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どうでもいい話

「静かに……敵の様子は」


 少年兵の言葉に老練な下士官は黙って右手を上げ指を二本立てた。


「任せとけ」


 下士官はそう言うとそのまま身を伏せたまま這って有刺鉄線の前まで行く。すぐさま腰のサイレンサーの付いた拳銃を抜き、一発で一人を、さらに二発でもう一人を葬った。


「障害物の除去を頼むぞ」


 背後で様子を伺っていた士官が少年兵の肩を叩く。少年兵は手にした大型のペンチで有刺鉄線を寸断する。そのまま老下士官は有刺鉄線を押しのけ入口を作る。


「このまま前進……あまり目立つことはしてくれるなよ」


 士官の言葉に付き従う兵士達は苦笑いで答えつつ少年兵の作った突破口を突っ切って進む。


 すぐさま監視塔からの機銃掃射が始まった。


「見つかったか!」


「このまま押しきれ!」


「車両を動かせ!」


 静かに沈黙していた戦線は次々と投入される車両で混沌に陥りつつあった。


「始まりましたな……」


 突破口を作った老下士官はそう言うと静かに煙草に手を伸ばした。その労をねぎらうように士官がその煙草に火をつける。


「何を言うか……遅すぎたくらいだ……行くぞ」


 士官は手にした銃を構えなおすとそのまま突破口を抜けて進む。老下士官もそのあとに続く。あれほど準備して有刺鉄線を切り裂いた少年兵は次々と防御線を突破していく友軍達を呆然と眺めていた。


「お前も……これからが大変だ」


 そう言うと老下士官は少年兵の肩を叩いた。ようやく我にかえった少年兵は銃を構えながら進み始める。


 すでに監視塔は友軍の手に落ち、州境の町の建物ではあちこちで市街戦が始まっていた。


「やられたらやり返す……当然の権利だ」


「怖いことを言いますね」


 老下士官の言葉に少年兵が冷や汗を流しながら応える。煙草を燻らしながらろうか士官はそのまま歩き続けた。


「始まりだ」


 士官の言葉に静かに老下士官は頷きながら進んだ。

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