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三日鷺~ミカサギ~  作者: 帝 真
第10章 変化
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変化・4

 「どうして、お姉ちゃんが……!?」


 その懐かしい顔に、二度と逢えないと思っていた顔に、灯乃は驚きを隠せず困惑して、ただただ開いた口が塞がらなかった。

 姉は死んだと思っていた、でもどこかで生きているような気は何故かしていた。

 でもやっぱりただの願望で、まさか本当に逢えるだなんて思っていなかったのだと、今目の前にして思う。


 「灯乃、もう大丈夫よ」

 「え?」

 「私と一緒に来たら、私はあなたを助けてあげられる。もう、知っているのでしょ? 紅蓮の三日鷺がどういう役割であるか」

 「……うん」


 灯乃は小さく俯く。

 だとしたら陽子は、本当に灯乃を助ける為に今まで動いてくれていたのだろうか。

 自身を亡くなったことにしてまで、今まで隠れていたのも。


 「でも、私を助けるってどうやって?」

 「緋鷺 星花をあなたの代わりにする」

 「え」

 「依代は挿げ替えることができる。ただ代わりにできるのは、彼女だけになるけれど」

 「星花さんが、私の、代わりに……?」


 灯乃の心臓がドクンと跳ねた。

 星花を身代わりに? 彼女が依代になるということ?


 ――それじゃあ、斗真は……?


 できる訳がないと思った。

 だって、彼女を助け出すことが自分たちの目的なのに。

 もし、星花が代わりに依代となって、自分が解放されたとしたら、斗真は……


 「……駄目だよ、お姉ちゃん」

 「え?」

 「星花さんは助けなきゃ」


 差し伸べられた手に、灯乃はゆっくりと後ずさる。

 今、この手をとってはいけない。

 この手をとれば、星花さんを救えなくなる。

 斗真を、悲しませることになる。

 

 ――そんなの、絶対嫌だっ


 「斗真は、そんなこと絶対望まない。星花さんが依代になって私が解放されたりなんかしたら、きっと悲しむ。きっと苦しむ。そんな斗真なんか、見たくない」

 「……そんなに緋鷺 斗真が、大事?」

 「え?」

 「それとも、そう命じられているの?」


 陽子がそう言って近づく。

 斗真がそんな命令をする筈がないのは、十分灯乃は分かっている。

 ならどうして拒む?


 ――斗真が……大事って……?


 灯乃は黙り込む。

 斗真はとても優しくて心強くて、いつだって守ってくれて。

 彼自身だってとても苦しくて大変なのに、ずっと気にかけてくれて、欲しい言葉とぬくもりをくれて。

 そして、必要としてくれた。


 「斗真はいつだって温かくて、心を操るような酷い命令なんて絶対しない。斗真は……」


 ――私は、そんな斗真のことが……


 灯乃はその先の答えに気づき、ハッとした。

 頭の中が斗真でいっぱいになる。

 彼を想うと、胸が締め付けられるように苦しくて、ドキドキする。

 

 ――この気持ち、この感情は……


 その時。


 「ワン!!」


 突然、どこからか犬の鳴き声が響いた。

 その瞬間、何を思ったか陽子がすぐさま般若の面を被り、顔を隠す。


 「ここまでか」

 「え……」


 陽子の呟きが聞こえたと同時に、灯乃は急に後ろから誰かに引き寄せられ抱きしめられた。

 そして目の前には、灯乃を庇うように陽子との間で半月斧を構える男の背中。


 「仁、ちゃん?」

 「灯乃、大丈夫か?」


 突然現れた姿に、灯乃は目を丸くした。

 仁内がここにいる、帰ってきたのだ。

 それじゃあ今、後ろで体を抱きしめているのは……


 「――間に合って良かった、灯乃」


 ずっと会いたかった人。


 「斗真……」

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