第20話 レインとリーフの思い出
《レイン10才時 テレンシア城 客間》
「何? アッシュクラフト家の貴族を断るじゃと。あれ程の手柄を立てているのにか?」
「ええ! 親父も見つかっておりませんからな。それに旧アッシュクラフト領はとある組織に占領されて統治しずらくなっておりますから」
「義賊集団『嵐の稲妻』か? ならば尚更だ。アッシュクラフトの威光を持って統治すべきではないのか? スルトよ」
「いやいや。無理ですな。いくら息子が自立出来るの位の強さになっても、その下の娘の子育てもありますからな。では俺やレインは冒険者依頼がありますのでこの辺で失礼を……」
「まて! スルトッ! ならばせめてワシの娘。第一王女をお主の息子の許嫁にせよ! そうでなければ幾らお主がこの国の影の英雄であっても何かしらの罰を与えるぞ」
「(そんなにアッシュクラフトの『稀血』と『幸運』を王家の血筋に入れたいかね?)……考えておきますよ。まぁ、そんなの当人達の相性にもよりますがね」
「……言質は取ったぞ。ならば今日からでも我が娘リーフとお主の息子を引き合わせるからな」
「ふっ……好きにどうぞ。レインにはすでにディアを側においていますのでね。アイツがほだされて王女に攻略されるとは思いませんよ。テレンシア王」
「ならばそれが叶ったあかつきには王政に参加そろ。スルト……数年後起こり始めるであろう隣国からの干渉を防ぐ為にもない」
◇
《その夜の晩餐会》
「……何で僕が父さんの付き添いで晩餐会に出ないといけないのさ。今日はディアと星空を眺める約束をしていたのに。それに家にはそんな資格がありませんよね? もう貴族でもないのに………(逃げようと)」
「特例だとよ。レイン、それよりも今日はお前に会いたいという人が……」
「貴方。レインどっか行ったわよ」
「………何だと?」
◇
《王城の裏庭》
「政略結婚なんてごめんだよ。こっちはお爺様が残した日誌を読んで貴族の嫌な歴史を知ってるんだからさ……なんで僕が王族なんかと」
ガサッ!
「ん? 誰だい? こんな夜の裏庭に怪しいね……(いや。それは僕も同じ事か)」
「こ、こんばんは~、わ、私、貴方の事が気になって追いかけて来たの……リーフと申し…言いま……言うわ」
「リーフ? 僕はレイン。宜しく。リーフ」
「は、はい。宜しくお願いし…宜しく。レイン。(この人がやっぱりレイン…レイン・アッシュクラフトですのね。付いてきて正解でした……祭典の日から一目惚れで思い続けてやっとこの日が来ました。このまま最後までいきましょうか)」
◇
《リーフ王女の部屋》
「お、おい! 何をする気だ! この手錠は?」
「私の全てを受け入れなさい。レイン……貴方の血とか能力なんて興味ありませんわ。あるのは貴方自身……一目惚れでした。1つになりましょう。私のレイン」
「や、止めろ! だ、誰か来てくれ! 王女が暴走を……」
「フフフ。誰も来ませんよ。私がそう衛兵方に頼みましたから……ね?……あれ? 意識が遠く……」ドサッ!
「遅いから迎えに来たぞ。レイン」
「君はディア。王女を……リーフに手を上げたのか?」
「魔法で眠らせただけぞ。それよりも早く竜の谷へ行こうぞ。今夜は流星が盛んな夜。新たな恩恵も受けられるのでな」
「あ、あぁ、分かった行こうか。(助かった……このまま最後まで行っていたら色々と不味かった)」
『ギャオオ!!』
そうしてリーフ王女を気絶させたディアと共に俺はその場から居なくなったのだった。
◇
《現在 闘技場》
「あれ以来。姫様はやたらと君に執着するようになったんだよ。『青風』」
「そんなもの知るか。『暴風』」
アストルフォとか言う奴。見た目は可愛い女の子の様な姿をしているが、強いな。
リーフ王女直属の護衛兵かなにかだろうか? それにその他にも何人かそれぽいのが居るな。
俺はアストルフォと対峙しながら周囲を見渡していると。
「……あれ? シエルがリーフ王女の元へ向かっている?……だと? ま、不味い!」
ガキンッ!
「何が不味いんだい? さっきからボクとの勝負に集中できていないみたいだけど……あまりボクをなめないでくれるかな?」
「くっ! (本気を出せばこんな勝負。一瞬で終わらせられるが……ユーリ。シエルの暴走を止めてくれ)」
俺はユーリへと目配せすると。
「! (コクッ!) 分かりました。リーフ王女に一泡吹かせるんですね。シエルさん。レインの許可が下りました」
「……はい。行きましょうか。ユーリさん」
そうして怖い顔をしたシエルとユーリはリーフ王女に近付いて行き……
◇
「良いわ。アストルフォ。やってしまいなさい! そして、レイン君を私の元に連れて来なさい」
「……行かせません!」
「へ?……貴女は……たしかレインに密着していた。変な女の子?」
「……変な女の子ではありません。私はシエル・アッシュクラフト。レイン様の新妻と」
「ユーリ・メルトです。姫様」
「……そのレイン様の愛人です」
「そうそう愛人……違います! パートナーです。レインの派閥のパートナー、ユーリ・メルトです」
「レインの新妻? 愛人? 貴女とユーリ・メルトさんが?」
「……はい。貴女に決闘を申し込みます。泥棒ね…リーフ王女様。レイン様をかけた決闘を」
「決闘?……貴女。私が誰か分かっているのかしら?」
「……はい。剣姫リーフ……王族でありながら剣の腕は聖騎士を凌ぐとか。ならば相手に取って不足はありませんわ。なんたって私は聖女シエルなのですから」
シエルはそう告げるとなぜか白い手袋をポケットから取り出しリーフ王女に投げ付けた。




