第三章・第5話
【第三の門 ――《速》の仮面使い】
第三の門は――
風が、唸っていた。
空間そのものが、歪んで見える。
その中心に、
細身の男が立っていた。
仮面は、鳥のような形。
「……遅い世界だな」
「……俺は《速》の仮面を持つ者――」
「……名は、レイヴ」
次の瞬間――
消えた。
「……ッ!!」
Rが振り向いた時には、
すでに背後。
拳が、Rの腹に突き刺さる。
吹き飛ぶR。
「……速すぎる……!」
ジンが剣を振る。
だが――
空を斬るだけ。
ユナが叫ぶ。
「……目で追わないで!!」
「……“気配”を見て!!」
カイは、歯を食いしばる。
目を閉じる。
風。
足音。
空気の揺れ。
――来る。
次の瞬間――
カイは、動いた。
ほぼ同時。
ドンッ!!
レイヴの拳と、
カイの拳がぶつかる。
「……なに……!?」
レイヴの仮面に、初めて動揺。
「……見えなくても……」
「……感じればいい」
カイの目が、開く。
次は――
カイが、消えた。
レイヴの背後。
肘打ち。
仮面に、ヒビ。
「……速さは……」
「……逃げるためじゃない」
最後の一撃。
仮面が、砕けた。
風が、止む。
門が、開く。
――第三の門、突破。
カイは、息を吐いた。
「……俺……少しは……」
「……追いつけたかな」
Rが、笑う。
「……ああ、十分すぎる」




