表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
限界オタク聖女が敵の拗らせゾンビ男子を溺愛してみたら  作者: フオツグ
限界オタクと推しとお兄ちゃんと。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/92

限界オタクが最強の男と対峙してみたら

【天秤座の守護者】リブラ。

 星の神教の高位の神官であり、ノヴァの実兄〝疑惑〟のあるキャラクターだ。

 疑惑、というのも、ストーリー内での言及が一切ないのだ。

 わかっているのは、リブラに年の離れた弟がいたこと。

 今は疎遠状態という情報と、二度と会えない──つまり、既に死別しているという情報がネット上で錯綜している。

 そのリブラの弟がノヴァであると、一部のノヴァファンに囁かれていたのである。


『ノヴァくんって十代でしょ? リブラ様は二十代後半だし、年の離れた弟がノヴァくんの可能性はある』

『ノヴァとリブラ様、どちらも髪の色は黒がベースだし、目元比べると本当そっくり……。兄弟と言われても納得』

『ちょっと待って今気づいた。二人の戦闘開始モーションほぼ同じじゃん!? 二人共右手の指で眼鏡のつる掴んで上げてる!』

『↑実は戦闘勝利ボイス、敗北ボイスもほぼ同じやぞ』

『↑マジだ……』


 などなど、ノヴァリブラ兄弟説が持ち上がったとき、SNSは大いに盛り上がった。

 しかし上記の通り、ノヴァとリブラ兄弟説は〝匂わせ〟程度しか存在しない。

 ほぼ言いがかりと言っても良い。

 だが、世の限界オタク共はそれを啜って生きている。


 そんなリブラがメインストーリーで登場するのはもっと先だ。

 決して、序章に登場して直ぐに退場するノヴァと顔を合わせることはない。

 イオリはそのことに嘆いたから覚えている。

──聖女の私が帰らなかったから、ストーリーが滅茶苦茶になってるの?

 イオリは戸惑いを隠せない。

 隣にいるノヴァも動揺している様子だった。


「イオリ様、こちらへ」


 リブラが手を差し出す。

 イオリは顔をこわばらせた。

──嫌だ。行きたくない。

 王国に戻ったら、ヒナが待っている。

 ヒナはイオリにポーションを作らせ、そのポーションの効力を聖女の力と偽り続けるつもりだ。

 ヒナは王国民に感謝される。

 決して、イオリは報われることがない。

──もうヒナに利用されるのは嫌……!


「『行くな』! イオリ!」


 ノヴァが焦って叫ぶ。

 イオリの手の甲にある従属の証が熱くなり、力を発揮する。

 足を踏み出そうとしても、全く動かない。

 イオリは少しだけホッとした。

 リブラは目を細めて、イオリの手の甲にある従属の証を見る。


「それは従属の証……。これによって、イオリ様は逆らえなかったのか」

「なんてこと……。姉聖女ちゃんは洗脳されたのではなく、従属契約によって逆らえないようにされていたのね!」


 ヴァルゴが大袈裟にリアクションする。


「大方、強要されたのでしょう。野蛮な魔物達を前にして、異世界人の娘一人。恐怖は計り知れないものだったでしょう」


 リブラは「全く」と息をついて続ける。


「魔物の考えることだ。忌々しい」

「可哀想に。もう大丈夫よ、姉聖女ちゃん。アタシ達が今助けてあげるからねん」


 ヴァルゴはパチンッ、とイオリにウインクをする。


「……お早い再戦だなァ。オレは魔王軍幹部スターダスト七等星、ノヴァだ」


 ノヴァは胸に手を当て、丁寧にお辞儀をする。

 土の中からボコボコと部下ゾンビが出現する。


「あら! 礼儀の正しいゾンビちゃんね。嫌いじゃないわ。アタシは舞踏家であり武闘家、【乙女座の守護者】ヴァルゴよん。ほら、リブラちゃんも名乗って」

「名乗りなど必要ありません。早く制圧しましょう。──正義執行。《正義の秤(ユースティティア)》」


 天空から巨大な剣が降り注ぎ、部下ゾンビ達を一掃していく。

 リブラの固有スキル《正義の秤(ユースティティア)》。

 巨大の剣を召喚し、手足のように操り、敵を攻撃する。

 シンプルなスキルだが、リブラの強さの真髄はそこにはない。

 自身のスキルを正確に理解し、勝てるギリギリの強さの魔物と対峙し討伐。

 それを繰り返し、着々と実践経験を積み上げて行った。

 特筆すべきは、魔王軍幹部の一人を〝たった一人〟で討伐した記録だろう。

 その後、リブラは『人類最強』と呼ばれるに至る。

 彼の原動力は、魔物に対する怒りだという……。


 その名に違わず、ゲーム内でも随一の強さを誇る。

 リブラの初期実装最高(SSR)レア──どのガチャでも排出される恒常リブラは、どの戦闘においても有用だ。

 リセットマラソン──欲しいキャラが出て来るまでアカウントを作り直す作業のこと──略してリセマラにおいて、恒常リブラは〝大当たり(Tier1)〟と呼ばれている。

 攻撃面、体力面、防御面、サポート面、どれをとっても群を抜いているのだ。

 初期実装キャラにたまにある、運営が匙加減を間違えたキャラである。

【空ミル】運営もこれは不味い、と思ったのか、これ以降、恒常リブラを超える性能のキャラは実装されることはなかった。


 ストーリーにおいても、ゲームの性能においても、圧倒的な強さを誇るリブラ。

 そんなリブラが手に持った聖書の角をノヴァに向けた。


「《正義の秤(ユースティティア)》」


 リブラが宙に浮かぶ無数の剣。

 その先端が全て、ノヴァに向く。

 来る、と思ったノヴァは防御の姿勢を取る。


「オレを守れ!《死霊の指揮者(ネクロマンス)》!」


 ゾンビ達が土の中から現れ、ノヴァの前に壁を作る。


「無駄な足掻きだ。貫け、《正義の秤(ユースティティア)》」


 巨大な剣がゾンビの壁を貫き、瓦解する。


「くっ……!」

「捕らえよ」


 リブラの剣がノヴァの頭上から降る。

 ノヴァはそれを避ける。

 避けた先に、もう一振りの剣が地面に突き刺さり、ノヴァを挟み込み、動きを封じた。

 拘束を強めるように、複数の剣が突き刺さる。

 出来上がったのは、剣で出来た針の筵……。

 剣に囲まれて、ノヴァは身じろぐことすら出来なくなった。

──これが……【空ミル】最強格(Tier1)の実力……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