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1-87 公都のイメージ

露天風呂は、最高だったよ。


ちょっと浴槽以外の洗い場部分が広く余っていたからね、ボイラー室からの配管を増やして壺風呂を追加しちゃった。


ちょうどさ、竹の木ね、直径1mくらいなの。それでね、節もあるから、それを底に残すようにして、横方向に輪切り。それにお湯が流れ込むようにしたら、おひとり様用の竹筒壺風呂の、完成です!


いやさ、浴槽の排水口ね、設置してないんだけど、殺菌消毒魔法をかけたら、浴槽の掃除がいらないのよ。これ、すごすぎだよね~


さて、僕はいよいよ、一世一代の大仕事をしないとならない。まだ11歳だから、一世一代が、さらに後でやってくる可能性もあるけど。


そう、公都移転。


もしくは、公都遷都。どっちでもいい。


いくら小国とはいえ、公国の人口は1万人強。人口増えてきたって話だけど、実際は何人なのかな。数える仕組みとかあるのかねえ……


ま、とにかく、紀元前ローマ並みの平民の住宅を、作り直さないといけない。


そう、公都移転とはすなわち、全員分の平民の家を作り直す、という事。別に市役所とかホールとか学校とかある訳じゃないからね、公都の街並みといえば、それはすなわち平民の住宅。


ま、大公屋敷を始め、貴族の屋敷も少しはあるけどね。


なので、平民用の公営住宅を2500戸~3000戸分、建てないとならないの。


場所はもう決めてある。今、南で畑になっている、旧ブッシュ地帯。だいたい公都の市街地南端から、南に約1km分が農業地帯になっているから、そのさらに南に公都を作り直す。今の公都市街地の南端から、南北1kmの間に畑があるから、その南側に東西方向に道路を作って、そこからが新公都の市街地北端が始まる。ざっくり3km南に公都がずれる感じ。この世界の人たちは歩くの速いからね、それくらいなら20分くらいで歩けそうだし、遷都って感じじゃ無いかも。郊外移転かな。


新公都は、現公都と同じく、南北東西2kmずつの、合計4平方キロメートルの予定。1平方キロメートル当たり、平民住居が最大1000戸かな。人口密度は最大で4000人とか? ま、市街地中心部にはアタシーノ川が流れているのは今と同じだけど、今、市街地を迂回して西側を通っている南北街道は、川沿いの街の中心に敷設しなおすから、もし、人口とかが増えても、市街地を東にも西にも広げられる構造。北には畑があるし、南はエデンに近寄っていく方向だから、広げるとしたら、東西方向だけにする予定なの。


新公都は、住所制度を導入しようと思う。住所表記に関する条例、みたいな感じ~


基本単位は区で一つの区は1平方キロメートル、一区二区三区四区でいいかな。これを基本単位として、それぞれ教会、給食センター、配給所、公衆浴場、交流センターを一つずつ、区は一つ辺り100ヘクタールあるけど、満遍なく使うと広すぎるからね、何れの区も中心部に近い三分の一くらいに建物を集中させるつもり。ただし、敷設予定の南北街道から100mの間は、将来の事を考えて空き地にしておく。何か公共の建物作るかもしれないし、商店街みたいなものも作るかもしれない。今のところ、貨幣経済を導入するつもりは無いけどね。


そして、1000人くらいでひとまとめになるような感じで丁目を設置、公営住宅団地を形成していく。だいたいひとつの丁目当たり、250戸から300戸くらい。公営住宅は5軒長屋にするつもりだから、その5軒長屋が50~60棟の団地で一つの丁目かな。そして、それぞれナンバリングし、さらに各長屋の各戸にもナンバーを付与。これで、公都の総戸数は確認できるし、計算もできるようになるだろう。人口も管理できるようになる可能性もあるね。丁目の中の細分化は、伯父上たちに丸投げしよう。


これで、住所ができるはず。一区一丁目10番の1、二区三丁目40番の5、みたいな感じ。うんうん、これだけでも文明が進んだ感じが出て、いいよね~


そして、長屋5棟当たりに井戸を一つと洗濯場を作ってね、長屋1棟当たりに一つ、井戸から水道管を引いた流し場とトイレを設置。トイレと流しは5戸で共用って事だね。本当はもちろん、各戸別にある方がいいに決まっているけどね、それは大変過ぎるから。とりあえず産業革命前夜時代程度の文明に持って行こうと思う。


日本だって、昭和の中頃は、そんな感じも珍しくなかったような気もするしね、色々共用のアパートとか。新しい平民の家は、僕の別邸と比べちゃうと可哀そうな気分になってくるけど、現状から思えば、これでも充分かな、と思っている。


後は、民たちが頑張ったら、少しずつ便利になっていくようになるんじゃないかな。僕はあくまでブースターって言うか。


いや、それでもやりすぎなくらいじゃないかな……


はい、話が脱線しちゃいました。


今もそうだけど、新公都の中心には大公屋敷と貴族屋敷群を配置。大公屋敷とかは、事実上の市役所だからね、街の中心の方が都合がいいと思うの。市街地は、中央工業団地と同じく、1ヘクタールごと囲う感じに小道路を敷設して、その道路ごとに川に橋もかける。要するに橋は、市街地の川に100mごとにある感じ。公都の移転場所の辺りは、そこから数キロ南に行けばアタシーノ川が水無川になっちゃうから、すでに川っていうより、水路とか小川なの。橋をたくさんかけても、何の問題も無いよ。


