ……(ネーミングダサっ!)」
ルシファーに半分連れ回されるようにしてようやくデパートに着いた2人と1匹。
ハルは息切れを起こしていたが、どうやらルシファーはあまり気づいていないようだった。
「さ、早速中に入りましょ、アタシの誕生日プレゼントとか買いたいし」
「へ? 自分で買うの?」
「そうよ? 変?」
「いや、別にそうでも無いけど。家族から貰わないのかなって」
「貰うけど、でもホントの本気で狙ってる者は自分で買いたいじゃ無い? それに」
「それに?」
「大好きな人に真っ先に祝ってほしいから、ね?」
ルシファーはハルの顔を上げ、誘惑するように言い、中に向かった。ハルはその色気にビックリし、しばらくの間固まっていた。
「怖いわ……あの子……」
『魔性ナンデスヨネ……』
ハルは何とか立ち上がり、案内役の悪魔と共に少し震えながら、デパートの中に入っていった。




