美女と豚。
感想・評価ありがとうございます。
稚拙な文章ですが、今後もよろしくお願いします。
・・・今確かに豚っていったよね?
初対面の人に豚って言われたことないから思わずフリーズしてしまった俺。
流石に凹むね。
目の前の女性が美人なのが更に拍車をかけてる。
そういう業界ではご褒美らしいけど俺はダメだわ。
異世界言語のスキルが発動してるのは良かったけど一番最初に聞いた言葉が豚ってどうなの・・・。
豚らしくブヒブヒ言っていると、女性は目の前の豚が魔物だというのに気付いたのか、武器を探すがそれらしき物がないのに気付き、後退りをしながら敵意の目を向けてきた。
「・・・何この魔物・・・。ギルドにもこんな個体報告されてないし・・・っち。武器無しでやれるかしら?」
ちょ!敵対の意思なんてないってば!第一治療したの俺だぞ!
礼の一つ位言ってもいいんじゃねーの!?つか変なルビついてるし!
俺の必死の抗議の声が届いたのか、女性は困惑の表情を作る。
「・・・敵対の意思はないの?」
呟いた言葉に肯定の意味を込め短く一回鳴き、首を縦に振る。
すると女性はその様子をみた女性が驚愕の表情を浮かべた。
「なっ・・・。魔物のクセに言葉がわかるの!?」
あー、やっぱ普通の魔物は言葉を理解出来ないのか?
って冷静に考えてみれば森で暮らすのに人の言葉なんて使わねーし、そもそも殺しあってる中なのにコミュニケーションを取ろうとする魔物なんていないか。
そう考えると、女性の反応は普通だよなぁ。
女性の言葉に頷きながら、自分自身の異質さに苦笑いを浮かべた。
「言葉を理解する魔物なんて聞いたことないわよ・・・。それこそ高位の竜種か聖獣くらいしか・・・しかし、そんな力は感じないし・・・」
女性は考え込みながらなにかブツブツ言い始めた。
しっかし、これからどうすっかなー。
この人と別れた後取り敢えず狩りの仕方でも考えて、後は安全な巣も必要だし・・・。
はぁ、考えると前途多難だな。
取り敢えずお腹減ったし木の実でも集めに行こうかな・・・。
溜息を吐き、食事の準備に取り掛かろうとすると女性が何か決心したように俺に声をかけてきた。
「あなた・・・いえ、此方から名乗るべきよね。私はリディア、職業は従魔士」
リディアと名乗った女性はそこで一旦言葉を区切り、俺を見据える。
従魔士?魔物を従えて戦うアレか?
ラノベとかゲームとかだと魔法的なもので契約して〜とかそんなんだったような気がするけど・・・。
しかしこの人が倒れてた周りにはオークの他に魔物なんていなかったし、つか魔物を支配するとか出来んの?怖すぎるんですけど?
考えていたことが顔に出ていたのか、俺の様子を見たリディアが苦笑気味に口を開いた。
「私は昔から魔物に好かれにくくて未だに従魔はいないんだ・・・、でも父親が従魔士の冒険者でね。才能がないのは自分でもわかってるんだけど、諦めきれなくって・・・」
悔しげに、呟くリディア。
そんな姿を見た俺は、黙って聞くことしかできなかった。
恐らくこの流れだと従魔になってくれという話だろう。
頷くのは簡単だ。
しかし、どういうものかもわからないまま契約するのは危険すぎるし、何より考えないようにしていたがこの人間は仲間の仇だ。
元人間とはいえ、短い間群れで役に立たない俺を養ってくれた仲間たちに対して申し訳が立たない。
しかし、人間といつまでも敵対していけるとは思えない。
いくら人の言葉が理解できるとはいえ、今は魔物だ。
いずれ人間と敵対し、討伐対象となるだろう。
そうなれば、いくら魔物の身体能力が優れているとはいえ、数や戦略で勝る人間にいつまでも勝てるとは思えない。
そう考えると、この話は又とないチャンスだ。
「無理を言ってるのはわかってるけど、従魔になってください!お願いします!」
リディアが頭を下げてくる。
俺は考える時間が欲しかったので、考え込む仕草をし時間を貰うことにした。