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不死属性の生き方  作者: ひみゃらや山脈。
第二章 エルラント王国編
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5 レイ

短編を投稿してこっちを忘れる痛恨のミス。

 私の名前はレイ。


 私は自分の名前が嫌いだった。


 私は白虎族と虎族のハーフとしてこの世に生まれた。

 父様は、稀少で凄く強い白虎族。

 母様は、種族の間ではそこそこ強いけど、白虎には劣る虎族。


 母様は父様と結婚するのに白虎のみんなに反対されたらしい。

 強き血をなによりも尊ぶ白虎族にとって、自分達の下位交換のような虎族と結ばれるのは考えがたい所業だったのだ。


 でも、深く愛しあっていた二人は、粘り強く話し合い、一族の許可を取ることができた。

 山あり谷ありのその話は美しい恋物語で、最終的に結ばれ合うことができたのだからハッピーエンドなお話だった。


 だけどその間に生まれた私はハッピーにはならない。

 髪の色に白虎の種族的特徴の入った私は、将来を期待されていた。


 でも、私の強さは虎族に準ずるもので、白虎の一族にはとてもではないけれど敵うものではなかったのだ。


 白虎族のみんなにはひどくガッカリされた。


 強さを持たない私は、この一族の中では忌むべき対象だったのだ。


 父様や母様はそのことでいつも頭を悩ませていたようだし、私を心配してくれているのが伝わってきたのでただそれだけが心の救いだった。


 当然努力はした。

 強くなろうと鍛練を欠かしたことはなかったし、武器を使うすべも身につけた。

 努力は才能を上回るってその頃の私は信じていたのだ。


 そんなことありえない、と分かっていても、せめて努力をしている姿を白虎に見てもらわないと私は、否定されたときになにも言えなくなる。


 私は、弱い言い訳をするために努力をしていたのだ。



 そんな私は自分の名前が嫌いだった。

『レイ』父様の親友である白獅子族と子供が産まれたら互いにつけ会おう、と約束をしていた名前。

 私にはレイナ、という名付け親、ならぬ名付け妹がいるらしい。

 白獅子の子だ。きっと強いのだろう。


『レイ』はそんな白獅子と合わせてつけられた名前で、強きもの、太陽の意味が込められている名前だ。


 そんな名前の由来を聞くたびに私は泣きそうになる。

 弱いと言われるのが怖くて泣くことなんて絶対にしないけれど。


 私が10になるかならないかの年齢だったある日、私は村からあっさり追放された。

 追放に賛成したのは『一族全員』だ。


 父様も母様も私を捨てたのだ。


 その日、私は声をあげて泣いた。

 どうせ今日がここで過ごす最後の日になるのだ。

 強がる必要なんてない。





 エルラントでは、獣人差別が激化していて、獣人の隠れ里があるらしく、私はそこに逐われることになった。

 父様も母様もなにかを言いたそうな顔でいたが、一族に止められてなにも言うことなく去っていった。

 二人は泣きそうな顔をしていたが、泣きたいのは私だ。


 獣人の隠れ里はとても居心地が良い場所だった。

 そこにいる獣人は弱いものが大半で、そんな彼らを見ていると私はひどく安心した。

 ある日、私は私の妹と出会うことになる。


 そう、『レイナ』だ。


 彼女は人生に絶望したような表情で里に来た。

 なにがあったのか、気にはなったが、それに触れないのは人間関係のマナーみたいなものだ。

 私はあえて触れず、アーノルドおじいさまの助力を得て、彼女を慰めていくことに成功した。

 とても可愛い子で、私の本当の妹のような存在になった。


 私は彼女、強い者が私を姉と呼ぶ姿に小さな優越感を心に持っていた。

 最低だとは思うけど、とても抑えられるものではなかった。



 ある日、運命の出会いをすることになる。

 フラン様との出会いだ。


