第三章・第8話
【第六の門 ――《支配》の仮面使い】
第六の門の奥は、
静かすぎる広間だった。
声も、足音も、
すべて吸い込まれる。
中央に、
黒いローブの女が立っていた。
仮面は、涙の形。
「……ようこそ」
「……私は《支配》の仮面を持つ者――」
「……名は、リリス」
リリスが、指を鳴らす。
次の瞬間――
ユナの目が、虚ろになる。
「……ユナ……?」
Rが近づこうとした瞬間――
「……来ないで」
ユナが、冷たい声で言った。
ジンとカイが、動けなくなる。
身体が、重い。
「……な……」
リリスが、微笑む。
「……心を、少し“借りただけ”よ」
ユナは、Rを見つめる。
でも――
そこに“ユナ”はいなかった。
「……R……あなたは……弱い」
「……仮面を使わないから……みんなを危険に晒す」
Rの胸が、締めつけられる。
「……ユナ……それは……」
「……違う」
Rは、一歩、前へ。
「……それでも……」
「……俺は、逃げない」
Rは、ユナの前に立つ。
「……戻ってこい」
「……俺たちの……仲間だろ」
一瞬――
ユナの指が、震えた。
「……R……?」
リリスが、目を見開く。
「……まさか……」
「……心の“支配”は……」
「……“信頼”には……勝てない……!」
ユナの目に、光が戻る。
「……R……ごめん……!」
Rは、笑った。
「……おかえり」
次の瞬間――
ユナは、リリスへ駆ける。
全力の一撃。
仮面に、ヒビ。
「……っ……!」
仮面が、砕けた。
支配が、解ける。
門が、開いた。
――第六の門、突破。




