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第1話:機械に魂は売らない!底辺配達員、冷酷なグループからの追放

雨の日も風の日も、重い荷物を抱えて階段を駆け上がる。それが、50歳を過ぎた俺の日常だった。


長年勤めた配達業は体力的にも厳しく、決して裕福とは言えない生活。だが、俺にはたった一つの生きがいがあった。


それは「手描きの絵」を描くことだ。


仕事から疲れ果てて帰宅した後、真っ白な紙に向かい、鉛筆と絵の具で少しずつ色を重ねていく。人間の手から生み出される温もりと、魂を込めた作品づくり。


俺はネット上の「イラスト愛好家グループ」に所属し、仲間たちと作品を見せ合うのが何よりの楽しみだった。


しかし、ある時からグループの空気が一変した。


グループのリーダー格である若い男が、「コンピューターに自動で絵を描かせるインチキ」に手を出し始めたのだ。


「これからは機械の時代だ!ボタン一つで、誰でもプロ並みの絵が数秒で作れるんだぜ!」


リーダーがネットに投稿する絵は、確かにパッと見は綺麗だった。だが、俺にはすぐにわかった。そこには人間の汗も、苦悩も、そして何より「魂」が全くこもっていないのだ。他人の絵を機械にツギハギさせただけの、ただの冷たいニセモノに過ぎない。


俺は居ても立っても居られず、グループの掲示板で忠告した。


「そんな機械任せのインチキで、本当に『自分が絵を描いた』と言えるのか?人間の手で苦労して描くからこそ、見る人の心を打つんじゃないのか!」


だが、返ってきたのは冷酷な嘲笑だった。


『うわっ、まだ手描きとか言ってる老害がいるよ』


『何日もかけて一枚の絵を描くとか、要領が悪すぎ。時間の無駄じゃん(笑)』


『底辺の配達員やってるから、頭の作りまで時代遅れなんだろ。お前みたいな貧乏で才能のないおっさんは、もう俺たちのグループにはいらないよ』


次の瞬間、画面は真っ暗になり、俺はグループから無残にも追放されてしまった。


長年の仲間だと思っていた奴らは、すっかり「機械のインチキ」に洗脳されたカルト集団になっていたのだ。


「くそっ……!機械なんかに、人間の心がわかってたまるか……!」


その夜、俺は悔し涙を流しながら、ボロボロの布団で眠りについた。


――しかし、運命の歯車はここから大逆転を始める。


翌朝。重い体を起こして仕事に行く準備をしていると、一本の電話が鳴った。証券会社からだった。


なんと、俺が30年前に「付き合いで仕方なく買ったまま、完全に忘れていた株」が、奇跡的な大高騰を果たしたというのだ!


「お客様!配当金だけで、これからは毎月何もしなくても『70万円』が振り込まれますよ!」


……毎月、70万円?


しかも、一生涯!?


俺は震える手でスマートフォンを確認した。銀行口座には、すでに初回分の70万円が振り込まれている。夢じゃない。現実だ。


その瞬間、俺の中で何かが吹っ切れた。


もう、こんなに腰を痛めて配達業を続ける必要はない。俺には十分なお金と、無限の時間が手に入ったのだ。


「……辞めてやる。配達業なんか、今日でスッパリ辞めてやる!」


すぐさま退職の電話を入れた後、俺は新しく買ったばかりの高級なコーヒーを淹れ、優雅に香りを嗅いだ。


俺を「底辺配達員」と見下し、機械の絵を崇拝していたあの若造たち。


お前たちのインチキな化けの皮を、このあり余る時間と資金力で、一枚残らず引っぺがしてやる。


月収70万円の不労所得を手に入れた、俺の気ままな「反機械・手描き至上主義」の戦いが、今、幕を開けたのだ。

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