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人に歴史有り

「ノーア荒野に侵入されたか」

 オグンは手元の報告書に目を落としてため息を吐く。

 報告書には確認されている現在の魔物の群れの場所が書かれていた。

 その中にはノーア荒野に侵入している魔物の群れと、罠を突破された旨が備考として書かれていた。

「……果たして上手くいくのかどうか」

 報告書に目を落としながら、オグンは会議でのルーの話を思い出す。


 その日の委員会での会議で、ルーはモナルカ達の事と、モナルカ達から聞いた世界を消滅させる者の事、ルーが出した依頼と、その計画についての事を委員会の全員に話した。

「いくらルーちゃんの話でも、いきなりそんな事言われて、はいそうですかとは信じられないですね。そもそもそのモナルカ?とか言う輩が1人でも大型を倒せるというのも疑わしいし、本当に信用出来るのかね?」

 カールは肩をすくめると、どうしようもないといった感じで小さく息を吐く。

 そんなカールの言葉に、ミリュンとロンが同意の頷きを寄越す。

 その反応はルーも当然だろうと予想はしていたが、他の5人の反応はルーにとっては流石に意外というか、予想外だった。

「なるほどの、モナルカ君がそう言うならそうなのだろうの」

「そうですね。彼の言葉なら信じる価値は有るでしょうね」

「モナっちか〜、元気にしてたのか〜、懐かしいな〜」

「話の真偽については分かりませんが、モナルカくんが動いているなら魔物の移動の方は少しは希望が見えてきたかも知れませんね」

「フッ、彼の名をまた聞ける日が来ようとはな」

 トレーシー、ファン、マミ、オグン、ヨーキはモナルカと顔見知りらしく、一様にモナルカの言葉ならばと、納得しているようであった。

「あれ?俺とロンとミリュン以外の皆は、そのモナルカとかいう輩をご存じなので?」

 5人の反応に驚くロンとミリュンとカール。

「まぁの、人に歴史有りじゃの」

 立派な白髭を撫でながら、ふぉふぉっと愉快そうに笑うトレーシー。

「まぁとにかく、モナルカくんを知らない者にとっては信じられない話だろうが、私はこの話、一考の余地はあるのではないかと考えているよ」

 オグンが委員会の皆を見回しながらしっかりとした口調で話す。

「そうですね。結論を急ぐ必要は有りませんが、可能性として頭の片隅にでも留めておいてもいい話でしょう。正しいかどうかはいずれ分かるでしょうから」

 ファンが穏やかな口調で皆に語りかけた。

 結局、今は情報不足で保留という結論に達したが、依頼に関しては協力はするが、現段階ではあくまでもルー個人の問題という事で決着した。

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