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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
赤霧の星・第一節 もしも世界が染ったら
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27.【光の真理】

 セルヒが目を開けた時、そこは誰かの家らしき場所で、隣にクータスタと世紀と目の前には家の主であろう見知らぬ女性がいた。


「お帰りなさい、クータスタ様」


 その女性はクータスタに軽く頭を下げ、右手を差し出した。白い短髪で、黒いコートを羽織っていて…よく見ると小さい猫耳が生えていた。


「えっと…ザルトニア、か?」


「ええ。ワタシは獣人のザルトニア・アブソリュートと申します」


 そう言った時にはもうクータスタはザルトニアの手を取り、固く握手をした。


「お久しぶりですね。ワタシが来るまで、よく持ち堪えました。ぜひ、この戦争はワタシ達に任せてゆっくり休んでください」


「いや、そんな事できません! 僕も加勢します!」


 その時、翠とリズも転送されて来た。


「お言葉ですが、今のクータスタ様の力では『変数』の力を使わない限り敵には到底及ばないかと。そもそも、ワタシ達が今からするのは『調停』。『赤霧の星』勢力と『闇影の星』勢力の片方ではなく、双方を和解させるために同時に両方の攻撃をさばかなければなりません」


 クータスタはそのまま渋々言葉を受け入れたが、リズは目の前にいる女性がザルトニアであるかすら分からないリズが訊いた。


「すみません、ちょっと聞きたいことが山ほどあるんですけど…」


「「ちょっと」なのか「山ほど」なのかよく分かりませんが、答えられる範囲でお答えいたしましょう」


「えっと…第二次赤影星間大戦争には僕も参加しなければいけないですか?」


 するとザルトニアは少し頭を抱え、こう答えた。


「あー、それはつまり、参加したくないということですね? その気持ちも理解できます。どうしても嫌だというのなら、ここでクータスタ様と休んでいてください」


 その言葉を聞いていたクータスタはザルトニアの方を凝視した。


「…どうかなさいましたか?」


「あの…ザルトニアってそんな敬語使うキャラじゃなかったはずですけど…初対面の人がいるからってそんなことしても何も変わりませんよ」


 するとザルトニアは一同の方に目を向け、


「よろしいでしょうか?」


と言った。一同がほぼ同時に小さく頷いた時、ザルトニアは大きく伸びをした。


「ありがと。もうずっと全身がこってたよ」


「「(いやめっちゃキャラ変わったな!?)」」


「特にここですることも無いなら、整備された道を辿ってこの地図の赤いマークのとこに行って。暗の人らがいるはずだからね。それと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。じゃ」


 するとザルトニアの体は発光し、光になって一瞬にして消えた。


「え?」


「あ…」


 セルヒとクータスタの目が合い、セルヒが少し目を逸らす。


「もしかして移動が〜って言ってたのって、こういう事だったのか?」


「はい、彼女は光になったり光にしたりして移動が一瞬で終わるので」


 そんな中、何かに気づいたような翠が目を大きく開きながら質問する。


「待て…『光になる』? クータスタ、ザルトニアの霊化の目って何だ!?」


「【光の真理】ですけど」


 それを聞くと翠は大歓喜した。それを見た世紀は少し目を細くしながら引いた。


「【真理】の霊化の目を持ってる人間が味方についた! 勝ちだ! 勝った!」


 質問が山ほどあるのに無視されキョトンとしたリズが喜ぶ翠に割り込む。


「霊化の目にも種類があるんですか?」


「種類というか、【真理】が特殊すぎるだけだ。簡単に言えば、【光の真理】は光の創世者的なやつだ。霊化の目の能力だから『予言』みたいに本当に創世者にはなれないがな」


 そこに世紀が喋りながら歩いてきた。


「それで本当に創世者になってしまいそうなのが『闇影の星』勢力のアネモスだ。彼女は霊化の目無しで()()()()()()()()()()()を持つ。今回の戦争で最も大きな壁になる人物だ」


「なんだよ…人が楽しそうに喜んでるってーのに…」


「そんなことしてる場合か。一度外に出て道を踏み外してみろ。銃殺されるぞ」


 それが聞こえたセルヒ、リズ、クータスタは震え上がり、恐る恐るカーテンの隙間から外を覗いてみた。そこには特に何も無く、人もいなかった。三人は安堵の息を漏らしたが、すぐに世紀が付け足した。


「普通の戦争なわけが無いだろう。今は時間が止まってるんだぞ? 『赤霧の星』と『闇影の星』の止まっている一般人はもうほぼ全員殺されてる。この弱肉強食の世界では、肩書持ちなどの強者が生き残る。見たところ、この家の西南西方向約3800m先に肩書持ちのスナイパーがいる」


 セルヒはすぐにその場所の世界の記憶を読み取った。


「(ほんとだ…)」


「幸い、この家のセキュリティがしっかりしているからか心象世界とスキルの影響を受けづらくなっている。だから向こうも、こうして退屈するしか無いんだろう」


 すると翠が玄関に向かい、ドアノブに手をかけた。ガチャっと音がし、ドアが開いた。


「ちょ、ちょっと! 何してるんですか! せめて作戦とか話してから…」


「おらっ!」


 翠は持っていた剣を道の外に投げ捨てた。すると、


「パァン!」


銃声が轟き、翠が投げた剣に穴が空いた。


「ひぃっ!」


「…100点の反応をありがとう」


 外にはいつの間にか黒いスナイパーライフルと穴が空いた翠の剣を持つ迷彩服の男がいた。その男は片手でスナイパーライフルを翠に向け、弾丸を放った。しかし翠はびくともしなかった。なぜなら、弾丸はザルトニアが張ったバリアに弾かれたからだ。


「どうやら俺らは本当に貴様らに干渉できないようだ。命拾いしたな、少年」


 その男性は名乗りもせず、ただ影にふっと消えていった。


「(俺ってどっちかと言うと見た目は青年よりも少年なのか…?)」

ザルトニア・アブソリュートについて

 クータスタに仕えていた女性。猫耳が生えており、人間8、猫2くらいの割合の獣人。


アネモスについて

 『闇影の星』勢力の主戦力。嘘と真と反転させる能力を持つ。


獣人…人と動物のハーフ。『生命の星』に多い。


【真理】の霊化の目…特定の概念などを掌握し、矛盾しない範囲内で操作することができる能力を持つ霊化の目。特に希少で、創世者と同等の力を持つ。

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