10話 初めての殺し
時間をつぶすため、俺は色々な店が立ち並ぶ市場へとやってきていた。
「うっわー。色んなのが売ってるねー」
池田は珍しい品々に目を輝かせてる。
「無駄遣いするなよ。なくなっても金は貸さんぞ」
一応くぎを刺しておく。
「まっさかー。そんなことしないってー」
あっはっは。
お前ならやらかしても驚かないから忠告したんだよ。
と、心の中でツッコミを入れておく。
『マスター……』
ヘルプちゃんが、なんかいつもよりも真剣なトーンで声をかけてくる。
どうしたの?
『どうやら監視されているようです』
そう告げられると、目の前に三人組の男たちの姿が映し出される。
『背後を一定距離を維持して付いてきています』
いつからだろう?
国からの監視かな?
それとも冒険者ギルドからかな?
『どちらでもありませんね。この市場に入ってからですよ。目的は物取りで、襲うチャンスを狙っているものと推測します』
そっかー。
どうしたものか。
『返り討ちにしますか?』
そうだなぁ、余裕で返り討ちにできるんだよね?
『余裕です。万が一も起こりませんのでご安心ください』
なら人気のないところに行って、さっさと処理しておきますか。
ヘルプちゃんのナビに従って人気のない場所へと進んでいく。
池田は色々と見て回ると言って別行動になった。
ちなみに一人が池田へ付いたので、こちらは二人に減っている。
まあ、池田の戦闘力なら余裕だろう。
『そうですね。まあ、運悪く死んでもそれはそれでラッキーです』
ホント池田大嫌いすぎでしょ。
『当然です。マスターとわたしの二人だけの時間を奪った憎き仇ですから』
ヘルプちゃんと雑談していると袋小路にぶち当たる。
人気も全くない。
案の定、二人組は俺の前に姿を現してきた。
「よう兄ちゃん、死にたくなければ全部置いていきな」
「そうそう、裸になってさっさと逃げだしちゃえって」
さて、どうしようか。
『正当防衛を立証できれば殺しても問題ありません。まあ、人目がない今なら正当防衛すら関係ありませんけどね』
うーん……質問なんだけど、この世界だと不殺って生きづらい感じ?
『そうですね。この世界はマスターの住んでいた国よりも命の価値が軽いです。なのでそのような信念を貫くのは、非常に難しいかと思われます』
なら、ここで慣れておくべきだな。
それでどんな武器で戦えばいいの?
『魔法で一発で終わりますので、苦労などしませんのでご安心を』
俺は言われた通りに魔法を唱える。
「エアカッター」
真空の刃が男二人の首を吹き飛ばす。
初めての殺しに、初めての死体。
思ったよりも精神的に安定してて驚く。
『勝手に精神を安定させてしまいました』
そうか、動揺したりしないのはヘルプちゃんのおかげだったか。
ありがとうね。
正直、普通の状態だったら色々と耐えれなかったと思う。
『いえ、ヘルプとして当然の行動です。ところで、せっかくですので彼らの身ぐるみを剥いでしまいましょう。戦利品回収です!』
戦利品か。
とはいえ死体漁るのも抵抗があるわけで……。
『そのようなことをしなくても、アイテムボックスにそのまま放り込めばいいのです。あとは中で分別できますから』
アイテムボックスって便利ですね!
そう思いながらアイテムボックスに放り込むと、死体まで消えてしまう。
あれ、死体どこいった?
『アイテムボックスは生き物は放り込めません。しかしそれ以外は放り込めます』
あー、死体もアイテムボックスに入ったのか。
問題あるかな?
『全然問題ありません』
じゃあ、改めて市場楽しもうかな。
歩き出そうとしたら『ドンッ』という音が響き、少し離れたところで何かが空を飛び落ちていく様が見えてきた。
『あちらも終わったようですね』
流石脳筋。




