未来へ
「そうして俺は西園寺の家に住むようになったわけだ……」
雨はしとしとと降り続けている。
クバルカ・ラン中佐はちっちゃな手で湯呑を手に八つ橋を頬張る。
「隊長……アンタが居ない間も色々あったんだぜ、遼州は」
「らしいな……俺も色々あったんだわ……まあ、人生で一番穏やかな時期だったなその後の5年くらいの間が」
司法局実働部隊の隊長の机で嵯峨もまた八つ橋を食べながら茶を飲んでいた。
「そー言えば西園寺の馬鹿が生まれたのはいつだ?」
「それから4年後。俺が陸軍大学校に入った時だ……懐かしいねえ」
嵯峨はそう言うと雨雲を遠い目で見つめていた。
「アイツもそーだが、学校ちゃんと行ったのか?」
「ああ、俺は勉強は大学の教養課程くらいは全部終わってたからな。学校では寝てたわ……それか校庭でタバコを吸ってた」
「おいおい、未成年だろ?」
「時効だよ時効」
そう言うと思い出したように嵯峨はタバコに火をともした。
「ようやくここまで来たんだ……『廃帝』は倒すぞ」
嵯峨の言葉を聞くとランは静かにうなづいた。
「アタシ等が失敗すれば……本当にヤバい連中が動き出す……弱肉強食の世界の到来だ……目も当てられねーな」
ランはそう言って湯呑をテーブルに置いた。
「そう言うこった。康子姉さん達はあくまで保険だ。俺達で片をつける」
そう言う嵯峨の言葉にランは静かにうなづいた。
雨は蕭々と降り続いていた。