 騎士が里を襲撃するという報を聞いて、戦えるものが集められた。

 私は槍の練習を今まで欠かしたことがない、ということと、白虎には遠く及ばないけれど、虎族も戦闘向きの種族なので防衛隊として戦うことになった。


 里の実力派数人なので、人間くらいなら簡単に殺せるだろうし、一人だけなら白虎とも戦えるかもしれない戦力だ。


 けれど、フラン様の実力は桁が違った。


 圧倒的な暴力は私をたまらなく焦がし、獣人の本能がこの人には勝てない、と告げていた。

 仮にも獣人であり、しかも戦闘向きの種族の私の放つ槍を難なく避けるとデコピンで、そう、デコピンで!倒したのだ。


 しかも、その後に来た騎士と信じられないスピードの戦いを見せて、あのエルラント軍で最強と名高い騎士団長も倒してみせた。


 私にはその強さが眩しく見えて、この人と結ばれたいと強く思った。

 母様が父様に向けた気持ちはこんな感じだったのかな?





 レイナがいなくなった。

 あの子はフラン様を強く拒絶していなくなったのだ。

 どうしよう、どうしよう。

 私にとってもう強さの象徴になったフラン様を探して相談したら、すぐに探しにいってくれると言ってくれた。



 見つけた。丁度その時に、レイナは崖から落ちた。

 フラン様はこの森でもそこそこ強いはずの魔獣を一撃で永遠に黙らせると、落ちたレイナを追って崖から飛び降りる。

 これで安心だ。

 フラン様ならば難なく助けるだろう。



 里に帰ってから、別人のようになついているレイナに苦笑いしつつも、すぐに表情を微笑みに変えて、私はフラン様にアプローチをした。

 フラン様はいい人だ。

 すぐに同行の許可を得ることができた。

 レイナを出汁に使ったのは心苦しいが、強い彼女なら大丈夫だ。



 里を出発してしばらくしてから、レイナは過去を語った。

 それは悲しい話であったが、なによりも私に衝撃を与えたのは、あの白獅子が人間のゴロツキごときに敗北をした、という事実だ。

 私にとって強さは絶対である。

 白獅子は間違いなく強者に分類される一族であるのに、その一族がゴロツキに敗北をしたという事実は到底受け入れられないものだった。


 強さが絶対でないならば、私の人生はなんだったのか。


 強さが足りないから疎まれ、強さが足りないから家族を失い、強さが足りないから危うく里と妹を失うところだった。


 そんな私の人生を否定されたような気がして、深く悩むようになる。




 そして、私はルールさんの言葉と出会った。


 非力なエルフが、魔法を十全に使うことができないドワーフが、深く人を疑うことの出来ない獣人が、それぞれの強さを使ってエルラントを統一した物語。

 あの勇者も完全ではなかったがあれだけのことを成し遂げた、という話。


 勇者でさえ敗北をした経験があるのだ。

 完璧な強さなんてないのかもしれない。


 私は、純粋な力を使った強さがなかった。

 なら、それ以外の強さを身につければいい。


 料理人が兵士に劣等感を覚えることはないし、魔術師も剣豪に劣等感を覚えることはない。


 私は強さとは絶対なものだと思っていたのだが、それは間違いだったのだ。


 そんなことを思った瞬間、胸のうちに引っ掛かっていたモヤモヤが晴れた気がした。

 すると自然と涙が溢れてきて、自分ではどうしようもない。


 もう、泣いてもいいんだ。

 なぜなら、泣いてはいけない強さは私には必要ないのだから。


 ふいに頭に温かな感触が触れた。


 そちらを見ると、私が泣いていることにオロオロとしたような目をしているフラン様がいて、強さは絶対じゃない、ってことがより証明された気がした。


 私は、圧倒的な暴力を持った“最強”の胸で声をあげて泣いた。

5、ではなく、第~回の表記のほうが良かったでしょうか。

迷ってます。

意見くださいましたら第~回用に追筆しますので、気になりましたら感想で報告ください。

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