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母はヒロインに会いに行きます

子ども達の仲が良くなったからといって油断はできない。

もしかしたら、いずれ現れるヒロインによってまた関係が悪くなるかもしれない。

今までの事をお互いに詫びて、せっかく仲良くなったのにそんな事になってしまったら意味がない。


そうなる可能性がある以上、母親としては見過ごせないのだ。

やはりヒロインは邪魔だ。排除しよう。

しかしいざ排除するにしても、まずヒロインがどんな人物かで後々対応が変わってくる。


確か今の時期、彼女は城下町に住んでいたはず…

よし、そうとなれば偵察ね!


******

現在私は七歳になった。子ども達の仲を修復した後も彼らの屋敷に入り浸り続けた結果、今では他愛無い話から婚約者との恋愛相談までされるくらい仲良くなった。両親には最初行きすぎだと止められたが、ルーカス様(元夫)が私が来た方が子ども達も喜ぶし、自分としてもうれしいから構わないと言ってくれた為、今では毎日のように行きまくっている。


通いながら、私が亡くなってから七年も経っているのになぜ再婚しないのか疑問に思っていると、「お父様は今でもお母様を愛していらっしゃるから再婚しないのよ」と我が娘(フィオナ)は教えてくれた。


彼は今でも私を愛してくれているのね…

その事実に泣きそうになった。


さて、そんな私は現在城下町に来ている。

今の私の格好は貴族のご令嬢のお忍びスタイルだ。


作戦としてはまず、


1この町に暮らすヒロインを見つけわざとぶつかる。

2その時のヒロインの様子を見る。


知識によると、ヒロインは心の優しい少女で、人にぶつかられたぐらいで文句を言う女性じゃない。むしろ笑って許すタイプらしい。

だから、わざとぶつかりその時の彼女の様子を見て判断しようというわけだ。もし仮に彼女が文句を言ってきたら中身はヒロインじゃない可能性が高い。

私と同じ(?)転生者かもしれない。


というわけで町でヒロインを探すこと数十分。ついに私は彼女を見つけた。


ふわふわの金の髪にぱっちりとした青い瞳。それにあの可愛らしい顔立ち…

間違いないヒロインだわ!!

よし、作戦決行よ!


私は石畳につまずいたふりをして思いっきりヒロインにぶつかった。


「きゃっ!?」


彼女はその衝撃に、尻もちをついてしまった。


あちゃ~強く押しすぎたわ…


転んでしまった彼女に手を差し伸べつつ私は謝った。


「申し訳ありません!地面につまずいた拍子にぶつかってしまったみたいで…お怪我はありませんか?」


ムッとした表情の彼女はぶつかってきた相手に文句を言おうとした様だが、私が小さな少女だと知って止めたみたいだった。代わりに怪我はないかと聞いてきた。


「はい。私の方は大丈夫です。何かお詫びを…」

「別にいいわよ。幸い怪我はないし、お詫びなんていらないわ」


そう言って彼女はどこかへ行ってしまった。


離れていく彼女の後姿を眺めながら私は確信した。


間違いなく中身は別人ね…絶対とは言えないけど黒よりの灰色グレーといった所かしら。


これで方針は決まった。

物語が始まる三年後の夜会まで彼女は放置する。そして始まったらヒロインが私の子ども達とその婚約者に接触するのをひたすら邪魔する。

それまではこのまま放っておいて大丈夫でしょう。


そうと決まれば早く家に戻って三年後の作戦を練らなきゃ!


******

屋敷に戻った私はさっそく作戦を考え、三年間たっぷり使って環境を整えつつ対ヒロイン用の準備をした。


フィオナと彼女の婚約者の仲を全力でサポートし、その甲斐あって今では二人は仲睦まじく、例え何かの気まぐれでヒロインがちょっかいを掛けてきたとしても、そう簡単に心変わりはしないだろうと言えるまでになった。

姉弟の仲も良好で、問題は見られない。もし二人の間に何かあっても真っ先に私に相談しに来るだけの信頼も勝ち取った。


さあ来るなら来なさいヒロイン!

この母が返り討ちにして差し上げましょう!!


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