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母は生まれ変わりました

明るい話を目指しましたが最初はちょっと暗いです

ああ…ついにこの時が来てしまった。

私が横たわるベッドの傍らには愛する夫と子ども達が目に涙をため、私の細くなった手を握りながら寄り添ってくれている。


二人目の子を産んだ後、体調を崩すようになってから今日まで頑張って来たけれど、どうやらここまでの様だ。


「あなた…子供たちを頼みます」


私の言葉にルーカス様は大きく頷いてくださった。


「私が必ず元気に育ててみせるよ。だから安心してほしい」


その言葉に安堵し微笑み返した後、私の意識は深い闇の中へと沈んでいった。

後悔はいっぱいある。

せめて子供たちの結婚した姿をこの目で見たかったわ…


そう強く想っていたからだろうか……気づいたら私は生まれ変わっていた。


******

私が生まれ変わった家はなんと私の姉の家だった。

彼女の末の娘として生まれた私は神に深く感謝した。


これでルーカス様とあの子たちに会える!!


そうと分かれば善は急げだ。

私は今世の両親に従姉弟たちに会いたいと頼み込んだ。しかしまだ幼いからと了承してもらえず、彼らに会えたのは私が五歳になってからだった。


かつての夫と我が子達に会えた時の喜びはひとしおだった。

彼らの方はというと私の姿に少し驚いたようだった。

それもそうだろう。若草色と瞳の色は前世と違えど、髪はかつてと同じ銀色で、姉の娘ということもあって生前の私とよく似ていた。


「まるであの子が帰って来たみたいだわ」


なんて今の母は言っていた。

あながち間違っていないわね…本人だし。


それにしてもルーカス様は相変わらず麗しい。でも少しお痩せになったかしら?

子ども達の方は…姉のフィオナはルーカス様と同じ茶色の髪に青い瞳は記憶のままにすっかり淑女らしくなっていた。弟のファリスは前世の私と同じ銀髪に緑の瞳で、ルーカス様に似た優しい顔つきの彼は数年後には美青年間違いなしだ。


ああ~!!しばらく見ないうちにすっかり大きくなって!

しかも可愛くて、かっこいいだなんて流石私とルーカス様の子ども達ね!!


彼らは自分達の母によく似た私に好意的に接してくれた。

けれど…


なんか変ね…二人とも私とは仲良くしてくれるけど、お互い話そうとしないし、フィオナは弟を、ファリスは姉を避けているように見えるわ。


結局屋敷にいる間、姉弟が話している姿を一度も見られなかった。


******

家に帰った私は自室で今日の事を思い出していた。

姉弟が互いを避けている理由について考えてみても一向に思いつかない。


だめだわ…全然わからない。

こういう時、神様がちょちょい~っとヒントをくださればいいのに……なんてね。


そう思っていたら突然知識が降ってきた。


えっ!?私の子ども達が悪役令嬢と攻略対象の一人!?


二人は幼い頃母親を亡くし、母親が弟が生まれてから体調を崩したことで姉は弟のせいで母が亡くなったと、ファリスを責めるようになる。弟の方は自分のせいで母が亡くなったと思い込むようになる。互いの溝はファリスがヒロインに会ったことで決定的になり、やがて二人は決別する。フィオナはファリスが幸せになることが許せずヒロインをいじめ、そんな彼女をファリスが許せず縁を切るからだ。


ちょっと待って!

私のせいで仲の良かった二人が決別するなんてありえない!!

これは私の責任よ。愛しい子ども達をこれ以上仲たがいさせるものですか!!


前世もこの世界の人間だった私になぜこんな知識が湧いてきたのかこの際気にしない。

こうなったらチートだろうが何だろうが、利用できるものは利用して二人が決別するのを阻止して見せる!!そして最終的な原因のヒロインを排除し、彼女なんかが居なくても幸せにしてやる。物語通りにしてなるものか!


見てなさい!母親は愛する子ども達の為なら強くなれるのよ!!


こうして前世乙女ゲームの登場人物達の母親である私の戦いが始まった。


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