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ヨール村

 王都南西に位置する小さな村、ヨール村という名前がついてはいるが、たいした特産もなく、誰かしら有名人を輩出したこともない、ペドゥール大陸でも知る人の少ない、まさに世界の果てという言葉が似合うような村であった。

 そんな村にカルマとモナルカの一家は暮らしていた。

 基本的に田畑を耕す以外にやることがないような村ではあったが、それでも村で作る野菜はとても美味しく、一番近くの町へ売りに行くとあっという間に売り切れるほどで、それは村の大人たちのささやかな自慢でもあった。

 田畑を耕す以外には、たまに村の男たちが狩猟に出かけることがあり、獲物がたくさん狩れた時には村中で祭りのような宴が催されることもあった。

 そんな村でカルマとモナルカは育った。

 子どもはそんなに大勢いる訳ではなく、遊ぶ場所も村の中だけだったが、それでもカルマは毎日が楽しかった。

 晴れた日は村中を駆け回ったこともあったし、雨の日は村一番の蔵書がある村長の家で本を読んだり、長老の家で昔話や童話など色々な話を聞いたりもした。

 カルマの父親は名をカイトと言った。とても優しく、村一番の力持ちであり、また強大な魔力の持ち主で、近くの村や町でもカイト以上の魔力の持ち主は存在しなかった。

 母親は名をトレーネと言い、料理が上手く、とても美しく、優しい女性であった。

 弟のモナルカは、表情豊かで、とてもよく笑う子どもであった。そして父親のカイトや、そのカイトに匹敵、或いは越えているとさえ言われたカルマでさえ霞む程に強大な魔力を秘めていた。

 カルマにとって3人は自慢の家族であり、その家族と過ごす時間はとても幸せで、夢のようなこの時間がずっと続くと信じていた。…あの日が来るまでは。


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