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またつい興奮しちゃて

「さて、何を話せばいいものか…」

 あの後モーリエに頼まれてモナルカの話をすることになったカルマは、とりあえずゆっくり話せる場所を見つけるべく二人して街をさ迷うも、適当なところが見つからず結局ギルドハウスに戻ってきていた。

 ギルドハウスに戻ると「私の部屋に行こう」そうモーリエは言うと、カルマの手を曳いて強引に部屋に連れ込んだ。

 最初は混乱と緊張で何がなんだか分からなかったカルマだが、弟の話をする予定だったことを思い出し、何を話そうかとしばらく考えているうちに少しずつ落ち着きを取り戻していた。

 「はい、どうぞ」そう言って目の前の机に飲み物が置かれる。カルマが何を話すか考えている間にモーリエは飲み物の用意をしていたらしい。

 鼻腔をくすぐる華やかな香りに心を落ち着かせると、やっと目の前の飲み物が紅茶であることを認識出来たカルマ。

 紅茶を一口飲むと落ち着いてきた頭で改めて話の内容を考えると、さっきの続きとモーリエが興味ありそうな魔工具について話す事に決め、ゆっくりと話始める。

「あいつは…モナルカは魔力制御が完璧でね、モナルカの隣に居ても魔力を一切感じないんだ。正直オグンさんの魔力制御の技術に気づけたのも、それを理解出来たのもモナルカの近くに長年居たおかげだし、オグンさんの技術にあまり驚かなかったのもモナルカがそれ以上の技術を持っていたからなんだ。それぐらいモナルカの技術はすごかった。本当にすごくて、モナルカは魔力を持っていないんじゃないかと思うほどに外に漏れがないんだ。あの技術はあいつが昔から旅をしていたから、俺よりも世界を知っていたから習得出来たんだろうか?それほどの技術が必要な世界を…」

 一瞬記憶の中の何かを見るような遠い目をしたカルマだったが、すぐに気を取り直して話を再開する。

「そして、モナルカの魔工具についてだけど――」

 それまで時々頷きながらも静かに話を聞いていたモーリエだったが、展“魔工具”という単語がカルマの口からでてくるとモーリエの目付きがにわかに鋭くなり、姿勢もカルマの方へ身を乗り出す格好になる。

「っ!」

 いきなりの変化に驚き少しのけ反るカルマを見て、「あっ」と小さな声をだすと恥ずかしそうに元の姿勢に戻るモーリエ。

「ごめん、ごめん。さっきの話ももちろん興味深かったんだけど、魔工具についてはそれ以上に興味があったから、だからまたつい興奮しちゃって」

 自分の行動と話の腰を折ったことへの気まずさから頭を掻きながらチラチラと上目遣いでカルマの様子を窺うモーリエ。

(部屋に連れ込んだことについては気にしてなさそうなのに)

 そんなことをカルマが考えていると、

「は、話を続けて、続けて」

 そうモーリエが握手をする時のような形にした手を上げて促すと、カルマは「こほん」と1つ咳をすることで場を仕切り直すと、話を再開するのだった。


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