今までは、住む場所が水の利便に左右されていたけどね、新公都には井戸を掘りまくる予定だから、もう、川の水はいらないの。井戸は魔力の井戸だからね、地盤沈下の心配も無いし、排水汚物処理も、地面に吸われて分解されて、公害も無く静かに星に還っていくからね。井戸が汚染される心配も無いよ。


こう考えると、とっても便利な世界だよね。


シンプル過ぎて何にもないけどさ、地球よりもいい所もあるよ。ま、僕が居てこそ、なんだけどさ、僕が死んでも維持していけるように、繋がっていくように、そしてできれば文明が発展していくように、できればいいなあ……




***




さて、公営住宅の詳細を考えよう。


まず、平民の標準家庭の構成員を、夫婦と子供二人の四人家族と設定し、それに合わせた住宅を考えていく。いま話したように、流しとトイレは共用なんだけど、各戸に水が無くて流しもなくても、調理できるキッチンは用意したい。現状は外で調理だからね、それを各家庭の家の中でできるようにしたいの。


まず、玄関内と同じ空間に調理台を設置して、その上は七輪スペース、下は空間を開けて置く。小さな冷蔵庫とか入れられるように。そして、食器棚、燃料庫、食糧庫などに使う棚を配置。居室につながる部分にはドア。もちろん、玄関外ともドア。玄関キッチンには換気窓は無くてもいいかな。調理の時はドアを開け放して置けばいいし、電球があるからね、暗くてもいいだろう。


そして、玄関キッチンからドアを開けたら、広めのリビング。申し訳ないけど、ここも窓無し。電球で我慢して欲しい。リビングの奥にはドアが二つ。それぞれ寝室につながる感じ。寝室は、ちょうどリビングの広さの半分で、奥には扉付きの窓、隣戸との壁側には、それぞれ奥行の浅い押し入れ。隣の住居との境目に、お互いの家の押し入れがある感じ。これで騒音も多少は減るはず。日本のマンションも、こういう気遣いすればいいのにね~


ふーん、ふ・ふ・ふ・ふうーん、ふ・ふ・ふ・ふんふ・ふっ・ふっ・ふうーん


匠の設計により、外壁は石ブロック製、屋根はわずかに傾斜がつけられた陸屋根木材葺き、5戸横並びの公営住宅には、左サイドに共同トイレ、右サイドに水道付きの共同流し場が設置されています。これで、外で用を足して自然に帰す生活は、もう必要ありません。川に水を汲みに行ったり、川で洗濯をする必要も、もうありません。


各戸玄関前の庭は、家庭菜園も可能なスペースとなっています。野菜を植えても良し、何も植えずに子供の遊び場にするのも良し、生活の幅が広がることでしょう。


木製ドアの玄関を開けると……なんということでしょう、横長な6畳ほどのスペースに石床が綺麗に敷き詰められ、左側の壁には調理台に七輪、右側の壁には棚が設置され、収納スペースとなっています。調理台の下側には空間があり、ここには小さい冷蔵庫も置くことができます。これで、外調理をしなければならなかった生活ともお別れです。


玄関ドアの正面奥に設置された木製ドアを開けると……なんということでしょう、横長で10畳くらいの石フロアで整えられたリビングが! 窓はありませんが、電球の明かりが食卓を光り輝く空間に演出しています。広さも充分あり、ここで一家団欒が繰り広げられることでしょう。


そして、そのリビング奥に二つある木製ドアの一つを開けると……なんということでしょう、石フロア四畳半くらいの寝室に、奥には開き扉がついた窓が! これが通気性も良く、明るい部屋を可能にしています。日が落ちた後、肌寒くなれば、窓を閉めて外の冷気も遮断できることでしょう。そして、隣戸側の壁面には、引き戸が…… その引き戸を開けてみると……なんということでしょう、ここは収納スペースです。いくら私物がほとんどない公国平民でも、衣類や寝具は持っていますし、それらをシステマティックに納められることでしょう。


そして、リビングにある、もう一つの扉を開けると……なんということでしょう、もう一つ、先ほどと同じタイプの寝室が! これで夫婦の寝室と子供部屋を分けて生活することができます。もしかしたら、公国の人口も、さらに増えるかも知れません!


この、一戸当たりの総面積が約50平方メートルの平民住居で、文明生活を皆が営めることでしょう! 公国は変化して行くのです!


ふーん、ふ・ふ・ふ・ふうーん、ふ・ふ・ふ・ふんふ・ふっ・ふっ・ふうーん


ってな感じかな~


はい、これで、2LKの計三部屋ある平民住居の、完成です!


いや、脳内でのイメージ計画だから、まだ作ってないけどさ……




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