しょんぼりと項垂れた
「カルマって強いよね、素質だけならお父さん以上だって?」
暖かくなり本格的に春が到来したある日の昼前。王都を散策していたカルマについて来ていたモーリエが不意にそんな事を訊いてくる。
「素質っていうか魔力量だけね、技術も経験も足下にも及ばないよ」
それに対して事実を述べるカルマ。
「そーなんだ。でも確かにこれだけ近いとスゴい魔力量を感じるよね」
モーリエは納得したように頷くと、ペタペタとカルマの背中や腕を触りだす。
「それがダメなんだけどね…」
モーリエに触られ恥ずかしくもあり、またくすぐったくもあるが、それ以上にモーリエの言葉が心に刺さった。
「?」
対するモーリエはカルマの腕に触れたまま言葉の意味が理解出来ず小首を傾げる。
「近づくだけで魔力量が外から簡単に分かるのが未熟な証拠ってこと」
カルマはしょんぼりと項垂れたまま力なくそう説明する。
「そうなの?ギルドのみんなも似たようなものだけど?」
小首を傾げたまま項垂れたカルマの顔を覗き込むモーリエ。
「オグンさんは違うでしょう?」
カルマにそう言われて視線を右上に逸らしオグンのことを思い出すモーリエ。
「あぁ、そういえばお父さんって近くに居てもあんまり魔力感じないや」
モーリエは合点がいったとばかりに一度頷くと軽く手を叩く。
「あれが魔力をちゃんと制御出来てる状態なんだよ」
瞳に憧れと悔しさを滲ませるカルマ。
「ふ〜む、ということはやっぱりお父さんってスゴいんだ?」
魔工師志望な為かその辺りの事には疎い様で、モーリエは実感があまり湧かないからか疑問文になる。
「すごいっていうかもう別格だね。さすがは委員会の1人なだけあるよ」
と、しみじみと呟くカルマ。
委員会とは、全ギルドから選ばれた9つのギルドの代表で組織されたギルド本部の最高意思決定機関であると同時に、最強の9人という異称も持っている。
「そうなんだ、普段のお父さんしか知らないからよく分かんないな」
口を尖らせ『夜天光』のギルドハウスがある方向に目を向けるモーリエ。
「まぁ、俺も教練でしかギルマスの実力は知らないから、魔力制御の技術以外は他のギルドの人から聞いた話でしかないんだけどね」
そう言うとカルマは申し訳なさそうに頭を掻くと、
「でも、王都に来ていろんな人に会ったけど、今のところ出会った人の中であの魔力制御が出来てるのはモナルカ以外ではオグンさんだけだな…」
ふと、思い出したようにそんなことを呟く。
「モナルカって誰?」
その呟きに視線をカルマに向けるモーリエ。
「俺の弟だよ」
「弟って、あの大鎌を造った?」
「うん、そう」
その答えにモーリエはいつぞやの日の様に爛々と目を輝かせてカルマに詰め寄るのだった。




