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傭兵帰還

「久しぶりだな」


 でっぷりと太ったガルシア・ゴンザレス将軍だが、吉田俊平の目からは以前よりさらに肥えて見えた。


「そちらはお元気そうで」


「まあ元気なのはいいことと言いたいところだが……ワシが元気だと嫌がる人間も多いのでな」


皮肉めいた笑みがゴンザレス将軍に浮かぶ。吉田もとなりに控えている浅野英次もただ苦笑いを浮かべるだけだった。


「しかしよく南都の老人を引っ張り出しましたね……どんな手を使ったのか」


「オーギュスト・ブルゴーニュのことか?奴の後ろにはアメリカやフランスがいるからな。逆に引っ張り出しやすい」


「なるほど、遼州の安定を人質に取りましたか」


吉田の言葉にゴンザレス将軍は満足げにうなづいた。


「人は安定を求めるものだ。特に数十光年の距離があれば多少意に沿わなくても安定している方が地球の為になると考えたんだろ」


「将軍は安定を望んでいると?なら俺には用はないはずですが?」


上目遣いに見つめてくる吉田にゴンザレス将軍は視線を脇の浅野に投げた。すでにゴンザレス将軍の後押しで首相の位にあった浅野はそれらしく手にした書簡を吉田に渡した。


「親書?……花山院直永?」 


吉田の疑問形の問いにゴンザレス将軍はにこやかな笑みを浮かべた。


「東海もとりあえず甲武編入は諦めるという話だ。献殿下の即位を元々気に入らなかった奴だからな。霊殿下即位と言うことで話を付けるつもりだ」


「これで遼南で献殿下に与するのは兼州のカグラーヌバ家と東モスレム……」


言葉を選びながら話す吉田をあざ笑うようにゴンザレス将軍は口を開いた。


「東モスレムが一致した意思を出せると思うのか?イスラム教徒穏健派と仏教徒、遼州原住民の三派連合は統一した意思を発するほど意思疎通ができちゃいない。それに西モスレムの支援を受けたイスラム教徒過激派の民兵組織を相手にしなきゃならないんだ。遼南の主導権争いに口を挟む余裕はないと思うがな」


「確かに……ではなぜ俺を呼んだんですか?すでに兼州は詰んでるのに」


吉田の答えが分かって聞いている問いにゴンザレス将軍は苦笑いを浮かべた。

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