第7話 デートをする昔の馴染み達に会う
この世界はナリアと呼ばれている。
色々な種族がいる。魔法もある。モンスターもいる。不思議にみちみちた世界だ。
そんな世界の大陸の中央地帯にあるのが、俺やシエルが住むテレンシア王国だ。
王都の人口だけでも軽く200万人を越えるテレンシア王国は、ナリア世界でも大国の1つに数えられている。
王都『エリシュア』の他にも地方都市が幾つも存在し。国として発展をし続けている。幼い少年が気まぐれで創った組織に守られながら────
◇
《冒険者ギルド》
「号外! 号外だよー! 『嵐の稲妻』の奴等がまたやりやがった。隣国のシュプールで悪政貴族を暗殺しやがったー!」
「これでただで際、高額な懸賞金が懸けられている首領のレイの額も羽目上がるぞぉ!」
「「「ウォ!ウォ!ウォ!ウォ!ウォ! 首領レイを見つけ出して捕まえろ! 奴の組織を捕まえろ~♪」」」
「相変わらず。王都唯一の無法地帯だな。ここは」
「……レイン様。なぜ、冒険者ギルドにいらっしゃったのですか? 魔法書店に向かうのでは?」
「いや。父さんの生存確認の為立ち寄っただけなんだがな。『嵐の稲妻』のレイの懸賞金が跳ね上がった号外なんて刷って王都中にばらまいているとはな」
「……嵐の稲妻のレイ……レイン様……(ジーッ)」
シエルが俺の顔をずっと見つめている。彼女には昨夜あの光景を見られてしまっている。
もしかしたら嵐の稲妻について感づかれているかもしれない。
「……レイン様。あのもしかしてですが…」
「あれ? レインさんじゃないですか? こんな騒がし場所でどうなさったんです?」
「ん? 君は受付嬢のマルシャか」
「はーい! 正解です。一年位ですか? お元気にしてましたか?」
冒険者ギルド指定の制服を着たショートボブの赤髪に整った顔立ちの少女が、俺の前に歩って来た。
「……可愛いらしい美少女です。そ、それに私よりも胸が豊満でいらっしゃいます。」
シエルは自身の胸に手を当てていきなり擦り始めた。
「シエルどうしたんだ? この世に絶望したような顔をして」
「……いえ。絶望もしますわ。こんな胸囲の格差を見せられてしまってあるのですから。ウゥゥ……」
「脅威の格差?」
彼女はその場で崩れ落ち。涙を床へと落とした。
「そのエリシア聖教指定の聖職服。もしかしてこの人聖女シエル・バレンタイン様だよね? 何でそんな高貴な人がレイン君と一緒に居るの?」
受付嬢のマルシャはなぜか俺の服の襟を掴んでそんな質問をしてくる。
「あん? レインの兄貴が来てんのかよ? どこだ? おい?!」
「何? 頭のガキか? 探せ! アイツには腕を折られた恨みがあるんだ。俺の所に連れてこい」
「レインちゃん。いつ戻って来たのよ? こっちにいらっしゃい♡ 御兄さんと飲みましょうよ」
冒険者ギルドにたむろしていた。筋骨隆々の男達が俺とマルシャの前に集まり始めた。
「おっと! これは不味いな。皆、興奮して俺達に向かって来てる。シエル。外に出るぞ。じゃあなマルシャ。また顔を出しに来るからな」
「……レインさ……ま?!」
俺はシエルの手を握ると外の扉へと共に駆け出した。
「あっ! こらー! ちゃんと聖女様との関係を冒険者パーティーの元仲間の私にちゃんと説明しなさいよ~! レイン君!」
「勇者パーティーの仲間だ。だがそれも終わっ……」
「……レイン様の新妻のシエル・バレンタインです。以後、お見知りおきを。マルシャさ~ま」
「は? 聖女様がレイン君の妻あぁ?!」
「あっ! こら。何を話をややこしくなる様な事を言ってるんだ。シエル」
「いやぁぁ! 私の者だったのに! 何で一年ぶりあったら結婚してるのよ!!」
「ゴガァ?! マルシャ姉さん何を暴れて……ギャアア!」
「おう! 乱闘か? 良いぜぇ! ぶっ殺し合いだぁ! 大乱闘スマッシュー!」
「あらやだ? 暴力なんて……大好物よぉ♡」
マルシャは発狂しながら冒険者達襲い始めた。
◇
冒険者ギルドから脱出した俺達はその後も色々な場所で、買い物や古い馴染みと会えば勇者パーティーを解散し王都に帰って来たことを報告したりしたんだが………
《錬金術研究所》
「レインー! 帰って来てたんだ! 待ってたよー! 早速、ボクと2人切りで研究を……」
「シエル。この人はミルフィーさんと言って錬金術師だ」
「……レイン様の新妻のシエル・バレンタインです」
「新妻?! レイン君。結婚したの?! 死ねぇぇ!!」
「ゴガア?!」
《クラフト剣術場》
「おお! レイン。久しぶりだね。無事に危険な旅を完遂させたんだね。どうだい? 私と一勝負でも……」
「シエル。この人は父さんの剣術の弟子のローズさんだ」
「……レイン様の新妻のシエル・バレンタインと申します。新婚ホヤホヤです」
「…………は? レインが結婚? 新婚ホヤホヤ?……レイン。貴様! 私の許可なく結婚したというのかあぁ?」
「ギャアア!!」
《魔法具&服店》
「ふむふむ。それで色々な所で挨拶回りに行ったらボコボコにされて来たと?」
「あぁ…………シエル。この娘は魔具師でミリアの妹のルナだ」
「……レイン様の新妻のシエル・バレンタインです。レイン様とはそれは仲睦まじく過ごしております」
うおおぉ! シエル。その自己紹介の仕方は止めるんだ。また変な勘違いをされ。攻撃をされ……ていない?
「へー、そうなんだ。それは羨ましいわ~、それで? 来週から通う予定の魔法学園の制服を仕立てれば良いんでしょう? シエルさん」
「……へ? は、はい。よろしくお願いいたします。ルナさん。(この方はレイン様を特別に思ってないのですね。ならば味方です。お友達になりたいです)」
シエルがルナの事を頼もしく見ているのは何でなのだろうか?
「ミリアお姉ちゃんからの手紙で2人の関係は知ってるから安心してよ。応援してあげてとも言われてるしね……」
「私とレイン様との仲をミリアさんがですか」
「そうそう。あの2人はお似合いだから私にみたい失敗しないでほしいんだって……でも。シエルさんも大変だね。あんな天然魅了たらしと新婚かぁ。頑張らないとね。色々と」
「……は、はい! 頑張ります。色々と(……夜の営みの事でしょうか?)」
「なんだ。ルナはセーフだったのか。それにしてもなんで久しぶりにあった娘達は俺に攻撃をしてきたんだ?……昔はあんなに優しかったのにな。ハァ~」
俺は深い溜め息をつきながらシエルとルナのやり取りを静かに見守っていた。




