許容範囲内
「後どれぐらいでしょうか?」
次の魔物の一群へと移動途中、カルマはイルカにそう問いかける。
「どれぐらいとは、…次の魔物の一群に接敵するまでの距離、という意味ですか?」
首をかしげるイルカに、
「いえ、残りの魔物の群れの数の事です」
頭を振ると、そう付け加えるカルマ。
「そちらですか、魔物の群れの数は……不明ですね。現在も殲滅されたり、合流したりで確認されている群れの数が減ったり、逆に新たな魔物の群れが確認されて増えたりしてますから、正確な数は分かりません。結局、地道に消しいくしかないのですよ」
そう言うと、疲れた顔をするイルカ。
「大型の方はどうなったんですか?」
横からイルカに質問するミリ。
「倒せてはいるようで、減っている。という報告は受けていますが、それ以上の事はよく分かりませんね。ただでさえ情報が多いというのに、委員会主導とはいえ、殆ど全てのギルドが参加してる作戦ですからね、少し情報の伝達系統が混乱してるのかも知れません」
大きなため息を吐くイルカ。
現場での『夜天光』のまとめ役のイルカは、戦闘以外でもギルド本部との連絡や報告などをやっているようで、カルマの目にも疲れているように映った。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫…と言いたいところですが、心配されるぐらいには疲れが出ているようですね。心配かけたようですいません。ですが、今のところは許容範囲内ですから大丈夫ですよ」
心配かけまいとしてか、笑顔で答えるイルカ。
その笑顔が無理をしているように見えたカルマは、
「連戦で皆も疲れてきてますし、そろそろ少しだけでも休憩をとりませんか?」
と、イルカに提案してみた。
「そうですね…」
後ろからついてきているギルドメンバーに視線を向けるイルカ。
「……もう少し進むと湖が在りますので、そこで一旦休憩にしましょうか」
進行方向を指差してそう話すイルカ。
「分かりました。ギルドの皆にも伝えますね」
カルマは一度頷くと、後方のギルドメンバーにもう少しで休憩出来る事を告げる。
カルマの言葉を聞き、疲労が見えていたギルドメンバーの顔にも、僅かだが元気が戻ったのが分かった。




